2017年2月にBS1で放送された『球辞苑』でかつて西武ライオンズで活躍した左腕・永射保が『左殺し』について語っています。
―今回のテーマは『左殺し』
永射 『左殺し』だったら僕でしょうね。ワンポイントとか左バッターに対する絶対的なワンポイントは僕でしょうね。
―ソレイタ封じについて
永射 ソレイタのときはど真ん中の真っ直ぐでいい。自分から崩れていく。
―左殺しの極意
永射 一言で言えば『ローリング』か命であり、もうローリングしかないわけですよ。ローリングが命ってね。
―ローリングとは?
永射 ローリングとは自分の体を動かす。(※セットポジションで背筋を立てるところから軽く会釈をする感じの動き)
永射 バッターもその動きにつられて動いてしまう。普通は自分の定まったところでビシャっと止まって打つじゃないですか。それがちょっとでもつられて動いてフォームに狂いが出るとホームランにならない。
―バッターの体をローリングさせる?
永射 そういうことです。自分だけじゃなく相手もローリングに誘う。
永射 このポジションが最初。
永井 ここからこうなる。
永井 要するにこの写真のように(飛んでいる)鷲のような形になる。こう体を折るのがローリング。
永射 たったこれだけ。足を踏み込む間にローリングを作るわけですよ。
始動はオーバースロー
ここからアンダースローのように体を沈める
―もう1つのローリングとは
永射 こう鷲に入って。
永射 着地する足をズラすような感じでいく。
永射 この時点でまだ足は地面に着いてない。浮いてるんです。「地面に着いたよ」とだます。そこでバッターがトップに入った時に、もう1歩ちょっと前に行く。そこでバッターの体がちょっと前に行く。でもそこでまだもう1回だます。
―それもローリング?
永射 ローリングのうちのひとつ。
1発目のカモフラージュ
2発目のカモフラージュ
―ローリングの最後の仕上げ
永射 まだやります。今度は足をクロスに踏み込み。
永射 背中の方から来る球に左バッターは体を開いてしまう。そしてアウトコースに投げ込む。
―何故そこまで徹底したのか?
永射 ローリングでバッターを動かさなければ僕のスピードでは通用しない。ローリングが僕の命であり、野球人生そのものです。
以上です。