2020年12月19日ににBS1で放送された『球辞苑』でヤクルトスワローズで活躍した捕手・八重樫幸雄が自身の打撃におけるオープンスタンスについて語っています。

 

―オープンスタンスを習得するまで

八重樫 習得するまでの月日は長い。これはあまり語ってこなかった(笑)

 

―独特なオープンスタンス誕生の経緯

八重樫 現役時代、途中から眼鏡を掛けるようになったんですよ。そこからが始まりですね。

 

―眼鏡を掛けるまでは普通の構えだった?

八重樫 そうです。普通の構えです。

 

では時系列で見ていこう。1980年の八重樫はスクエアスタンだった。

 

 

1980年の八重樫は全く体を開いていない。そして眼鏡も掛けていない。

 

 

1982年になってもまだスタンススクエアだ。

 

 

しかし、この時には眼鏡を掛け始めていた。

 

 

実はこの眼鏡が八重樫のバッティングを大きく狂わせたと言う。

 

 

―眼鏡の影響とは

八重樫 昔の眼鏡はフレームがあるので、肩がピッチャーの方に入るとフレームが視界に入ってボールが見えなくなるんです。だからインサイド高めに来るボールが見えない。肩が入るから真ん中と外角のボールは見えるんですよ。そうすると見えるから、外のかなり外れたボールでも振ってしまうんですよね。そうしたらインコースの簡単なストライクでも見逃したり詰まったりしてしまう。

 

眼鏡を掛け始めてから八重樫の打撃成績は急降下し打率も1割台まで落ち込んだ・・・。

 

―打撃成績が落ちて

八重樫 「もうどうにでもなれや」と思ったんですね。「ここまで来たら もう後はないな」と思って。それでその時に僕の師匠だった中西太さんがコーチに来られたときに、ちょっとその話をしたんですね。そうすると中西さんに「ちょっとハチ もう今年ダメだったら2人で辞めようや」と。その一言があったんです。

 

1983年に師と仰ぐ中西太が10年ぶりにヤクルトのコーチに就任。そして八重樫は選手生命を懸けたスタンス改造に二人三脚で取り掛かった。そして完成した『銀縁眼鏡に邪魔されない』あのスタンスが完成した。

 

八重樫 最終的には最後の形。ピッチャーの正面を向くような感じ。スタンス改造に2年ぐらいかかったんですかね。

 

完成したのがピッチャーを正面に見据える超オープンスタンス。

 

 

―超オープンスタンスになってから

八重樫 それからですね。全部見えるようになったのは。

 

更にボールを見ることで体を開いたことによって相手投手の攻め方にも変化があったと言う。

 

―ピッチャーの攻め方の変化

八重樫 ピッチャーが「八重樫さんにインサイドを投げるのがイヤなんですよね」って。「何で?」って聞くと「体が開いてるから甘くなるんです」と。「じゃあ当てに来ればいいじゃない?」と言ったら「当てにはいけないんで・・・」って言って、結局それで気持ちが外に行くらしいんですね。

 

体を開いて待ち構えるバッターにインコースは投げづらく、ピッチングは自ずとアウトコース中心になってしまうのだ。では、いかにしてアウトコースを見極め打ち返していたのか?

 

 

―バッターボックスの立つ位置

八重樫 一番キャッチャー寄りの端に立ってラインぎりぎりのところに足を回してスパイクの歯で埋め込んで軸をしっかり動かないように。

 

 

八重樫 それで足の指がクゥ~っと締まってくるんですね。そうすると(軸足の右足をさすって)その一本の軸ができる。そして左足はちょうどホームベースの真ん中のライン上に入るような位置で。

 

 

軸足である右足はバッターボックスの後ろのラインぎりぎりの位置。そして軸が動かぬようにつま先を埋め込む。左足はホームベースの中心線を目安に置く。スパイク一足半ほど開く。

 

 

―目付け

八重樫 バッターボックスに入ってバットでアウトコースのストライクゾーンの端に印を付けるんです。ここだとちょうどアウトコースのストライクゾーンだと。

 

 

八重樫 だから右足、左足、ベースの角で三角形をイメージ。

 

 

八重樫 それで構えると。だから目線はアウトコースのストライクゾーンいっぱいなんですよ。インサイドは見えるんで。

 

 

アウトコースいっぱいで目付けする。それより外はボールなので絶対に振らない。

 

 

あのバットを前に倒してユラユラさせる独特の動きはアウトコースいっぱいを見極めるための動きだったのだ。唯一無二のオープンスタンスで打撃が開眼した八重樫は1985年に自身初の打率3割を達成しベストナインに選出された。

 

―眼鏡を掛けている野球少年にオープンスタンスはおすすめ?

八重樫 おすすめはしない(笑) 今は縁無しの眼鏡がありますから、そんなに違和感はないと思うんだよね。俺らの頃は縁があったから(笑)

 

以上です。

眼鏡の影響であんな構えに行き着いた。
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