2018年9月にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」でメジャーで働く日本人というテーマで紹介されていた方がどういう成り行きでその職に就いたのか、色々なことを語ってくれています。

 

仲谷国夫さん、47歳。アメリカで鍼灸の資格を取得してメジャーリーグで初めて鍼(はり)治療を取り入れた第一人者

 

仲谷 初めまして。仲谷国夫と申します。コロラドロッキーズの鍼灸師・マッサージセラピストとして働いています。マッサージセラピストでも、私は鍼ができるマッサージセラピストです。

 

―仕事内容は?

仲谷 基本的にマッサージを60~70%していて、あとの30%ぐらいは鍼ですね。怪我の予防や筋肉をほぐしたりがメインです。あとは、怪我したときのリハビリを兼ねて、鍼治療もしくはお灸なりを入れます。

 

 

高校球児だった仲谷さんはアメリカの大学に進学する。卒業後は永住権を取るために日本料理の店で働く。その後、トレーナーをしていた友人の影響で医療に興味を持ち、アメリカでマッサージと鍼灸の資格を取得。そこで、ある出会いがメジャーの世界に仲谷さんを誘うことなる

 

仲谷 私の中学校の同級生が、大塚晶文さんと大学時代に一緒に野球をしていたんですね。それで、大塚さんがパドレスと契約したときに、2004年のスプリングトレーニングのときに、3月ぐらいからアリゾナまで来てくれと。

 

 

2006年には大塚さんの移籍に伴いレンジャーズに移る。これを機に大塚さんの専属トレーナーから球団所属となった仲谷さん。時には日本流の振る舞いで選手の疲れをほぐす

 

仲谷 レンジャーズで働き始めてマーク・タシェラとか、マイケル・ヤングとか、プレイヤーとして偉大なだけではなく、人格者として素晴らしい人に会えたというのは私の宝物です。

 

 

2008年に大塚さんがチームを離れたことをキッカケに仲谷さんはロッキーズに入団。そこでメジャーの選手で初めて鍼治療を施す。東洋医学を持ち込んだことで最初は苦労もあったという

 

仲谷 鍼に対してあまりいい印象を持っていないメジャーリーグは西洋医学が主流なんですよね。そこに東洋の日本人が来たと。鍼を「なんだこれは」と。そういう反応は最初はありますよね。ですけど、好きな選手はどんどんやってくれとも言うし、鍼でもリラックスを求めている選手もいれば、肩だけでもいいから、腰だけでもいいから早くやってくれっていう選手もいるし。それはもう選手によって違います。日本の文化がこのメジャーリーグに受け入れられたというのはスゴくいいと思います。

 

 

ロッキーズに来て10年。チームには欠かせない存在となる。ロッキーズの選手ホリデイとオタビーノが語っています

 

ホリデイ 仲谷は最高だよ。素晴らしい仕事をする。人柄もいいし、腕もいいんだ。体が張っているときにはちゃんとプレーできるようにほぐしてくれる。彼はロッキーズにとって貴重な人材だよ。

 

 

オタビーノ 僕はもう何年も鍼治療を受けているよ。彼の施術はとても優秀で、いつも選手に力を与えてくれる。それに野球がスゴく好きで詳しいんだ。治療じゃないときも話に行っちゃうよ。

 

 

―今後の夢について

仲谷 私はもう体が続く限り、メジャーリーグで働きたいですね。私も一緒にみんなとプレーしているという感覚になるんですね。だから、勝ったときの喜びとか、負けたときも、みんなと共有できるのがスゴく嬉しいです。あとはやっぱりワールドシリーズで優勝して、みんなと一緒にシャンパンファイトをして、それが夢です。それが叶えば、あとは私が今まで学んだことを日本の若い人たちに教えたいですね。

 

 

―世界を目指す若者たちにメッセージ

仲谷 日本の文化を日本で学んだら、別にメジャーではなくても世界中でも通用すると思います。日本の文化である指圧とか、それから発展したスポーツマッサージとか、そういう技術を習得して、メジャーリーグのトレーナーがやっていることと同じことをやるよりも、違うものを持ってきた方がチャンスはあると思います。それを若い人たちに伝えたいです。

 

 

以上です。

鍼治療はアメリカでも受け入れられるんですね。

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