2017年にBS1で放送された『球辞苑』でストレートをテーマにしている回で阪神タイガースの藤川球児が自身の火の玉ストレートを語っています。

 

これは2017年の2月に収録されたものです
2016年シーズンのストレート投球割合ベスト3
1位 藤川球児 67.9%
2位 南 昌輝 67.0%
3位 松井裕樹 65.9%
藤川はベテランの年齢でもストレート割合が非常に多い投手

 

―2016年のストレート割合のデータを見て

藤川 あれ?まだ僕1番なんですか(笑)

 

―火の玉ストレートの握りは?

藤川 横のラインで内側向きと外側向きがあるんですけど、僕は内側向いてる方で持ちます。人差し指と中指を完全にくっ付けて。多分、一般のピッチャーは多少開いて握ってると思うんです。

 

―投げようとしている球質は?

藤川 縦回転の強いボールですね。普通のピッチャーであれば投げる時に腕が回旋してくるので、多少の横回転というか、横の回旋の腕の振りになるので、ボールが縦回転せずにちょっと横に向いたりしている。僕は本当に縦の回転を意識しているので。空振りは数多く取ってますけど、自分のボールの上を空振りするということはほぼ経験がないですね。

 

―コツは球速を上げすぎない

藤川 スピードを速くしようと思ってやったこともありますけど、速いよりは回転数が多くて空気抵抗を受けた方が球の軌道というのは落ちづらくなる。浮きはしないので、落ちづらくなると思うので、144~148、149キロくらいじゃないですか。一番いいのは。

 

動作解析の専門家も球が速いとホップしにくいと解説しています

 

―火の球ストレートの威力が増す状況は?

藤川 普通のピッチャーってアゲインストの風が吹くと投げるボールが飛ばないんですよ。でも僕はアゲインストのときに投げるとボールが浮いて、人より距離が出るんで。だから、アゲインストで全然構わないんですけど、普通の選手は嫌がりますね。

 

浮き上がるようなボール軌道から強く意識しているのが高めのでの勝負。2016年の藤川のストレートのゾーン別投球割合を見るとバッターの左右を問わず全てのコースにおいて高めの割合が圧倒的に高い。(データスタジアム調べ)

左打者(%)

17.916.423.4
6.53.95.3
13.07.06.5
右打者(%)

21.518.314.9
11.06.01.3
14.46.36.3

 

―高めが多いことについて

藤川 低めの三振はバッターが「低い」と思って見逃してるだけの三振なんですけど、もしバッターがストレート1本で完全に打ちにきたときは低めの場合は(バットとボールの)距離を取れるんで、拾われてガンっとホームランを打たれることもあるんです。でも高めの場合は思ってる以上に上から叩かなきゃいけないんで。それで最後に勝負球で高めを振らせるのが僕の鉄則ですね。

 

 

高めのストレートで三振を取る。どのようにしてこのスタイルに行き着いたのか・・・。藤川は1998年にドラフト1位で入団。先発として期待されるも今のようなストレートを持ち合わせおらず泣かず飛ばずで伸び悩んでいた。どのようにして火の玉ストレートを身に付けたのか。

 

―このストレートを身に付けたきっかけ

藤川 右ひざですかね。(2003年の当時のコーチの)山口高志さんの指導で、僕の右ひざがスゴく折れて地面と平行になっていたのを修正してくれた。顎の高さぐらいでボールを離していたのを、軸足を曲げないことによって頭の高さくらいからボールを離すことによって角度が出るんですよね。今までは角度がなかったんで低い位置からの軌道のボールだったんですけど、上から離すことによって、こういう軌道(緩やかなU字)に変化したんで、それでバッターの対応の変化がスゴく出ましたね。

 

山口コーチのアドバイスにより沈み込むように曲げていた軸足の膝をわずかだが伸ばした状態に修正した。それによりリリースポイントが上がり球筋に角度が出たのだった。

リリース前
リリース

 

―火の玉ストレートを身に付けてから

藤川 それで人生が変わりましたね。140キロくらいしか出なかったピッチャーがストレート中心にバッタバッタ三振を取るようになるとは思ってなかったんで。

 

―どこまでこのスタイルでいくのか

藤川 まあ、去年(2016年)で一番だったのはビックリなんですけどね。今年の方がもちろん自信があるし。未だにそういうデータがあるのは、また自分の中で自信にして、進んでいけるっていう意味では新しく自信ができたので、今日の取材がありがたかったです(笑)

 

伝説の剛腕投手・山口高志と与田剛の記事はこちら

 

以上。

2017年は完全に復活してます。

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