2017年にBS1で放送された『球辞苑』でストレートをテーマにしている回で阪急ブレーブスで活躍した山口高志が自身の剛速球ストレートを語っています。

 



山口高志の主なタイトル

1975年にリーグ優勝、日本シリーズ球団初優勝、新人王、日本シリーズMVP

身長169センチながら剛速球投手として語り継がれている

 

―伝説のストレートについて

山口 速いと言われてましたけど、速さは自分では分からない。スピードガンは当時なかったですからね。キャッチャーがビシッと捕ってくれた音でスタンドのお客さんがざわつくっていう。バンっていう音ですかね。

 

―剛速球の原点は高校時代

山口 監督に教えられたのは「お前は上背がないから上から叩き付けていいスピンで強いボールを投げろ」と、それしか言われなかったんですよ。「とにかく強いボールを投げていけ」っていう。

 

―プロ入り後は

山口 プロに入った年のオールスターで王さんに投げた印象はやっぱり強いです。打たれたことよりも高めのボールを打ち損ねた瞬間に苦笑いしていたなっていう、その印象が今でも残ってますね。

 

―握りについて

山口 僕は物心が付いた頃から真っ直ぐはこう握ってましたね。

山口 よくピンポン球でスナップの練習したりするじゃないですか。あの時にテーブルの上でピンポン球をグッと押し込んで転がしてスピンをかけてピンポン球が戻ってくるじゃないですか。それは指を揃えてる方がそのスピン量が多くなる。

 

―今そうやって投げる選手は?

山口 ほとんどいなかったですね。ただ1人。阪神でコーチとして一緒にやってた藤川球児が指を揃えて投げてました。その理由は同じだったんですけどね。

 

―フォームについて

山口 まず振りかぶる。自分が投げるときに一番大事にしたい感覚は軸足に全体重を乗せるときの感覚なんですよ。そこから全体重を踏み込む足にドーンっと移すっていう。軸足に溜めたものを一気に前に投げつける。腕の振りの速さでボールを強く出したいなっていう。

 

 

―剛速球を生み出した秘密

山口 あんまり今は理にかなってないと思うんですけど、リリースする瞬間に腕を強く振りたいから、左ひざが突っ張るんですよ。急ブレーキを踏んだら後ろの人がドーンっと前に移動したりするイメージ。例えが悪いですけど。

 

ここで山口はバットを持って分かりやすく解説してくれました

バットを縦に持ってそのまま水平に横移動させる動きがノーマルな投球フォームだと考えてください

山口の投球フォームはバットの下側に逆向きの力(ブレーキ)を加えてバットの上側の走りをよくするというもの

 

山口 これは教えられてないんですよ。強く投げるためにそういう事になってしまったなと思うんですけどね。これは絶対に人には薦められないことなんですけどね。(※普通は体重移動で踏み込む足に体重移動をスムーズにするが山口の場合は左ひざを突っ張らせ着地しています)

 

―そのフォームの代償

山口 プロに入った年にトレーナーに年に一回、左ひざに水が溜まるんですっていう。実際に1日動かん時があるんですけど、その水を抜いたらすぐ次の日から動いたんですけど、トレーナーが心配して「絶対にひざに悪いから、そういう投げ方はやめろ」って言われたんですけど、「自分はその投げ方でプロに入れたからそれを通させてください」って。専門家から見るとそれくらいの怖さがあった投げ方じゃないですかね。その当時は野球人生太く短くでいいと思ってましたよ。

 

―体が悲鳴を上げ成績が急落してから

山口 こんな長い中国針を入れたり、足を突き抜けるくらいの長さの針を腰とかにも何ヵ所も打ってもらったんですよね。藁にもすがりたい感じでしたね。

 

膝や腰を悪くしてもなおストレートにこだわった山口

技巧派に転向することなくプロ8年で現役を引退

なぜそこまでストレートにこだわったのか

 

―ストレートにこだわった理由は

山口 もう一回マウンドで投げたときのミットに入る音の歓声をもう一回は聞きたいなと思ってましたからね。

 

―山口高志にとってストレートとは

山口 強い気持ちの表れ。相手を倒すには何か武器がいる。自分の怖さを消すには武器がいる。強い速いストレートやと思うんですけどね。こう見えてもむちゃくちゃ緊張するタイプで気の弱い男でしたから。怖いから強いボールが投げられたと思うんですよね。

 

 

以上です。

太く短くだからこそ今も語り継がれるんでしょう。

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