2019614日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』で新しい外野の守備指標『JUMP』について黒木知宏がフリーアナウンサーの山本萩子と共に解説しています。

 



JUMPの定義

アナ ザ・分析のコーナーです。黒木さん、今週のテーマは何でしょうか?

 

黒木 今週のテーマは『JUMP』です。これは投球開始から3秒間の外野の守備範囲の指標になります。

 

JUMP
外野手の新たな守備指標
投球開始から3秒間の守備範囲

  

アナ はい。これは外野手の守備指標なんですよね。

 

黒木 そうですね。

 

アナ これはどのように算出するんでしょうか?

 

黒木 まずピッチャーが投げて3秒間の間に外野手が動く距離。反応と効率を算出した指標です。

 

アナ なるほど。何故このような指標が生まれたんでしょうか?

 

黒木 近年フライボール革命というものがありまして、外野手の守備範囲であったり、動きがスゴく重要になってくるんですよね。

 

外野フライの割合(2019/6/14時点)
2015年 19.8%
2016年 21.2%
2017年 22.4%
2018年 23.1%
2019年 23.7%

  

アナ はい。

 

黒木 そういったものを算出した指標ということで、その詳しい内容がこちらになります。

 

JUMPでは3つの要素に分類
1 リアクション(初動)
投球開始から1.5秒間に進んだ距離。つまり初動。
2 バースト(加速)
リアクション(初動)から残りの1.5秒間に進んだ距離。打球を追う加速力を表す。
3 ルート
3秒の間に無駄なく打球を追えているか。ルートの正確性を測定する。
JUMPで対象となるプレーはキャッチ確率が90%以下の打球に上記の3つの要素を合計しJUMPとして算出される。数値が高いほど打球に対して高く反応できる選手ということになる。

 

アナ 外野手の守備指標でいうとOAAというものがありますが、違いは何でしょうか?

 

黒木 基本的に平均的な選手よりもアウトを取る確率を計算した指標なんですよね。

 

OAA(Outs Above Average)
平均的な外野手よりどれぐらいアウトを多く取ったか

 

 

アナ はい。ではJUMPはどのようになるんでしょうか?

 

黒木 JUMPはこういうことなんですよね。

 

 

黒木 投球開始から3秒の間に動いた守備範囲を指します。要はどう動いたかということですよね。

 

アナ 打球のアプローチの仕方。追い方ということですよね。

 

黒木 はい。

 

 

JUMPの1位は誰か 

アナ こうなってくると誰が一番守備範囲が広いのかというのが気になってきますよね。

 

黒木 はい。こちらがトップ5になるんですよね。(※出典:Baseball Savant)

 

JUMP 投球開始から3秒間の守備範囲(cm)
1位TBキアマイアー+88.3
2位CWHガルシア+60.9
3位BOSブラッドリーJr.+42.6
4位CHCアルモーラJr.+39.6
5位MILケイン ほか2名+33.5

 

黒木 平均的な選手から比較してナンバーワンになったのがレイズのキアマイアー選手。

 

アナ ちょっと顔ぶれを見てみると意外な感じがするんですが、キアマイアー選手の88.3cmというのはどのように考えたらいいんでしょうか?

 

黒木 この88.3cmというのは数字で見るとけっこう微妙な感じに見えるんですけど、要は第一歩目が88.3cmということなんですよね。ですから際どい打球に対してダイビングキャッチをしなくても捕れる可能性が高いと。それだけ打球に対する反応がいいという数値なんですよね。

 

アナ 捕れる範囲が広いということですね。

 

黒木 そのキアマイアー選手の各項目を見て頂きたいんですけど。(※出典:Baseball Savant)

 

キアマイアーの今季のJUMP (cm)
初動+30(6位タイ)
加速+61(1位)
ルートの正確性-6(32位)

 

アナ 初動ではメジャー6位、加速はメジャー1位なんですね。

 

黒木 そうですね。投球開始から1.5秒で動く範囲と、そして次の1.5秒の間の加速ですよね。これがナンバーワン。この数値からは打球への反応の良さが見えますね。

 

アナ なるほど。

 

黒木 もしかすると厳しめの打球でも当たり前に捕ってしまうということですから、それほど反応がいいということですよね。

 

 

名手の名前がない

アナ キアマイアー選手は素晴らしい選手ですが、外野守備の名手といわれるハミルトン選手やバクストン選手の名前がないというのはちょっと意外ですよね。

 

黒木 そうですね。これを見るとキアマイアー選手と比べるとハミルトンとバクストンは全く違いますよね。(※出典:Baseball Savant)

  

初動加速ルートの正確性
キアマイアー+30+61-6
ハミルトン0+9-6
バクストン-270+15

 

アナ はい。

 

黒木 ただバクストンに関してはしっかりと打球を判断してから落下地点に向かうという脚力がありますので、能力の高さでいうとバクストンの方が優れているというのもあるんですよね。

 

今季のOAA(出典:Baseball Savant)
1位バクストン10
2位キアマイアー9

 

アナ なるほど。バクストン選手はOAA1位ですよね。

 

黒木 キアマイアー選手はOAA2位なんですよね。打った後に一瞬で判断して、そこに向かって行くという身体能力の高さがうかがえますよね。

 

アナ JUMPだけでは分からない部分がこういうところに表れているんですよね。

 

黒木 はい。ですから完璧な指標ではないかもしれないですけど、重要な一歩目がどれぐらいうまく反応できるかというのがこの指標になっていますので。

 

アナ なるほど。OAAJUMPで外野手の能力をどちらかで判断するというのは難しいということですね。

 

黒木 まあどっちか、というのはまだ言い切れないですけど、ただダイナミックなプレーをするということも大事なんですが、JUMPでは当たり前のようにボールをキャッチする、そのための第一歩の反応の良さを見せてくれる指標で、もしかすると陰に隠れた選手が見れる数字かもしれないで今後も注目していきたいなと思います。

 

アナ そうですね。ちょっと通好みな選手を見つけられそうな指標でもありますよね。

 

黒木 はい。

 

 

以上です。

色んな指標がありますが、2つの指標を合わせてみたりするといいのかもしれません。
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