2018年10月26日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」でニューヨークヤンキースの田中将大のインタビュー。聞き手はフリーアナウンサーの久保純子。

 

ポストシーズン敗退から8日後の10月17日に収録されたインタビューです

 

現況

久保 今は野球のスイッチを切っていますか? 他のチームのポストシーズンの行方は気になりますか?

 

田中 まあ、アメリカンリーグの方がやっぱり気になりますね。ナショナルリーグよりもアメリカンリーグの方が興味があります。

 

 

ポストシーズン好投の理由

レギュラーシーズンの最後の2登板で打ち込まれた

9月20日 BOS戦  4回0/3 失点5

9月26日 RAYS戦 4回0/3 失点4

 

ポストシーズンのレッドソックス戦

10月6日 5回78球 3安打 失点1

 

最後に不安が残る2登板だったが、なぜポストシーズンでは好投できたのか。

 

 

田中 あの登板もすごく良かったわけではなくて。やっているときはそんなに余裕はないですよ。

 

久保 うん。

 

田中 でも、結果的に登板の前日に『あ、これだ!』っていうのが来たから今そうやって言えますけど。

 

久保 へぇ~。その前日に『これだ!』っていう感覚は来たっていう瞬間があるんですか?

 

田中 僕は腕を振る前の準備段階が一番大事だと思うんで、そこで如何にコントロールできる、投げられる位置に腕を持っていけるかどうかっていうのが大事かなと思っています。腕の振りとか、腕の角度だけを気にしても意味がないというか。結局、腕の振りは一番最後についてくるだけなんで。

 

久保 はい。

 

田中 久保さんでも腕をグルグル回しても、腕だけ回すならそんなにブレてないじゃないですか。何回やっても腕は同じところを通るわけじゃないですか。

 

久保 はい。

 

田中 でもこれを何で自分が思うように制御できないかっていうのは、その前の動作でズレが生じているから一番最後の部分でズレが大きくなるわけなんですよ。

 

久保 はい。

 

田中 だから、僕はその腕を振る前の動作が大事だと思うし、振りかぶるだったり、セットポジションだったり、ワインドアップでそこから足を上げて全て連動して繋がっていって最後の腕の振りなんで。

 

久保 それはやっぱり体の感覚、もちろん気持ちの問題が合致したのが、この前日だったんですね。

 

田中 そうですね。

 

 

今シーズンを振り返って

久保 全体を振り返ると今シーズンはどんな言葉で言い表しますか?

 

田中 いやぁ、悔しかったですよ。いい投球をしていても、80球だったり、90球ぐらいで代えられることがザラで、やっぱりデータとして1巡目、2巡目ときて、3巡目になると被打率が悪かったり、被長打率も高かったりとか、点数を取られてしまうというデータがあるから。

 

2018年シーズン(データスタジアム調べ)

打者被打率被長打率
1巡目.230.383
2巡目.223.382
3巡目.283.551

 

 

田中 でもじゃあ、先発投手としてそれでいいのかというとそうじゃないし、やっぱりマウンドに上がったら1球でも多く、1個でもアウトを多く取りたいし、1イニングでも多く投げたいし。やっぱりすごい悔しかったですね。まだまだ投げられるのにっていう。

 

その中でも最も悔しかった試合が前半戦最後の試合となった7月15日のインディアンス戦。7回1アウト1塁、2対2の同点の場面で降板を告げられる。球数はまだ77球だった。

 

田中 7回途中で77球ですからね。

 

久保 うん。

 

田中 まあ、ヤンキースというチームはリリーフに厚みがあって強力ですし、やっぱり勝つためにはそこを惜しみなく投入していった方がチームが勝つためには交代するのもしょうがないなと思いますし、だからこの状況は自分がしっかりと結果を出して采配を変えるじゃないですけど、絶対にこの状況を変えてやるっていう思いが更に強くなったのがその試合でしたね。

 

次の登板の7月24日のレイズ戦を9回を僅か3安打に抑え完封勝利し自らの実力を証明する。前半戦では4.54だったが、後半戦では防御率は2.85と改善。日本投手で初めてメジャーデビューから5年連続2桁勝利をあげる。

 

 

来年に向けて

久保 ここで恒例の小宮山さんからの質問です。「メジャーで5年目を終えました。今シーズンは過去4年間と比べて自身の成績をどのように捉えていますか?2016年がベストだと思いますけど、その年と比べてどうですか?」

 

田中 誤解を恐れずに言うと、感覚的に言うと、過去は何となくで抑えられていたというか。今までもピッチングに対して相手打者との駆け引きだったりを考えていましたけど、今の方が間違いなく打者との駆け引きを考えてはいますね。その時よりは自分も投手として成長できていると思います。投球の幅を広げたいですよね。球種を増やすとかじゃなくて、いつも言っているように精度を高めたいというところで、本気で取り組んでみようと。今までが本気じゃなかったという訳ではないんですけど。

 

久保 はい。

 

田中 もっと数多くやってみたいと思っていることに対して数多く投げて、ちょっと時間をそれに割いて、やってみようかなと思います。

 

 

以上です。

色々と考えさせられるシーズンだったようです。

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