2019年5月10日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』でこの日のvs.マイアミマーリンズ戦で今季8試合目の先発。与四球6で4回降板となったシカゴカブスのダルビッシュ有のピッチングについて岩村明憲がフリーアナウンサーの山本萩子と共に解説しています。
この日のダルビッシュの投球内容
4回97球 被安打1 奪三振7 与四球6 失点1
今季2勝3敗 防御率5.40(5/10の試合終了時点)
試合後のダルビッシュのコメント
ダル 最初から真っ直ぐに関しては良くなかった。真っ直ぐでストライクが入らないのでカッターとかスライダーが見送られて球数が増えて気がします。もう一回アリゾナでの良かったときのビデオを見て、今の投球と照らし合わせて、今の自分がどうなのかをちゃんと見直して修正していきたいと思います。
岩村の解説
アナ ダルビッシュ投手、1失点で抑えていましたが4回で降板。3勝目とはなりませんでしたね。
岩村 そうですね。失点1なんですけど、やはり6四球で球数を要してしまったのかなと。
アナ そうですね。
岩村 自ら白星を手放してしまいましたね。
アナ はい。そして今日はフォアボールが多かったんですが、フォアボールを出した以外にも5球以上要した打者が19人中で12人いたということなんですよね。
岩村 そうなんですよね。確かに対マーリンズ打線を考えて、ダルビッシュ投手はいい球を投げていたんですけど、その球をファウルされていたり、何とか粘った打席を作られた部分もあるんですけど、ちょっとコントロールが良くなかったですね。ちょっとゼウスを見てもらいたいんですけど。(※ゼウスとは打者目線からピッチャーが投げるボールの軌道が分かるツール)
アナ 今日投げた速球系の全球の軌道ですね。
岩村 フォーシームとツーシームの全球の軌道ですね。ストライクゾーンの枠外の明らかなボールというものが少し多いのかなと。これだけゾーン外のボールが多いとバッターというのは真ん中周辺に狙いを絞り始めるんですね。
アナ なるほど。
岩村 はい。タイムリーを打たれたシーンにそういったところが見られていました。
アナ はい。
岩村 2球目に1ストライクから左バッターの外に大きく外れます。そのボールのときに盗塁を許します。キャッチャーも投げづらい体勢でした。ここまで抜けるボールというのは今までのダルビッシュ投手からはなかなか想像できない。そういった中でストライクを取りにいったわけではないと思うんですけども、しっかりと腕を振って投げようとしたカットボールが甘く入って痛打されました。打たれたヒットはたったこの1本なんですけども、スゴく本人にとっては痛い1球になってしまったなと。
アナ そうですよねぇ。コントロールがこの様な結果を生んでしまったと。
岩村 そうですね。
アナ そしてマッドン監督は試合前に「本人が考え過ぎるのをやめるだけでいい。頭脳ではなく才能に身を任せてマウンドに上がればいいんだ」と話していたそうです。そして試合後には「7つ三振を取っているし健康だから何も問題はないよ」と、今後も先発で起用する方針を明言しました。
岩村 そうですね。マッドン監督とは自分もタンパベイ・レイズ時代に一緒にやってまして、彼は選手のことをスゴく信頼してくれますので。その監督が前向きなコメントをしているので信頼は変わらないということだと思います。
アナ はい。
岩村 ただ、ダルビッシュ投手は完璧を求め過ぎているんじゃないかという部分がスゴくありますね。「この球はこうじゃなきゃダメだ」というのを追い求め過ぎて、結果としてよそ行きの野球になっていると。ダルビッシュ投手は物凄いポテンシャルのある選手なので、一つ一つの球種がメジャーでもトップクラスの選手なので、例えば下位を打つようなバッターにはもう少し気楽に投げられるように。今日でも三振を取っている球には本当にいい球があるんです。
アナ はい。
岩村 でも、それ以上にいい球を投げようとした結果がボールボールになった結果に繋がっていると思います。そういう部分でメンタルが落ち着けば今まで以上のピッチングができると思いますね。
以上です。