2017年にBS1で放送された『球辞苑』でライオンズなどで活躍した土井正博が引っ張りの打撃について語っています。
―「引っ張り」と言えば土井さん
土井 はい。流したらもったいないような気がするんですよね。
もくじ
外角の引っ張り
―引っ張りの極意
土井 外角の球を真ん中にするっていう感じですよね。
土井 こういうふうに立って構える。
土井 それで普通の球だとバットはどこでも届くんですよね。バットの長さとリーチの長さでちょうど外角の球が真ん中になるようにね。
―もう1つの極意
土井 ボールを捉える瞬間の腕の形を二等辺三角形にする。
土井 ホームランバッターは大体ここで大きい三角形を作って打つというね。
―その結果
土井 「あっ!」と思っても二等辺三角形を作ってインパクトをすると飛ぶんですよ。手が抜けていくから。ただ、気を付けていたのは左肩を開かないようにね。
土井 足だけは開いても左肩は開かない。
土井 そこで開かないということは、グリップはまだ後ろに残ってますからね。そこからスイングすれば勝手に両腕の二等辺三角形ができてるということですね。先ほど言ったように左肩を開く人は二等辺三角形を作れない。
では、ホームベース寄りに立つことで窮屈になる内角はどう引っ張るのか。
内角の引っ張り
―内角の引っ張りについて
土井 インサイドには物凄く自信があったんですよね。
―内角打ちの技術
土井 内角に来たボールに対して手を畳めるというのがあったんですよ。畳んだ時の小さい腕の三角形でもホームランになる。
土井 うまく左肘を背中側に抜きましたね。そうするとちょうどポール際にスーっと切れないでスタンドに入るんですよ。
―ヘッドをピッチャーに向ける構えについて
土井 その構えからヘッドを遅らせるようにスイングする。
―それはなぜ?
土井 普通にヘッドをピッチャーに向けずに構えたらバンっと振ったらヘッドの面が早く出てしまうので。そうなると芯に当たっても全部ファウルになるんですよ。そこでヘッドをピッチャーに向けブワンとスイングしたらちょうどヘッドが遅れてくる。
土井 それでスイングするようにしたらレフトのポールの方に入るようになったんですよね。
―ボールが来て、どの時点で引っ張ろうとする?
土井 それは自分の感性ですよね。その感性で前の方でバーンといくし、外目の変化球もフワーっと来たら手がバーンと伸びていくしね。内寄りにシュートが来たら腕を畳んでグワっといくしね。
―改めて引っ張りとは?
土井 僕の生きがいですね。流して失敗するよりは自分が納得するような引っ張りで失敗した方がええっちゅう考えで。頑としてそれをやりましたのでね。
以上です。