2018年11月16日にNHK総合で放送された「サンデースポーツ2020」で元中日ドラゴンズの岩瀬仁紀がインタビューを受けています。聞き手はNHKアナウンサーの大越健介。

 



引退後

大越 プレイヤーから離れられて、1ヵ月経ちますけども、体の具合とかで現役時代と違うことはありますか?

 

岩瀬 1ヵ月何もしてないんですけど、終わってから体に痛いところが段々と出てきて、今は体が良くないですね(笑)

 

大越 例えばどの辺りですか?

 

岩瀬 朝起きたらですね、もう両肘が動かないんで。固まっちゃって。今は起きるのが大変ですね。

 

大越 あぁぁ。

 

岩瀬 やっぱりシーズン中は野球のためだけに機能しているような感じで。

 

大越 うん。

 

岩瀬 やっぱりシーズンが終わって気が抜けると、そういうのが出てきますね。

 

 

プロのスタート

岩瀬のプロ初登板はルーキーイヤーの開幕戦

1点リードの場面で登板し1アウトも取れずに逆転される

 

岩瀬 試合が終わってミーティングがあって。

 

大越 はい。

 

岩瀬 星野さんが「今日は自分のミスをよくカバーしてくれた」と言ってくれて。そのミスが僕だったので、監督にミスと言わせてしまったことがスゴく悔しくて、そういうことを言わせないようにっていう気持ちがその試合の後にありましたね。

 

この年の岩瀬は65試合に登板し、最優秀中継ぎをタイトルを獲得。

 

 

抑えに転向

6年目の2004年に落合監督から抑えへの転向を告げられる

 

大越 マウンドに上がる気持ちというのは、これは岩瀬さんしか分からないと思うんですけど、表現するとどんなモノでしたか?

 

岩瀬 そうですね。まあ、抑えになって、やって当たり前ほど難しいものはないなと。

 

大越 うーん。

 

岩瀬 岩瀬が出てきて試合に勝ったと思われることが、一番自分の中ではキツかったですね。それをいかに守って試合を終わらせるかを考えるんですけど、自分の気持ちの中では攻めないと、やられてしまう、打たれてしまうので。

 

大越 はい。

 

岩瀬 その気持ちの持っていき方というのはちょっと難しかったですね。

 

大越 正直プレッシャーもあって、しんどいなあと思う時もあったんじゃないですか?

 

岩瀬 それはもちろんプレッシャーもあるんですけど、やっぱり勝って終わった時のね、何て言うんですかね。自分が最後を締めた、あの気持ちの良さだけは、あれは最後を投げるピッチャーじゃないと分からないんで。やっぱりあそこの場所で投げてしまったら、他が出来なくなりましたね。

 

 

最高に緊張した場面

2007年11月1日の日本シリーズ第5戦で中日が勝てば日本一が決まる試合で8回までパーフェクトピッチングをしていた先発の山井大介に代えて落合監督は岩瀬を投入した場面

 

岩瀬 スタンドが動揺していると初めて感じましたからね。

 

大越 うん。

 

岩瀬 やっぱり自分が出ていったらいけなかったのかなと感じるぐらい異様な空気でしたね。

 

大越 それを託された岩瀬さんも凄いですよね。

 

岩瀬 いや・・・まあ、行けと言われたんで行くしかない。こちらから言わせてもらえれば拒否権がなかったっていうところですから(苦笑) まあ、本当に逆の意味ではよく代えれたなと思いますよね(苦笑)

 

大越 うーん。

 

岩瀬 負けていたら、どうなっていたんだろう。逆に僕の人生あそこで終わったんだろうなって思うぐらい怖いですよね。

 

四球すら許されない緊迫した場面。1人目を空振り三振。2人目をレフトフライで2アウト。そして最後のバッターを2ボール2ストライクで追い込んだ時に岩瀬はキャッチャーのサインに首を振る。

 

岩瀬 谷繁さんが最初アウトコースのスライダーのサインを出したんですけど。

 

大越 はい。

 

岩瀬 僕は首を振ったんですけど、後から「何でお前、首を振ったんだ」と言われたんですけどね。

 

大越 はい。

 

岩瀬 外スラがその時にボールになったらどうしようって。

 

大越 そうか。フォアボールも出せないですもんね。

 

岩瀬 2ボール2ストライクで3ボールにしたくない心理が働いて。いつもだったらそんなことを考えないんですけど、フルカウントになったら投げられないと思ったんで、それで首を振って、アウトコースに真っ直ぐを投げたんですけど。

 

 

勝負のアウトコース真っ直ぐで最後のバッターをセカンドゴロに打ち取りゲームセット

 

大越 終わった瞬間は一気に脱力ですか?ガッツポーズよりもホッとした感じ。

 

岩瀬 試合前に川上憲伸君に「岩瀬さんはいつもガッツポーズがカッコ悪いから考えてあげる」って言われてて(笑)

 

大越 うん(笑)

 

岩瀬 それで試合前に一生懸命、ガッツポーズの練習していたんですけど、そんな事はもう頭の中には無かったです(笑)

 

大越 フフ(笑)

 

岩瀬 だから不細工なガッツポーズしてましたね(笑)

 

大越 ハハハ(笑)

 

岩瀬 もうガッツポーズを考える余裕なんて全く無かったですからね。

 

大越 うん。

 

 

20年投げ続けた信念

大越 満足のいくプロ野球人生の最終盤ではなかったのかなと思うんですけど、引退を決断した時は悔しかったですか?

 

岩瀬 悔しいというよりも、何て言うんですかね。ずっと自分の中で思っていたのが、任されたイニングはキチッと守って代わるというのが・・・それが出来なければ逆にチームに迷惑をかけるということなんで。

 

大越 うん。

 

岩瀬 途中で代えられるというは、自分の中ではそういう選手になったらいかんなというのがずっとあって。後輩たちにマウンドを任せてマウンドを降りるというのがちょっと辛かったですね。

 

大越 投手人生をやり直せるとしたら、先発をやってみたいですか?それともリリーフをやってみたいですか?

 

岩瀬 いや、まあ、やれるなら先発をやってみたいですね(苦笑) やっぱり自分の責任だけで済む方がいいです(笑)

 

大越 はい(笑)

 

岩瀬 一つの勝ちが付くか付かないかで、言ってみれば人生が変わるところもあるので。だから、人の人生まで背負ってやっているところがね、やっぱり正直苦しいですよ。でもただ、セットアッパーや抑えで自分の生きる道を見つけてからは本当にやり甲斐を持ってやっていましたし、自分が結果を出すことでチームの結果にそのまま直結するというのがね。まあ、屋台骨を背負っているような感覚でいましたから。まあ、辛いことが多いんですけど、やってて良かったなって思いますね。

 

 

以上です。

岩瀬はレジェンド。

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