2016年10月に放送された「スポーツ酒場 語り亭」で古田敦也が日本シリーズの鉄則を番組MCのミッツ・マングローブとフリーアナウンサーの西島まどかと共に語っています。
西島 日本シリーズの鉄則をお願いします。
古田 はい。
フリップを出す
『看板打者を抑える』
古田 色々とあるんですけど、短期決戦なんでやっぱり看板打者を抑えるというのが大きなテーマじゃないですかね。
ミッツ うーん。
古田 例えばこのバッターが乗ってくるとチーム全体が乗ってくるというバッターがいるんですよ。こいつだけは絶対に抑えないといけない、避けて通れないという奴がいるんですよ。
ミッツ うん。
古田 そういう奴をどうやって抑えるのかをみんなで頑張って、相手チーム全体に『この日本シリーズ勝てないのかなあ』という感じで意気消沈させるためにそいつを何とか抑えないといけない。
ミッツ そういう選手は一人いるんですか?
古田 だいたいいるんですよね。僕らが戦った時に『こいつは避けて通れないなあ』というのがね。まあ、1995年のオリックスのイチローであったり、1997年の西武の松井稼頭央であったりね。
ミッツ はい。
古田 こいつらは避けて通れない。抑え込んで勝ってやろうというのがありましたよね。
ここでVTRに入る
1995年のオリックス・イチロー封じが紹介される。日本シリーズ前から野村克也監督が内角攻めを公言し意識させて1戦目の1打席目で振り子打法の振り子が小さいことから内角を意識していると感じた古田は外角も有効に使い見事にイチローを封じ、見事に日本一になる。
ミッツ やっぱりイチロー対策になりましたか。
古田 そうですね。1995年はイチローですね。彼はポイントゲッターでもあるんですけど、どちらかと言うとリードオフマンなんで塁に出ると足も速いんでね。それで振り子打法でショートゴロを打ってもセーフになる。
ミッツ うん。
古田 もう打つ時に前に体重が掛かって当てただけのバッティングのショートゴロでも内野安打になってしまう。逆にピッチャーからするとそういう内野安打は打ち取った感じになるんですね。
ミッツ はい。
古田 それでセーフになると相手チームが盛り上がるんですね。イチローらしいって感じで。
ミッツ そうか。
古田 だから僕らにしてみれば、ゴロアウトは一切取らない。アウトにするならフライアウトか三振。それで、いけるところまでいこうという形で。
ミッツ 徹底したんですね。
古田 そうですね。
ミッツ それでアウトを取られたバッターは意気消沈しちゃうんですか?
古田 そうですね。第4戦か第5戦に実はイチローにホームラン打たれるんです。
ミッツ うん。
古田 インコースの高めを狙い打ちで。打たれるんですけど、でも彼が目覚める前に日本シリーズが終わって良かったですね。(※1995年の日本シリーズは5戦目で終了)
西島 短期決戦だからですね。
古田 短期決戦だからこの作戦でいけるところまでいこうと。それでドンドンいってね。内野手も普通はイチローだったら三遊間を締めて守るんですけど、一二塁間を締めてもらって、インコースを打ってもらって、いい当たりでもセカンドゴロと。
ミッツ そのプレッシャーを与え続けることで、イチローもその振り子打法を封印せざる負えないところまで追い詰めたということですよね。
古田 僕たちがというよりも、彼の中でも注目が集まっているんで、自分が打たなきゃ勝てないという本人も意識があったので力みがあったと思いますから。
ミッツ でも、その時点で勝負アリという感じがしますけどね。
古田 まあ、我々にとってみれば唯一、勝てるチャンスのある作戦だったんでね。ただ、野村監督が「インコースにいけ」とマスコミに仰っていたんでね。
ミッツ はい。
古田 『それ俺たちの作戦やんけ』と正直言うと思っていましたよ(笑)
ミッツ そうですよね。新聞にもデカデカと載ってましたしね(笑)
古田 みんなで考えてミーティングでやったのに、それを公言して、監督いいのかなと思っていたらその後に監督に「それを利用してリードしろ!」ってまた言われましたからね(笑)
ミッツ それもちょっとリスキーですよね(笑)
古田 上手くいったから良かったですけど「それを利用しろ」と言われて。
ミッツ 短期決戦ならではの心理戦とかもあるんですね。
以上です。
イチロー封じは有名ですね。