2017年にBS1で放送された『球辞苑』でMLBの事なら何でも知っているAKI猪瀬がメジャーのスイッチヒッターについて語っています。

 

―最近のスイッチヒッター

猪瀬 ここ30年くらいのスパンで見ると、極端に増えてもいないし、大幅に減っている訳でもないです。しかし全体の流れから見ると、毎年少しずつ減少傾向にあるのかなという感じがします。

 

―具体的にスイッチヒッターの数は?

猪瀬 2016年シーズンでスイッチヒッターで規定打席に到達している選手は17人います。スイッチヒッター全盛期にはパワーヒッタークラスのスイッチヒッターが多い時代が多少あったんですが、どんどん引退していく中、両打席でヒットを量産するスピードを重視するような中距離ヒッターのスイッチヒッターが今は少しずつ残っている状況です。

 

―日本より多いがMLBではスイッチの需要があるのか?

猪瀬 アメリカの場合は、162試合という長いシーズンを限られた25人で戦います。バッター目線で見て、やはり左右両打席で打てるバッターはユーティリティ性が非常に高いので、限られた人数で戦う上でこういう選手が非常に需要があるのが現在のメジャーリーグになっています。

 

ここからAKI猪瀬が考えるメジャーリーグの歴代スイッチヒッターBEST3

 

第3

チッパー・ジョーンズ

通算成績 打率.303、本塁打468、打点1623

 

猪瀬 やはり野茂さんの好敵手と言われていたアトランタ・ブレーブスのチッパー・ジョーンズ。このチッパー・ジョーンズはスイッチヒッターとして通算打率3割以上。そして400本塁打を達成している唯一のスイッチヒッターです。

 

 

第2

エディ・マレー

通算成績 打率.287、本塁打504、打点1917

 

猪瀬 メジャーリーグ史上3人目となる3000本安打プラス500本塁打を記録したエディ・マレーだと思います。エディ・マレーはヒットを両打席で打てますし、両打席でホームランを打てるという非常に万能型の素晴らしいスイッチヒッターでした。

 

 

第1

ミッキー・マントル

通算成績 打率.298、本塁打546、打点1509

 

猪瀬 スイッチヒッターの扉を開いたミッキー・マントルがやはり歴史上ナンバーワンのスイッチヒッターだと思います。彼は左右両打席でホームランを打てますし、ヒットも打てるということで、スイッチヒッター史上初めてトリプルクラウン、三冠王を獲ったのがミッキー・マントルでした。このミッキー・マントルの出現によって、続々とスイッチヒッターがメジャーの世界に出てきます。

 

 

なぜアメリカでは優れたスイッチが次々と生まれるのか。彼らはいつ頃からスイッチヒッターの練習を始めるのか。海を渡った松井稼頭央選手はその育成環境に驚いたという。

 

松井 僕はプロからスイッチヒッターの練習を始めましたけど。逆に「プロからやったの?」みたいな。他の選手とかは結構小さい時からやってる選手もいましたし。それが当たり前になってるんでしょうね。

 

―幼い頃からスイッチをやる背景は?

猪瀬 まずパイオニアとなったミッキー・マントルの場合は、彼は5歳の時に野球好きのお父さんの教えによって右利きからスイッチヒッターに変身するための練習を5歳からお父さんに叩き込まれた。このミッキー・マントルのデビュー以降に誕生しているスイッチヒッター、例えばマーク・テシェイラでもいいですし、テシェイラの前に活躍していたチッパー・ジョーンズでもいい。このクラスの選手たちが何故スイッチヒッターをお父さんに教え込まれたかというと、ちょうどこういう選手たちのお父さん時代がミッキー・マントルの全盛期なんです。なので、ミッキーマントルを見て青春時代を過ごした男の子が、ある日お父さんになり、自分の息子を授かった。そうしたら「うちの息子もミッキー・マントルのようなスイッチヒッターになってほしい」という思いがあって、6~8歳くらいの時からスイッチヒッターを教え込まれている。それでスイッチヒッターになったという選手が圧倒的に多いです。

 

 

以上です。

ミッキー・マントルから全てが始まった。

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