2019年1月4日にBS朝日で放送された『スポーツクロス』で野村克也と古田敦也が対談。野村克也が思う現在の野球界について語っています。テレビ朝日アナウンサーの徳永有美に説明し語り掛ける部分も多々あります。
野村 今、自分が思っていることはちょっとボヤきに近いことですけど、本物の野球が今どこに行ったかっていう。
古田 うーん。
野村 そんな思いなんですよ。監督の考えている事とか、選手を導こうとしている方向性とか、そういうのがよく分かんない。だから今、正直に言って、グラウンドに行くのがイヤです。
古田 ちょっと物足りない部分がありますか。
野村 うーん。面白くないね。以前は自分自身も未熟ということもあったんだろうけど、やっぱり何かお土産というか、何か勉強することが多々あったんですよね。
古田 はい。
野村 最近は全く。もうボヤキのノムさんがどんどん酷くなる。「何やってんだ?何考えてんだ?」っていう。そんな思いで帰ることが多いですね。
古田 監督が一番嫌うのは理由が見当たらない。何となくやるとか、根拠が無いというのでやってることが見える時があるんですよ。監督は一番それを嫌いますから。そういう事ですよね。
野村 もうキャッチャーのサインで「根拠の無いサインを出すな」というのがよく怒る言葉で多かったと思うんですよ。だから、困った時にどうするかという。
アナ はい。
野村 迷ったら原点に帰れという言葉があるじゃないですか。ピッチングの原点は外角低めですから。昔そんなキャッチャーがいましてね。外角低めばっかり要求してね。「お前いつも困ってんのか?」って言ったら「はい」って返してきて。
アナ フフッ(笑) でもそれも分からないという理由があるから、それも良しということなんですね。
野村 そういうこと。
古田 本物の野球をまた伝えるというのが監督のお仕事ということで。
野村 最近は球場に行っても、何かボヤキたくなる。
アナ そうですか。
古田 でも監督がボヤいてると、皆さんはそこに問題があるんだと分かりますからね。これはいつまでもボヤいてもらわないと。何か急に選手を褒め出したら僕らもちょっと違うなと思いますから(笑)
アナ やっぱり監督にはボヤいてもらいたいと。
古田 もうずっと言っといてもらいたいですね。
野村 まあ、ボヤくという言葉が非常に悪いんだけど、ボヤくのはどういうことかというと、理想と現実。現実はなかなか理想に届かないじゃないですか。
古田 はい。
野村 そのギャップが色々と不平不満を言わせる。それがボヤキなんですよ。だからボヤくということは理想が高いということと捉えてもらえると非常にありがたいですね。
以上です。
ずっとボヤいてほしいですね。