20172月にBS1で放送された『球辞苑』で岡田彰布が打順の6番打者の重要性について語っています。

 

軽く語るところから

―今回のテーマは6番打者

岡田 僕も経験があるんだけど、これは・・・最初に言っておきますけど正解はないかもしれないですよ() 難しいです。一番難しい打順ですね。

 

―今は野球界は6番打者を軽視していると言っていたが

岡田 うん。ちょっとね。物凄い重要な打順なんですよね。クリーンアップは簡単に決められるんですよ。そっからの後ろですよね、難しいのは。

 

6番は重要か?

岡田 めっちゃくちゃ重要ですよ。

 

3番より重要か?

岡田 3番は楽ですよ()

 

4番より重要か?

岡田 あぁ・・・だからね、結局打ったらなんだかんだで言う打順じゃないんでね。

 

どこのチームも6番に打って当たり前のスラッガーを置く余裕はない。だからこそ6番打者の能力とその使い方が勝敗の行方を左右する。その考え方から岡田は監督時代に6番打者の起用法に強いこだわりを持っていた。

 

ここでボソッと岡田が呟いています

 

岡田 6番打者ねぇ・・・中途半端な打順やからな~。

 

ここから本題

 

 

6番打者の役割

6番打者軽視を感じる部分とは

岡田 簡単に言うと、ちょっとクリーンアップで調子が悪くなったら打順を下げて6番みたいなね。ちょっとそういう感があるんじゃないかと思いますね。

 

―その考え方は違う?

岡田 やっぱりクリーンアップを挟んだ打順というのは特に重要で、特に6番になると23点取った後に45点というビッグイニングというかね。そうなってくると勝負を決する打順かも分からないし。

 

岡田は6番打者はビッグイニングを生み、試合を決定付ける打順だと言う。例えば1番から始まるイニングで6番まで回ってくる状況は得点を入れた後の更なるチャンスか、無得点で2アウト満塁。その一打によってゲームの流れが大きく変わる。

 

6番打者の一打

岡田 初回2アウト満塁。スゴいプレッシャーになる。そこで点を取るのと、0点で1回を終わるのとでは流れが大きく変わってくる。段々点が取れなくなってくると、やっぱり重い打順やなと思ってくる。

 

7番ではそういう位置付けにならない?

岡田 7番までチャンスは来ないですね。

 

6番打者はどういうタイプに適正がある?

岡田 勝負強さを求めたいですね。

 

岡田が求めた6番の適正は勝負強さ。阪神監督時代には桧山、浜中、スペンサーなどを主に起用。またオリックス監督時代にはイ・スンヨプ、T-岡田、バルディリスなどクリーンアップを打てるような強打者を敢えて起用していた。

 

 

監督時代の6番起用

―なぜオリックスでは強打者をクリーンアップに置かないのか?

岡田 ランナーがいると4番とかは歩かされることが多いからね。勝負を避けられることが多い。2アウト2塁とか、2-3塁とか、そういうときはやっぱりちょっと勝負を避けて6番勝負というケースは結構多かったですよね。

 

打線の中軸で常に警戒されるクリーンアップ。勝負を避け、歩かされることもしばしばある。しかし、6番に勝負強いバッターを置くことでクリーンアップの敬遠を抑止する効果があると言うのだ。

 

岡田 そしてもう1つはクリーンアップが打ってくれたから、物凄く楽に打てる打順でもあるんですよね。もうどさくさに紛れて3点目4点目を取る打順かも分からない。そういう意味では楽かもしれないですけどね。

 

クリーンアップで点を取ってくれれば6番は気楽に打席に立ててプレッシャーが軽くなる。そのため期待の若手に6番を打たせてのびのびと経験を積ませることもあった。

 

―若手の6番起用

岡田 (優勝した)2005年は6番鳥谷でスタートしたんですよ。これからの選手でそういう経験もあるしね。若手を出すのはなかなか思い切りがあっていい面もある。僕らの現役時代やと佐野さんや長崎さんのベテランが勝負所というのが分かって打席に立てる選手ですよね。

 

岡田が6番打者を重視するようになったのは現役時代だった。5番打者として最も近くで6番打者の優れた仕事を見てきたからだと言う。1985年、バース・掛布・岡田は3人揃って3割100打点という驚異のクリーンアップが今もなお語り草になっているが実はその後ろを打った6番打者こそが優勝の立役者だったと岡田は言う。

 

 

現役時代に見た6番の役割

1985年の6番打者

岡田 僕らの頃は6番を佐野さんとか長崎さんが打ってたんですけど、物凄くゲームに影響する打順なんですよね。

 

常に警戒され続けた1985年の阪神の驚異のクリーンアップ。その四球数はバース67、掛布94、岡田64と3人で225を数えた。即ち6番の前で塁が埋まっているのだ。そこで6番打者が走者を一掃し、ビッグイニングを作って試合を決めることが何度もあったという。

 

1985年はバース掛布岡田のイメージが強烈

岡田 うん。そこで6番打者の佐野さんのイメージはやっぱり勝負強さでしょ。ランナーが残ったときにそこで返す役目をしていた。1番最初に勝利打点のタイトルを獲ったのが佐野さんでしょ。やっぱり勝負強かったよね。それが勝利に繋がったというのが大きいんじゃないですかね。(※勝利打点のタイトルが作られたのは1981年でその時の勝利打点王は佐野)

 

1985年の日本シリーズでも6番打者の活躍があった。3勝2敗で敵地・西武球場に乗り込んだ第6戦。初回2アウト満塁のチャンスで6番長崎慶一がいきなり満塁ホームランを打ち早々と試合が決まり、阪神は球団史上初の日本一に輝いた。

 

 

まとめ

―打順とは

岡田 チャンスを作る選手、ランナーを返す選手。やっぱり色んな役割を分担してると思うんですよ。そのために1番から9番まである。その辺の役割を把握してる選手が多いチームが1年通したら、やっぱり勝てるチームになってると思いますよ。

 

―更にもうひとつ6番の役割

岡田 6番からの打順はなんとか1人で攻撃しようと思ってましたね。678で終わるんじゃなくてね。そこで1人出て打順の流れを良くするというかね。点が入らなくてもいいから、次のイニングのために誰か出ろと。その先頭が6番というのがありましたね。

 

6番でもけっこう語る事が多い

岡田 うん。6番は中途半端な打順だからいけるんだろうね() 簡単に話が終わらないでしょ。だって正解はないと思うよね。4番論なんかはある程度みんな一緒の考えを持ってるけど。そやねぇ、正解ないよねぇ。

 

岡田の6番打者論
① 勝負強い選手を置き得点力アップ
② 若手を起用し経験を積ませる
③ 回の先頭ならなんとかして塁に出る

 

以上です。

役割がある。
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