2020年2月2日にBS1で放送された『球辞苑』でメジャーにおけるチェンジアップはどのようなものかをメジャー通のAKI猪瀬が語っています。
―チェンジアップの誕生
猪瀬 チェンジアップという球種は、今はチェンジアップとして確立されていますが、1800年代後半のまさに野球が始まった当時から使われていた変化球がチェンジアップと言われています。
―昔のチェンジアップ
猪瀬 実は文献等々を調べてみると、創成期のチェンジアップは今のようなチェンジアップではなく、遅いボール、すなわち変化球全般をチェンジアップと呼んでいたようです。
―名投手が新しいスタイルを確立
猪瀬 グレッグ٠マダックスです。精密機械と言われていたマダックスがチェンジアップを使って、遅いボールをより遅く見せることによって、速いボールがなくても勝てると証明しました。そして緩急を付けるのではなく、チェンジアップに制球力を持たせた。
―チェンジアップの握りは多種多様
猪瀬 チェンジアップと一言で言っても、『グリップ』と言われている握り方がピッチャーによって全く違います。マダックスのチェンジアップの握りは指でOKマークを作った握りの『オッケーボール』と言われています。そして最もユニークなチェンジアップの握りというのは『バルカンチェンジ』というものがあります。『バルカンチェンジ』は人差し指と中指でボールを挟んでグリップするもので、当時一世を風靡したドジャースのエリック・ガニエというクローザーがいました。そのエリック・ガニエが『バルカンチェンジ』というグリップで活躍しました。一言でチェンジアップと言っても、もうほとんど投げるピッチャーによって握り方が全く違う球種だと思います。
―多種多様な握りが生まれた原因
猪瀬 アメリカの野球文化でキャッチボールから少年時代が始まって、まっさきに覚える変化球がアメリカではチェンジアップと言われています。一子相伝ではないんですが、2000年代中盤にかけてチェンジアップ最高の使い手と言われていたのが、ジェームス・シールズというピッチャー。実際にシールズ選手に取材をしてみると、まさにアメリカのチェンジアップのルーツそのままで、自分のお父さんに初めて教えてもらったのがこのチェンジアップの投げ方。「今現在まで、お父さんに教わった通りのグリップとリリースで投げているんだよ」と僕は本人に直接聞いたことがあるんですが、本当に『うちの味噌汁』みたいな、自分の『おかん おとんの味』みたいな。『おとんのグリップ』みたいなイメージだと思います。
以上です。