2020229日にBS1で放送された『球辞苑』で谷繁元信がキャッチャー視点から選球眼の良いバッターを語っています。

 

谷繁は歴代最多の3021試合に出場。様々なタイプのバッターと誰よりも多く対戦している。

 

―選球眼の良いバッターの共通点

谷繁 タイミングを取って、ボールを見極める間が長い人。例えばピッチャーがワインドアップします、投げる動作に入る、そしてバッターはタイミングを取ってトップに入る。みんな打ちにいしながらボールを見極めるんですね。そこのトップを作ってから見極めるまで間が長い人は選球眼が良い。コンマ何秒の世界ですけど、ボールを長く見ることができるということですよね。

 

―選球眼の良いバッターのやり方

谷繁 選球眼の良いバッターは結局自分が打てるところに最終的に投げさせていくんですよ。だからバッテリーとしては、まずバッターの得意なところにいかないように攻めて打ち取ろうとするわけじゃないですか。それで選球眼の良いバッターはそこを見逃すんですよ。それでバッター有利のカウントになると、そのバッターの好きなところにいく確率が上がっていくという事ですよね。

 

―そんな厄介な相手の抑え方とは

谷繁 1つ挙げるとしたら『早めに前に打たせようとする』ということ。だからストライクゾーンの中で力強い真っ直ぐを投げるとか、『バットを出してくる場所に要求して小さな変化球で打ち取る』というやり方。

 

選球眼の良いバッターの打ち取り方
1 早めに前に打たせる
2 バットを出すコースに小さな変化球を投げ打ち損じを狙う

 

 

―少しでも見極めが狂うようにする揺さぶる

谷繁 そこの空間というのは本当にコンマ何秒の世界ですから、そのちょっとした迷いでボール半個か1個ズレるとバッターは振ったり芯を外したりするわけですから。そこで集中力をちょっと途切れさせるようにする。「何を狙ってんのかな?」とか「打ちにくるかな」とか、バッターに聞こえる声で言ってみる。

 

―谷繁流のささやき戦術が最も効いた打者は?

谷繁 新井貴浩ですね。彼は打つ気満々なタイミングの取り方をして、全然打つ気がないとかしてました。そういう時には、1球見逃した時に僕が後ろから「あれ?打つ気満々だったけど、本当は全然打つ気なかったね」みたいな。それで「何を待ってんのかな?」という感じで言うんですよ。「あれスライダー待ってたのかな?ちょっとタイミング遅いけどな」みたいな。

 

―その時の新井さんの反応は?

谷繁 後から聞いたら、それを無視するのが大変だったらしいです。ハハハ(爆笑)

 

―改めて選球眼の良い打者を抑えるために最も重要なことは?

谷繁 これ難しいよね。多分結論ないんじゃないかな。形を崩しにいったところで結局選球眼が良いから全部フォアボールになっちゃうんですよね。選球眼の良いバッターにボール球で誘っても振ってこないから。だからバッテリーからすると一番厄介なんですよ。

 

バッター目線でも語っています

 

以上です。

谷繁に遊ばれる若かりし頃の新井さんが目に浮かぶ。
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