2022年6月19日にNHKで放送された『サンデースポーツ』で東京ヤクルトスワローズが独走しているセ・リーグについて落合博満が語っています。

 

アナ (6/19時点で)ヤクルトは43勝21敗で2位と9ゲーム差で抜け出したように思いますが、落合さんはどう見られてますか?

 

落合 頭一つどころか二つくらい抜け出したと思いますけど、まだ他の球団に優勝の芽がないかと言えば、そうではないと思います。

 

アナ まだまだ分からないと。

 

落合 えぇ。

 

アナ では首位を追い掛けるチームにはどんな事が必要となりますか?

 

落合 優勝ラインを設定した場合ですよ。数遊びだと考えてください。

 

アナ はい。

 

落合 それで開幕前に数遊びというか、何勝すれば優勝かを計算するんです。それで今年なら80というところに設定してると、20くらいの貯金ができるんですよね。

 

アナ はい。

 

落合 それを7試合を一つの区切りとして、144試合で20セットある。7試合で4勝3敗を繰り返せば貯金20になる。そうやって何個負けられるのかなと計算しながら、ここまでは負けてもしょうがないんだと。それでその後はいい波があれば連勝するし、悪い波をどうやって抑えていくかを考えながらね。

 

アナ はい。

 

落合 だから1つの負けを「うわ 負けたからどうしようもない」という風に考えるんじゃなくて、「この負けは想定内なんだ」という考え方をすると、けっこうやりやすいというのはあります。

 

アナ 例え負けが込んでも落ち着いて戦えると。

 

落合 はい。

 

 

アナ ではこちらをご覧ください。

 

 

アナ シーズン80勝を想定すると、こういう勝敗を目指すことになります。これ下位チームには厳しい数字には見えるんですが、過去にはかんな事があったんです。

 

2011年の落合中日
8月3日の時点で中日は4位で首位ヤクルトと10ゲーム差でした。しかし、ここから驚異的な追い上げを見せ、残り試合を39勝18敗7分で乗り切る。つまり2勝1敗以上のペースで勝利を積み重ねたのだった。結果、ヤクルトを追い越して、見事にリーグ優勝を果たした。

 

アナ 落合さん、どうしてこんな大逆転が出来たんでしょうか?

 

落合 監督が「何がなんでもこのシーズンは優勝するんだ」という、最後まで諦めなかったという事でしょうね。往生際が悪いんです(笑)

 

アナ いやいや(笑) でも、そこも一つは納得ではあるんですが、だからと言ってあの成績を出せる訳ではないと思うんですが。

 

落合 最終的にあの年というのは、東日本大震災で特殊なシーズンになったんだけど、地方開催のヤクルト戦が全部中止になって、最終的に直接対決がナゴヤドームの9連戦になったんですよ。

 

 

 

アナ はい。

 

落合 だからヤクルト1チームだけが抜け出てたんで、これはヤクルトを捕まえるんだったら、この9試合で全部勝てばひっくり返す事が出来るなという、そこに懸けたというだけの事ですよね。

 

アナ 数字でいくと、10ゲーム差で9連戦で全部勝てば、単純に1ゲーム差まで追い上げられる。

 

落合 えぇ。それで必ずうちとやる前に連勝することがなかったし、ある程度はヤクルトの負けを想定しながら、この辺であれば追い付けるなっていう、そういう戦い方でしたね。

 

アナ ちょっと失礼な言い方かもしれませんが、例えば2位3位を狙ってクライマックスシリーズという考え方もあるのかなと思うんですが。

 

落合 あぁ、俺の中にはそれ一切ない。

 

アナ なかったんですか。

 

落合 うん。最終的に優勝逃して2位3位があるにしても、優勝できる可能性があるんだったら最後まで、優勝が決まるまでは優勝を狙っていくという、そういう戦い方でしたから、だから今年なんかはヤクルトが突っ走ってるから、2位3位でいいやっていうチームが出てこないとは限らないですけどね。

 

 

アナ 今シーズンは2011年と似たような展開になってきてますが、こちらをご覧ください。

 

 

アナ これは2位以下のチームがやっぱり優勝を目指して最後までと。

 

落合 えぇ。ヤクルト戦だけは絶対に落としちゃいけないという考え方をしていかないといけない。あといい波と悪い波が交互に来るような形で、勝ったり負けたり、勝ったり負けたりっていうのではあんまり期待できないんで、そこでいい波にぶつかった時にどれだけ連勝できるかっていうのが下位チームの戦い方だろうと思います。

 

アナ 先ほどの話だと、下位チームでもまだ30敗くらいはできると。

 

落合 えぇ。だから「今日の1敗は非常に痛い」ってのではなくて、「今日は負けたから仕方ない」っていうそこの割り切り方。だから数字ってあくまでマジックですから、そこに囚われないで、「今日の負けはいいんだ」っていう形でね。「次に2つ勝てば帳消しになるんだ」っていう数字遊びというのが首脳陣には必要になってくるんじゃないのかなと思います。

 

アナ 数字遊びは大好きなんですか?

 

落合 大好きです。今回は80に設定したけども、それが80を超えるラインの場合はどうするか、77か78くらいならどういう戦いになるかというのは相手のチームを見ながら計算すればいいのであってね。

 

アナ はい。

 

落合 その代わり、自分の庭というかホームでやるゲームでは絶対に落とせないという気構えで戦っていければ自ずと道は開けてくるんじゃないのかなと思いますけどね。

 

アナ 下位チームのファンもそういう気持ちで見ていただけたらと思います。

 

 

以上です。

ホームで負けないというのが難し過ぎる。
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