2018年12月にBS1で放送された『球辞苑』で埼玉西武ライオンズの榎田大樹が自身のカットボールについて語っています。

 

2018年カットボール被打率ランキング

チーム投手被打率
1位西武榎田大樹.155
2位中日鈴木博志.167
3位日ハム上沢直之.185
4位広島大瀬良大地.201
5位ヤクルト小川泰弘.207

 

―カットボールという球種について

榎田 自信を持って投げられたのが今年はカットボールでした。そういう意味では本当に軸になるボールというか、僕にとっては信頼できるボールだったと思います。(※これは2018年のオフに収録されています)

 

―榎田のカットボールの特徴

榎田 皆さんがイメージするカットボールは真っ直ぐの軌道でちょっと動くものだと思うんですけど、僕の場合はカットボールですけどスライダーの軌道に近い感じ。僕のイメージでは『抜けスライダー』じゃないですけど、だからボールが吹いてくれる(※吹き上がるようなイメージ)。右打者の内角に投げる時は低めよりも高めに吹いてくれるイメージで投げているので。やっぱりバッターがスライダーのイメージで入ってくるボールがイメージとはズレる。僕の場合はそういうイメージのカットボールなので、それが本当に打者からすればカットボールかどうかが分からない。

 

榎田のカットボールはストレートではなくスライダーに近い軌道でバッターの手元に来るまで判別がつかず抜けたスライダーだと思って手を出すとボールの下を叩いてしまい凡打となる。

 

 

榎田 それこそ今の主流はツーシームだったりとか、カーブだったり、下に落ちるボールが多いので、僕の球種からしたらスライダーよりもちょっと吹き上がる軌道。それでバッターの錯覚じゃないですけど、それを生み出せたらいいのかなと思っています。

 

 

主流の落ちるボールではなく高めのボールで勝負する榎田。カットボール凡打割合を見ると左右の打者を問わず高めが40%以上。

 

カットボール凡打率割合

対左打者    対右打者
44.8%高め41.7%
34.5%真ん中19.4%
20.7%低め38.9%

 

 

しかもフライで打ち取る割合がトップ5の中で最も高い。

チーム投手フライアウト率
1位西武榎田大樹56.1%
2位中日鈴木博志28.6%
3位日ハム上沢直之42.0%
4位広島大瀬良大地43.1%
5位ヤクルト小川泰弘26.2%

 

―カットボールの握り

榎田 真っ直ぐはこう握ってるんですけど。

 

 

榎田 カットボールはこれをちょっとズラして縫い目に指を掛けるだけですね。

 

 

比較 

ストレートとは縫い目の向きが逆になり、中指をより縫い目に描けている

 

スライダーとの比較

 

 

ーどう投げればスライダーと同じ軌道を描けるのか

榎田 イメージですけど、完全に手首を立てずにこれくらい。

 

 

榎田 こういう感じでリリース。

 

 

榎田 ジャイロじゃないですけど、こういうイメージですね。手を潜らせるじゃないですけど、切るんじゃなくて吹き上がらせるイメージでリリースする。多分、普通のカットボールのピッチャーは切るんでしょうけど。指先から上に上がってくれるようにリリースする。

 

―カットボールの腕の振り方は?

榎田 基本的にストレートと一緒です。そこの握りと、あとは自分が投げにいく時のイメージが低めに投げるとかじゃなく、吹き上がるっていうイメージです。だから、低めよりも高めの方が空振りや凡打が取れるのかなと思います。

 

―セ・リーグとパ・リーグのバッターの印象の違いは?

榎田 正直違うんでしょうけど、僕は2017年は1軍でやってなかったので、このカットボールがあった時のセ・リーグのバッターの対応はあんまり見れてないので、ちょっと分からないですね。阪神の2軍でやっていた時に、自分の中で今までのスライダーでは抑えきれないということでカットボールを使うようになりましたので。広島がやっぱり強かったので、広島のバッターを抑えるためにどうしようと思った時にカットボールを覚えた方がいいかなと。2017年の春先から投げ始めた感じですね。

 

榎田は1軍で生き残るには広島の強力打線を封じる新たな武器が必要ということで1年かけて習得したのがカットボールだった

 

榎田 ファームで投げてみて試行錯誤する部分がありましたけど、2017年に1軍でカープ戦で投げた時に、精度はそんなに高くなかったんですけど、空振り三振を取れたり、そういうボールが出てきたので、そこでちょっと道筋じゃないですけど、このカットボールを投げられるようになったらいいかなと思って。

 

―トレードされて道筋が見えた

榎田 それこそもしかしたらクビもあるかもしれないと思った中で、それを生かせる場所が西武に来てあったので、そういう部分では阪神でもがいた1年間が今年西武に来て結果に繋がったかなと思います。

 

―榎田にとってカットボールとは?

榎田 プロ野球人生を伸ばしてくれたじゃないですけど、本当にこのボールが僕のキャリアハイを支えてくれたボールだと思います。

 

 

以上です。

トレードされて良かった。

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