2019年5月11日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』でこの日のvs.ワシントンナショナルズ戦で今季8試合目の先発をし、6回無失点で見事な勝利を飾ったロサンゼルスドジャースの前田健太のピッチングを多村仁志がフリーアナウンサーの上田まりえと共に解説しています。
この日の前田の投球内容
6回86球 被安打1 奪三振6 与四球2 失点0
今季4勝2敗 防御率4.03(5/11の試合終了時点)
前田の試合後のコメント
―好投の要因
前田 今日はセットポジションからの投球でいい感覚を掴んだので、それが継続できればもっと良いピッチングができると思います。
―キャリアベストの出来だったのでは?
前田 そんなことはないと思う。6イニングでベストだったらちょっとヤバいでしょ。
多村の解説
アナ 前田投手は6イニング完璧なピッチングでした。
多村 うーん。内容が良かっただけにもう少し見たかったですよねぇ。
アナ そうなんですよねぇ。まだあと1イニング、2イニングね。
多村 いけたと思いますね。マウンド上でもリラックスしてテンポも良かったですしね。
アナ 好投の要因はどこにあったんでしょうか?
多村 まず1回のピッチングで先頭打者にいきなりフォアボールを出してしまうんですが、そうすると立ち上がりからイヤな流れになってしまうんですけどね。
アナ そうですよね。
多村 そのあとのバッターを2球で追い込んで、最後にアウトローに完璧なスライダーを投げて三振。まあ、前回もフォアボールから失点というイヤな流れがあったので、それをしっかりと打ち切って自分のペースに流れを引き戻したのが大きかったかなと思いますね。
アナ この試合は変化球もフォーシームもいいコースに決まっていましたよね。
多村 ですね。それでも特にスライダーのキレは抜群でしたね。ストライクゾーンでのコントロール、そしてボールゾーンでのコントロールっていうのを上手く投げ分けていましたね。
アナ はい。
多村 ボール球を振らせるのは投手として最高のピッチングだと思いますし、キャッチャーの構えたところに僅かしかズレもなかったですし、思い通りに投げられたいいピッチングだったと思いますね。
アナ ではスライダーを全球ゼウスで分析します。これを見るとストライクゾーンの中と外で上手く投げ分けていますよね。
多村 そうですね。同じスライダーなんですけど、右バッターのアウトコースのストライクゾーンのスライダーとボールボーンになるスライダーの二つのですよね。
アナ はい。
多村 これは小さく曲がるカウントを取るスライダーと大きく曲がる三振を取りにいくスライダーの二つをコントロールしたのが大きいと思いますし、たまにある真ん中に投げ込まれているスライダーも甘いように見えるんですけど、これはオフスピードになってタイミングをズラしていますので、いい緩急ができていると思いますね。
アナ 多村さんは現役時代に前田投手と対戦したことがあるそうで、その対戦成績がこちらです。
13打数4安打 打率.308
アナ かなり打ってますよね。
多村 意外ですね(笑)
アナ 意外というのは?
多村 ホークス時代に交流戦で初めて対戦した時に、当時前田投手とチームメイトだった石井琢朗さんから「前田健太のスライダーは凄いぞ」と言われていまして。
アナ ほー。
多村 どれだけ凄いのか打席に立ったんですけど、サイドスローのピッチャーが投げたような横曲がりに大きく曲がるスライダー。
アナ はい。
多村 しかも止まって見えたりもするので手も足も出なかったという印象があったので、こんな対戦成績を残しているとは思わなかったですよね。
アナ こうやって映像を見るのと、実際に打席に立って見るのとでは印象が全く違うということなんですかね。
多村 違うと思いますね。
アナ そうなんですねぇ。
以上です。