2019年7月9日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』で2019年シーズンの前半戦、絶好調だったイェリッチの進化の要因を分析しています。後半には黒木知宏がイェリッチに少しだけインタビューしています。
ミルウォーキー・ブルワーズのクリスチャンイェリッチは2019年の前半戦だけでホームラン30本超え。2018年のシーズン36本の自己記録を破るだけでなく、シーズン57本ペースでホームランを量産している。
何故ここまで打てるのか。データを見てみると、打球の初速は去年の148.5キロから今年の151.1キロと約3キロアップ。そして打球角度は去年の4.7度から今年の11.5度と大きく上がっていた。
打球角度が上がった要因はアッパースイングにしたのではなく、フォームを変えることによって水平スイングのままフライを打つことができている。ここ3年間の打撃フォームを比べてみると、年々重心が低くなっていることが分かる。
低く構えることでバットをボールの下に入れることができるようになったのだ。これによりフライを打つ確率が上がりホームランを量産できるようになった。
2019年 31.0%
(出典Baseball Savant)
更に飛躍の理由にミートポイントを前にしたことが考えられる。ミートポイントを去年と比較してみると今年はより前で打っている。
ミートポイントを前にすることで、よりバットに力が伝えられるようになり、打球速度がアップ。ライトに強い打球を打てるようになった。去年のライト方向のホームランは25%だったが、今年は52%とライトのへホームラン数を大きく伸ばした。
イェリッチはスイングを変えずにホームランを量産できるようになった。アッパー気味にスイングするバッターか苦手とする高めも苦にしない。弱点を作らずに進化したのだ。
黒木 今年ホームランが増え、角度が上がっています。
イェリッチ 誤解をしている人が多いが角度を上げることと、ボールを打ち上げることは全く違う。遠くへ打つにはどのタイミングでバットを当てるかが大事。前で打った方が楽に打ち上げることが出来る。フライを打つためにアッパースイングをすることは間違っている。アッパースイングでは球の軌道をバットが通る時間が短く当たる確率が減る。レベルスイングの方がボールの軌道に平行なためバットに当たるチャンスが高いんだ。
黒木 2年前から重心を下げて打っていますがそこに何かヒントはあるんですか?
イェリッチ 昨年の後半からスタンスを調整し、より自然なスイングになった。より力みがないスタンスを見つけ、実践で試したらうまくいったんだ。
以上です。