20191022日にフジテレビONEで放送された『プロ野球ニュース2019』で日本シリーズ2019 読売ジャイアンツ vs.福岡ソフトバンクホークスの第3戦。巨人の坂本勇人と岡本和真と阿部慎之助に見るソフトバンクの徹底した対策ついて元中日の立浪和義、元横浜の野村弘樹、中日で監督をしていた谷繁元信がフリーアナウンサーの堤友香と共に語っています。

 

SBの坂本対策

アナ 日本シリーズ第3戦はSBが巨人に勝利しました。SB先発のバンデンハーク投手は初回先頭打者の亀井選手にホームランを打たれましたが、その後は4者連続で三振を取るというスタートでした。

 

野村 この辺の配球を谷繁さんにちょっとお聞きしたんですけど、亀井にホームランを打たれてからの2番・坂本に対して。

 

谷繁 はい。

 

野村 全球振り返ります。

 

第3戦 坂本第1打席
1球目に内に抜け気味のカーブでボール
2球目に内にストレートでストライク
3球目に内にストレートで空振り
4球目に内に厳しいストレートでボール
5球目に外のスライダーに空振り三振

 

谷繁 5球目のスライダーでもう腰が引けてますよね。

 

野村 それまでが徹底してインサイドでした。

 

谷繁 これは千賀と対戦した1戦目の1打席目に物凄いインサイドを攻めたんです。

 

野村 はい。

 

谷繁 そこで僕が思ったのが、甲斐というキャッチャーはジャイアンツ打線では坂本をマークするんだろうなという配球だなと。

 

野村 じゃあ1戦目の初回の坂本の打席を見てそう感じたと。

 

谷繁 はい。そこから2戦目3戦目に繋がるような配球になると。

 

野村 はい。

 

 

谷繁 それがまんまとハマってるんですよね。やっぱり坂本というバッターも実績がありますし読む力もあるバッターですから、1戦目にあれだけインサイドを攻められたっていうことは、「そろそろ外を中心に攻めてくるだろう」となってるんですけど、そこで今日の1打席目でまたインサイド中心なんです。

 

野村 なるほど。

 

谷繁 坂本は「まだインサイドに来るのか」となった。それで最終的に「まだ来る」と思ってるんだけど、最終的には勝負が外ということで、これはバッテリーの「1戦目からこうやって攻めていこう」というものにまんまとハマっている状態ですね。

 

野村 でも、坂本はインコースを打つのが上手いバッターじゃないですか。

 

谷繁 上手いんですけど、ソフトバンクのピッチャーが投げてくる球が速いんです。

 

野村 千賀も高橋もバンデンハークもね。

 

谷繁 はい。みんな140後半から150キロを近く投げますからね。

 

野村 はい。

 

谷繁 それはインサイドを打つのが上手い坂本でも苦しい。そこでちょっとでもバッターに外の意識があると、なかなか150キロのインサイドの球はさばけない。

 

野村 そりゃそうですね。しかもあれだけキッチリ投げられると尚更ですよね。

 

谷繁 はい。

 

 

SBの岡本対策

野村 そして岡本です。3戦目の1打席目を見たいんですけど、最後は三振。5球投げて全部ナックルカーブなんです。

 

谷繁 はい。

 

野村 これはどう思いますか?

 

谷繁 僕的には大好きな、僕がやっちゃいそうな配球ですけどね。

 

野村 はい。

 

谷繁 第2戦の岡本の最終打席でストレートを打ち返してるんです。

 

野村 あっ、バックスクリーン手前に打ったやつですね。

 

谷繁 はい。それで変化球を打ったヒットというのは、ちょっと泳ぎ気味のバットの先で拾ったようなヒットしか打ってないんですよ。

 

野村 はい。

 

谷繁 岡本というバッターの基本は、やっぱりインサイドの甘めのストレートであったり、半速球の抜けたフォークかスライダーを逃さないスタイルなんです。だから大きい変化というのはあまり得意じゃないというところで、そこを攻め続けたんですよね。それで1打席目で坂本がインサイドを攻められて空振り三振してる様子を見てるじゃないですか。

 

野村 うんうん。

 

谷繁 それを絶対に見てるはずなんですよ。だから「いつか来るだろう いつか来るだろう」というのがバッターからすると絶対に頭にあると思うんですよ。

 

野村 うん。

 

谷繁 それで、いつまでも待っても来なかったっていう。

 

野村 はい() 立浪さん、これバッターからするとどうなんですか?こういう攻めをされたことはあります?

 

立浪 ここまで変化球を続けられたというのは少ないんですけど、打てないと見るとどんどん続けるという甲斐捕手のリードも素晴らしいですし、谷繁さんが言われたように何よりもインコースへの意識付けですよね。

 

野村 うんうん。

 

立浪 やっぱりそこが勝ち、と言ったらおかしいですけど。

 

谷繁 ここまでがそれがハマってますよね。

 

野村 坂本が続けられてやられているというのを見ているのも効果があるんですね。

 

谷繁 1戦目からの流れというか、僕はよく物語と言うんですけど、1戦目から7試合をどう作っていくかっていうのを考えながらね。

 

野村 そういった意味ではソフトバンクバッテリーにはいい物語を作れているんですね。

 

立浪 バッターというのはインコースで打ち取られると、スゴく残像が残るんですよね。

 

野村 なるほど。

 

立浪 スゴく悔しいから「次に来たときに絶対に打ってやろう」となるんですよね。そこであんまりそれを強く思い過ぎると相手の術中にハマるんですよね。

 

谷繁 そうですね() 逆に言うとキャッチャーはそういう風にハメていこうとするわけじゃないですか。

 

野村 岡本は次の打席でもカーブでやられてるんですよね。

 

 

SBの阿部対策

アナ そして阿部選手に対する配球も語っていただきます。

 

野村 阿部は初戦にホームランを打ったんですよね。外のストレートを打っての先制ホームランでした。

 

谷繁 これはそこを待っていたんでしょうね。

 

野村 それを一発で仕留める阿部もさすがですよね。そして初戦の2打席目以降の内角、中、外角への球数を出しています。

 

阿部への配球(第1戦2打席目~第2戦)
内角23球 中3球 外角3球

 

野村 これを見ると2打席目から徹底してインコースが多くなってる。

 

谷繁 これはやっぱり崩そうとしたんでしょうね。ホームランの打席では一振りで仕留めてきたっていうものを見ると、キャッチャー的には阿部の状態はやっぱりいいんだろうなと感じるんですよ。

 

野村 うんうん。

 

谷繁 じゃあそれをどうやって崩しにかかるかと言うと、こうやってインサイドを使っていかないと、あれだけの技術のあるバッターですから余計に必要だと思うんですよね。

 

野村 はい。

 

谷繁 それで先ほども言いましたけど、ソフトバンクのピッチャーには球速があるということです。

 

野村 そこが大前提になってくるんでしょうね。

 

谷繁 じゃあ、インサイドに弱いからインサイドを攻めようとしても135キロから140キロぐらいしか出ないピッチャーで攻めても打たれるんですよ。

 

野村 それはそうだよね。

 

谷繁 はい。だから、そこでソフトバンクのピッチャーには質がいいのがいるから出来るんですよ。

 

野村 そしてそこに投げ切れるということが大事ですよね。

 

谷繁 はい。

 

野村 それを踏まえて今日の第1打席の阿部への配球をじっくり見ていきましょう。

 

第3戦 阿倍の第1打席
1球目 外にカーブでストライク
2球目 外にストレートでストライク
3球目 外にストレートで空振り三振

 

谷繁 この3球目の空振りの仕方とか、それまでの見逃し方を見てもらうと分かるんですけど、物凄いインサイドに意識があるんですよね。

 

野村 2球目を見逃したときにその雰囲気が出てましたよね。

 

谷繁 そうですね。だから、これって2戦目までの戦いの中での配球が阿部をああいう風にさせてるんですよ。

 

野村 やっぱり大事ですよね。配球も大事ですし、いかにそこに投げ切れるかですね。

 

アナ そうですね。

 

 

以上です。

巨人打線は術中にハマってます。
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