2020年2月2日にNHK総合で放送された『サンデースポーツ2020』で西武ライオンズの辻発彦監督、源田壮亮、外崎修汰がインタビューを受けています。聞き手はNHKアナウンサーの大越健介。
もくじ
キャンプ2日を終えて
アナ 西武ライオンズの辻監督、源田選手、外崎選手に来ていただきました。よろしくお願いします。
辻・源田・外崎 お願いします。
アナ 監督どうですか、この2日間は天気に恵まれました。
辻 そうですね。暑いくらいというか、日差しも強くて風もなくて、非常にいいコンディションの所で練習ができてますね。
アナ みんな明るくやってますよね。
辻 そうですね。まあ、それがうちの取り柄ですから。
アナ はい。源田さん、今年はキャプテンになりました。
源田 そうですね。監督からも今まで通りでいいと言われたので、今のところは特に変化なくやってます。
アナ 外崎さんはユーティリティプレイヤーとして去年かなりブレイクした感じがありますが、今年のキャンプの課題は?
外崎 課題ですか。
アナ はい。
外崎 えぇー、、、。(しばしの沈黙)
アナ あんまり考えてないと?(笑)
外崎 はい。
アナ 本当ですか(笑) こういうところがこのチームの持ち味ですかね(笑)
辻 はい。それが外崎です。
アナ そうですか(笑)
今季の展望
アナ 今年の西武ライオンズを展望していきたいと思います。2年連続リーグ優勝を果たしながら、日本シリーズに進めなかったというチームを今年どうやって頂点に進めていくのか。まずは攻撃から見ていきたいと思いますけど、去年はチーム打率も得点もリーグ1位でした。これまで見ていて今年の打棒の方はどうでしょうか?
辻 昨年までいた秋山がメジャーに挑戦ということで、まあチームでは一番ヒットを打つバッターがいなくなるわけですから。
アナ はい。
辻 新外国人選手であったり、若い選手がそこを埋めてくれると思いますし。まあ、ヒットだけではないですからね。他の選手には足もあったりしますのでそれを絡めながら、いい打線を組み立てなきゃいけないのかなと思います。
アナ なるほど。その秋山選手に肩を並べて超えていくかもしれないポテンシャルを持っているとファンが期待しているのは外崎選手です。
外崎 そうなんですか?(笑)
アナ フフッ(笑) ここで外崎選手の2019年の成績を見ていきたいんですが。
アナ 去年の成績について振り返ってどうですか?
外崎 シーズン序盤は苦しんだんですけど、終わってみればなんとか盛り返せたのかなっていう感じです。
アナ うん。監督、打順というのは大きな要素だと思うんですよね。
辻 そうですね。
アナ 1番に秋山さんが打っていたということで、その1番に誰を持っていくか。外崎さんというのはあり得ますか?
辻 もちろんあります。昨年は浅村が抜けたということで3番を誰にするかというので悩んで。そこに秋山を指名して金子を1番に持っていきました。
アナ はい。
辻 金子ももうひとつ波に乗れず、秋山が3番に全くマッチしなかったので。そうしたら1番にしたら物凄く打ち出したので、やっぱりそういうタイプなのかなという。まあ、金子は9番に入っても十分に1番の役割を果たすんですけど、打席が必ず1打席少なくなりますからね。
アナ やっぱり打順がどうなるか気になります。先ほど少し新外国人というのが出ましたが、どういう選手ですか?
辻 この2日間、練習を見ただけなんですけど、昨年も色んな映像を見て感じたのはアグレッシブ。
アナ その選手がスパンジェンバーグ選手。チームでは何と呼んでいるんですか?
源田 スパンジェン。
アナ はい。スパンジェンバーグ選手。アグレッシブというのはどういうところですか?
辻 試合の中で際どい場面でも先の塁を狙う走塁であったりする足もありますから。あとは内野も守れてセカンド、サードもやりますし、外野もできるオールラウンダーですね。
アナ 先ほど外崎選手が1番打つ可能性があるということでしたが、そうすると2番はだいたい源田選手ですよね?
辻 そうですね。今のところはそう考えています。
アナ そしてスパンジェンパーグ選手も?
辻 1番候補でもありますよ。
アナ おぉ、これは面白いな。スパンジェンパーグ選手の守備はどうなんですか?外崎選手も内外野できますよね。そしてスパンジェンパーグ選手もできますよね。
辻 はい。
アナ そこの組み合わせはどうなんでしょう?
辻 やはり守備の要であるショートを源田が守ってて、二遊間は和製というかね、セカンドは外崎が一番マッチするんじゃないかと思いますね。
アナ ショート源田選手、セカンド外崎選手の組み合わせが多くなると。
辻 その予定でいます。外崎が「絶対にセカンドがいい」って言いますから。
外崎 ハハッ(笑)
辻 そこがいいと言ったらそこに当てはめるしかない(笑)
アナ そうですか。
キャプテンに源田
アナ さあキャプテンの源田選手について聞きたいんですけど、なぜ源田選手をキャプテンに指名したんですか?
辻 そうですね、まず同じような年代の選手が中心を張ってますけど、その中で源田は私が監督になった同じタイミングで入団して3年一緒にやってきて、もう十分彼はチームの中心となってしっかりと引っ張っていけるというのがあります。
アナ はい。
辻 やはりピッチャーにも近いし、色んな声掛けであったり、そういう周りが見える選手なんで、そこは源田でいこうと決めました。
アナ 新キャプテンはどんなことを心掛けていきたいですかね?チームメイトの皆さんは個性派ですよね。
源田 そうですね。まあでも、誰かから色んなことを言われないと何もしないという選手が今はいないんで。結構みんな自分で考えて動ける選手ばっかりなので。何か困った時に仕事ができたらなっていう感覚で僕はいるんで。
アナ 源田選手個人としてはスマートなプレーで、玄人好みの選手で、いざという時に頼りになる選手だと僕は思っているんですけど、自分の持ち味はどんなところだと思っていますか?
源田 持ち味はどうですかね٠٠٠。まずは守備が一番じゃないかなと思ってますけど、
アナ うんうん。
源田 まあ昨年はCSで何もできなくてアッサリ終わってしまったところがあったので、今年はそういう時に試合の流れを変えられるようなプレーをできる選手に、キャプテンにもなったんで、そんな選手になれるようにとは思っています。
アナ 外崎選手は同学年の二遊間を組む間柄として源田選手をどういうふうに見てますか?
外崎 本当にスゴい頼りがいのある選手で、ショート守備に関してゲッツーだったり、色んなプレーで何回もカバーしてもらったんで。もう捕ってあとは任せたという感じで僕はやりやすいです。
アナ 本当ですか?
外崎 本当に(笑)
投手力について
アナ もうひとつの野球の側面である投手力を見ていきたいと思うんですけども。
辻 はい。
アナ やっぱり課題ですよね。
辻 一番課題です。
アナ 数字では去年のチーム防御率は4.35でチーム総失点は695で、2つともリーグワースト。この辺はどうでしょうか?
辻 やっぱりチーム防御率が4.35だと5点取らないと勝てないですよね。
アナ うんうん。
辻 そういう意味では打線が活発だったのはいいポイントだとは思うんですけど、やはり投手陣が打線におんぶされていたというシーズンではありましたよね。
アナ 去年の主な先発投手はこちらです。
高橋光 10勝6敗 防御率4.51
今 井 7勝 9敗 防御率4.32
松 本 7勝 4敗 防御率4.54
本 田 6勝 6敗 防御率4.63
十 亀 5勝 6敗 防御率4.50
アナ いずれも規定投球回に達していないという事ではあるんですが、但し、そうはいっても非常に若い選手が伸びてきている印象はあるんですよね。
辻 はい。
アナ 高橋、今井、松本、本田という辺り。辻監督も手応えを感じているんじゃないですか?
辻 昨年、この4投手に関しては調子が悪くても投げなきゃいけないというチーム事情だったんですけど、その中で本当に経験は十分にできたと思うんで。それを生かすも殺すも彼たちの気持ち次第だと思います。
アナ ブルペンを昨日(2月1日)取材をして参りまして、こうした投手たちが既に全開で投げていましたよね。それを辻監督をずっと見守っていらっしゃいました。
辻 はい。
アナ どうでしょう、期待できるなという手応えは感じられましたか?
辻 そうですね。しっかりと競争意識も出てくるでしょうし、そして今年は何よりもオリンピックの年で開幕が早いということで、どれぐらい仕上げてきているのかなと注目していたんですけど。本当に初日から、他球団もそうでしょうけど、全力で投げ切れているなという気がしますね。
アナ ブルペンの真ん中でドラフト1位ルーキーの宮川選手が投げていましたが、どうですかね?
辻 いやぁ、力みまくってましたね。
アナ ローテーションとしてはどうでしたか?
辻 もちろん期待してます。でも計算に入れると可哀想ですし、ただそれだけの力があればローテーションに入る余地も十分考えられます。
アナ なるほど。
松坂大輔の加入
アナ そして松坂大輔投手が今年西武に戻ってきました。源田さん、チームへの刺激はどうですか?
源田 やっぱり見ちゃうというか。何をしてても目が行っちゃうので。まあ何かしら色んな吸収ができるかなと思っています。
アナ 外崎さんはいかがですか?
外崎 もういるだけで意識してしまう٠٠٠。「あっ、松坂さんが隣にいる」とか。そういう気持ちが出てくるんで、ピリつくとかではないですけど、しっかりとして雰囲気でやれてるというは松坂さんの存在のおかげかなと思います。
アナ 監督としてはどうでしょうか、先発として投げてほしいというのはありますか?
辻 もちろん先発で考えています。ぜひマウンドに上げたいと思います。
アナ 色んな意味がありますよね。
辻 そうですね。
かつて名将に仕えた辻監督
アナ では辻監督、もうリーグ優勝2回ですから名将に数えられるのかなと思うんですが。
辻 いや、まだまだ(笑)
アナ ここまで辻監督が仕えたこの人たちなんですよ。(フリップを出す)
西武 森 祇晶監督
ヤク 野村克也監督
中日 落合博満監督
アナ 広岡さん、森さん。そしてヤクルト時代は野村さん。更に中日では監督とコーチという関係で落合さん。
辻 はい。
アナ 一言で言うのは難しいとは思いますが、どんな指導者象を学びましたか?
辻 厳しさも勉強させていただきましたし、あとは戦い方とかバッター心理、野手心理、投手心理と色んなことを勉強させていただきましたし、そしてチーム作りというのも教わりましたし。
アナ うーん。
辻 やはりチームが勝つことが一番ですから。相手チームとこの戦力でどのようにして戦っていくかっていうのを学んだ気がします。
辻監督の指導方針
アナ 源田さん、辻監督はあまり叱らないと聞いたんですけど、いかがですか?
源田 その通りですね。何か言われるときも一方的じゃなくて、こちら側の意見も聞いてくださって会話してくださるのでやりやすいです。
アナ 外崎さん、監督を前にして言いにくいかもしれませんが、どんな監督ですか?
外崎 常に笑顔でやりやすいです。
アナ 辻監督が現役時代は広岡監督の規律の厳しさを味わわれて、今の時代は今の時代に即した指導があるということですかね。
辻 そうあるべきだと思います。
アナ そういう心掛けなんですね。
辻 そうですね。根が明るいですから、楽しくやるに越したことはないじゃないですか。
アナ うんうん。
辻 だからうちの選手を見てると楽しくなれるんで、それが本当に彼たちの一番いいところぞゃないかなと思いますね。
オリンピックに向けて
アナ さあ残り時間も少なくなってきました。代表にも選ばれているお二人ですが、抱負を聞かせてください。源田さんから。
源田 選ばれたい気持ちはとても強いので、開幕から躓くことなく、自分らしくプレーして選ばれたら嬉しいですね。
アナ 一歩一歩ですね。
源田 はい。
アナ 外崎さんは東京オリンピックをどのように位置付けていますか?
外崎 もう本当に小さい頃に見ていたものなので、まさか自分がそういう立場で出れるかもしれないっていうのを考えてもいなかったので。本当に野球をやっていく中で選ばれたらいい経験になりますし、自信にもなるし、ぜひ選ばれたい気持ちです。
今季に向けて
アナ 辻監督、オールジャパン級の選手を揃える西武ですが、今年は最後に日本一を目指す上で何を大事にしていきたいですか?
辻 もうここは選手個々の気持ち次第だと思います。選手たちには話しましたけど、1人1人の心がそこに向かって動かないとチームはもう一つ上にいけない。若手の台頭ももちろんありますけど、ひとつ目的を一緒に共有しながら、「自分が引っ張っていくんだ」という気持ちでやってくれという話はしました。
アナ 辻監督、源田選手、外崎選手、今日はありがとうございました。
辻源田外崎 ありがとうございました。
以上です。