2018年6月15日BS1で放送された「ワールドスポーツMLB」で絶好調のアリゾナダイヤモンドバックスの平野佳寿の投球についてメジャーで活躍した高橋尚成がフリーアナウンサーの平原沖恵と共に深く徹底的に分析しています。
高橋 まずは平野選手の基本情報です。
球種割合
フォーシーム55%、スプリット45%
フォーシーム | ||
平均球速 | 平均回転数 | |
平野 | 147km/h | 2215回転/分 |
MLB | 149km/h | 2263回転/分 |
スプリット | ||
平均球速 | 平均回転数 | |
平野 | 133km/h | 1201回転/分 |
MLB | 135km/h | 1453回転/分 |
高橋 メジャーに移籍してからフォーシームとスプリットの2種類しか投げていないんですよね。球速と回転数を見てみると、スプリットの方を注目したいんですね。
アナ そうですね。メジャーの平均よりも200回転以上少ないですよね。
高橋 そうですね。スプリットの回転数は少ない方が良いボールとされていますから、同じスプリットを武器にする上原浩治投手と比較してみたいと思います。
【上原と平野のスプリット比較】
平均球速 | 平均回転数 | |
平野 | 133km/h | 1201回転/分 |
上原 | 127km/h | 回転/分 |
高橋 回転数を見ると平野投手の方が500回転も少ないんですね。
アナ これは上原さんよりも落ちるボールということですよね。
高橋 そういうことですね。上原投手と比較すると更に凄いデータを発見しました。平野投手には上原投手が持っていないものがあるんですね。これはボールの変化量を表したグラフなんですけども。(※分布図グラフを当サイトでは正確に作れないので文字で理解してみてください)
このグラフで分かることは平野のスプリットはトップスピンになっているのでよく落ちるというデータを表しているものです
高橋 トップスピンというのはボールが前方向に回転している状態でより落ちがいいんですね。
アナ はい。
高橋 そして、バックスピンとなると後ろ方向に回転するのでトップスピンよりも落ち幅が少ないと言えると思います。
アナ 回転の方向で落ちが変わるんですね。
高橋 はい。実際に平野の投手が投げている映像を見てください。
アナ はい。
【平野の投球を見ながら解説】
高橋 これはトップスピンのスプリットなんですけど、バックスピンよりもスゴく落ちがいいんですよね。リリースの瞬間の回転をよく見てください。斜め前の方向に回転していますよね。だから、より落ちがいいということですよね。
【トップとバックの軌道を比較した映像を見ながら】
高橋 ここでトップスピンのスプリットとバックスピンのスプリットの軌道を比較すると、どうですか?
アナ やっぱり、トップスピンのスプリットの方が落ちています。
高橋 そうですよね。やっぱりトップスピンの方が鋭いということですよね。
アナ うーん。これぐらいバックスピンで変わってくるんですね。
高橋 そして、これだけじゃないんですよね。平野投手はアメリカに行ってバッターに対する攻め方を変えたと言っていたので、これをご覧ください。
【平野のインタビュー映像が流れる】
平野 高めの球は有効に使えるボールだと思うので、それを今まで日本では使っていなかったので、高めを意図的に投げられることが出来れば投球の幅も広がっていくと思います。
アナ 高めの球を増やしているということですね。
高橋 はい。こちらをご覧ください。
【フォーシームの高低割合】
高め 38.4%
真ん中 33.8%
低め 27.8%
高橋 高めが約40%と割合が高いですね。だから、高めにしっかりと投げているのが分かりますよね。
アナ では、高めに投げている投球を見てみましょうか。
【その映像を見ながら解説】
高橋 まあ、150キロ近い速球なので高めに投げたら差し込まれるようなキレのある球だと思います。先日のブリュワーズのビヤーとの対戦なんですけど。
アナ はい。
高橋 これは高めにしっかりとカウントを整えて、そこからスプリットで三振という投球です。これはかなりの落差があると思います。高めのフォーシームとスプリットの高低差は92.5センチです。
アナ 凄い高低差ですよね。
高橋 凄いです。いつもスプリットを投げていると打者は低めに目線がいくので、そこで高めにボールが来ると目線が変わるので、低めのボールがボヤけて見えてしまう。そして、よりスプリットが効いてくるということです。
アナ そういう効果があるんですね。
高橋 はい。
以上です。
少し分かりにくい部分もあると思いますが平野の高めのフォーシームとトップスピン系のスプリットの組み合わせは相手にとってかなり厄介ということです。