2018年12月にスカパーがツイッターで配信した「落合博満のオレ流野球談義」で落合博満がスラッガーを語っています。タレントの倉持明日香とお笑い芸人のレッド吉田と共に語っています。
もくじ
中村剛也について
倉持 今の球界で理想的なホームランを打つ選手は誰ですか?
落合 理想的なホームランは、打球の質とか打ち方で言えば西武の中村剛也。
吉田 あぁ、落合さんの理想のようなバックスピンをかけて。
落合 あれは理に適ってると思う。何年かは怪我で数字が伸びてこなかったけども、あの打ち方だけは他の人は真似てもいいと思う。
倉持 今シーズンは序盤に調子が悪くて夏ぐらいから上がってきましたよね。
吉田 まさにホームランバッターというホームランですかね。
落合 どっちかと言えば教科書通りじゃないかな。見ててこれなら打つだろうなって。
吉田 なるほど。
落合 ただ、何であそこまで低いボールを振るんだよってのがあるんだけどね。
吉田 なるほど。
落合 あるんだけど、一番美しいホームランを打ってるのは中村。
門田博光とスイングスピード
吉田 落合さんは現役時代のティーバッティングでバックスピンで上に打ち上げる練習してましたよね。
落合 上にボールを打ち上げたら昔の川崎球場のバックネットを越えて外に行くんだからね。
吉田 えっ、そんな上がるんすか!?
落合 上がるということはスイングスピードが速いということなんだよ。
吉田 ちなみに今のプロ野球選手の中でスイングスピードが速い選手は誰なんですか?
落合 分からない。見映えがするかしないかなんだ。振ってるから速い、振ってそうに見えないから遅いではない。
吉田 なるほど。
落合 これよく比較されたのが俺と門田さんなんだよ。
吉田 はいはい。門田博光さんですね。
落合 門田さんはフリーバッティングでだいたい12メートルぐらいの所からバッティングピッチャーに目一杯投げさせるの。
吉田 はい。
落合 門田さんはそれを全球フルスイングするの。それでティーバッティングでは鉛入りのボールを打つんだからね。
吉田 うんうん。
落合 そういう練習をしてて、『体ごと振る』って言ったら変な表現かもしれないけど、周りから見たらものすごくスイングスピードが速く見える選手。
吉田 そうでした。
落合 それで俺はどっちかと言えば体を開きまくって、だって半分逃げるわけだから(笑) ボールが頭に来るんだもん。怪我しないためにというのであのバッティングを作ったんだからスイングスピードが速く見えない。
吉田 そういう経緯があっての。でもスイングスピードは実際速いんですよね?
落合 速いと思う。
吉田 バックスピンをかけることによって球場の外まで飛んでいくんですからね。
森友哉について少し
落合 だから機械があって計測したらどうなんだろうというのがあるんだろうけど、まあ今の野球界を見てたら、よくここまで振るなあっていうのは西武の森じゃないの。
吉田 あぁ、森友哉選手。
落合 だって身長が170センチぐらいでしょ。
吉田 そうですね。
落合 あそこまで振らなくてもいいんじゃないかと思う時があるもん(笑)
吉田 オールスターの松坂大輔投手から打ったホームランは尋常じゃなかったですね。ボールが可哀想でしたもんね。だから、ああいう感じのフルスイングの選手が最近多いじゃないですか。
落合 うん。
怪我をしないための打撃
吉田 落合さんのようにゆっくりに見えるような力感がないスイングの選手が少ないのは今の時代なんですかね?
落合 いやぁ、みんなボールに向かって行くからでしょ。
倉持 向かって行く。
吉田 これですよね。実は向かって行ったらダメなんですよね。
落合 うん。こう来るのを待ってりゃいいんだけど、向かって行くもんだから、振らざる負えないんじゃないの。
吉田 はい。
落合 普通、理屈で考えてバッターボックスの内側のラインからベースの幅って拳1個分ぐらいしかないわけだ。
吉田 はい。
落合 それで踏み込んでいってどうやってインサイドのボールを打つんだよって俺は思うよ。
吉田 うんうん。
落合 角度的には普通にバットに当たったらファウルだもん。
吉田 じゃあ、それを迎えに行かずに待つと。
落合 俺は頭に当たるのがイヤだから待つんだけど、みんなインサイドを迎えに行くからポイントが前になってファウルになる。俺は当たりたくないからポイントを後ろにして待って打つから前に飛ぶんだよね。
以上です。
色々と考えられてます。