2018年8月3日にBS朝日で放送された「スポーツクロス」で元巨人で活躍し、高校野球では池田高校で何度も甲子園で優勝した水野雄仁がやまびこ打線の秘密についてヤクルトで監督をしていた古田敦也とテレビ朝日アナウンサーの徳永有美と共に語っています。
アナ 池田監督の蔦監督と言えば、とにかく「高校野球を変えた」と言われる指導方法ということなんですけど、その蔦監督が変えたものっていうのを順序立ててお話して頂きたいと思います。
水野 はい。
アナ まず、蔦監督が変えたものはこちらです。(※フリップを出す)
【フリップの内容】
打って打って打ちまくれ!
アナ 打って打って打ちまくれ!
古田 ほー。
アナ これはどういうことかと言いますと、当時の高校野球は守備が中心だったそうですね。
水野 ですね。
アナ それで、蔦監督は当たれば飛ぶ金属バットの特性にいち早く着目し、打って打って打ちまくる、超攻撃的な野球を確立されたわけです。
古田 うん。
アナ 池田高校の練習は、ほぼバッティングだと伺っているんですけど。
水野 そうですね。14時50分に授業が終わるんですけど、15時にはフリーバッティングの練習が始まっています。
古田 早いねぇ(笑)
水野 キャッチボールもなし!
古田 ウォーミングアップもなし?
水野 なし!
古田 とりあえず打っていこうかと。
水野 はい。とにかく、18時30分に練習は終わります。長くやったら疲労が困憊する。疲労が溜まると筋肉も疲れる。3時間打って、18時から30分間ノック。そして、我々はブルペンでピッチングをするのがほとんど禁止でした。
古田 へぇー。
水野 ブルペンで投げるんだったら、味方に投げる。
アナ なるほど。
水野 私の球をみんなが打つ。だから、当然速い球にはみんな強くなっていきますよね。
古田 うん。
アナ ちなみに野球の練習でキャッチボールから始めない、というのはあり得るんですか?
古田 いや、ないんじゃないかな。そんなチームはないと思いますねぇ。やっぱり、基本的に怪我をしないためにウォーミングアップをするんだけど、ウォーミングアップとキャッチボールをやってから本格的な野球の練習ですね。プロでもなかなか最初に打つことを練習するというのは聞かないね。
アナ はい。続いて、蔦監督が変えたものがこちらになります。(※フリップを出す)
【フリップの内容】
禁断のウェートトレーニング
アナ 禁断のウェートトレーニングということなんですね。蔦監督は当たれば飛ぶ、その金属バットの特性を最大限に生かすために、当時の野球界では怪我に繋がる恐れがあるとタブー視されていたウェートトレーニングを導入しました。どのようなことをされていたんですか?
水野 まあ、そんなに立派なウェートトレーニングの器具はなかったので、小さいタイヤに穴を開けてヒモを通して、手で持つ方は竹で、その竹をこうやって(手首をカールさせる動作)巻き上げるんです。(※今で言うところのリストローラーのトレーニングです)
水野 それで、下げる時も巻き下げる。スルルとやっちゃダメなんですよ。
古田 うんうん。
アナ あっ、握力が強くなりますよね。
水野 もう腕っぷしで打球を飛ばす。
アナ へぇ~。当時、やはりウェートトレーニングはそんなにしない流れではあったんですか?
古田 っていうかね、ウェートトレーニングの概念がまだ日本にはあんまり来てなかったっていう時代じゃないかな。
水野 普通、大体50代ぐらいになってくると頑固になってくるんだけど、蔦さんはすごく新しいもの好きでした。
アナ へぇ~。
水野 メッシュのユニフォームを取り入れたり、大塚製薬がポカリスウェットを作って「スポーツの間に飲むといいんですよ」と。(※大塚製薬は徳島県の企業)
古田 うん。
水野 多分、他の徳島県の学校にも提供したと思うんですけど、他の学校は断ったと思うんですよ。
古田 ほー。
水野 ある日突然、練習中にポカリスウェットを飲んでよくなるんですよ。
アナ へぇ・・・面白い。
古田 なるほどね。
水野 水分補給をしながらという、もう走りです。池田高校は。
古田 僕は彼と同い年だけど、僕らは水を飲むのがダメだったもん。
水野 でもね、古田さんは他の学校の練習を見に行ったことあります?
古田 いや、あんまりない。
水野 ないですよね。私もないんですよ。
古田 うん。
水野 だから、これは全国の高校野球ではこういう練習をやっているもんだと思ってやっていた。
古田 あー。なるほど。
水野 そのウェートトレーニングにしても、バッティングも他の学校でもそういう練習をしているんだと思っていたんです。だけど、他の学校のみんなは1000本ノックをやっているんです。
古田 うん(笑)
水野 だから、久しぶりに大会で会うとゲッソリしているんですよ。
アナ はい。
古田 フフフ(笑)
水野 池田の選手はみんなユニフォーム姿がパツパツになっているんですよ(笑)
古田 でも、それって食べる物をしっかり食べないと大きくならないよね。
水野 ちょうど後援会の人が牧場とレストランを経営していて。
古田 はい。
水野 朝はいくらで、夜はいくらで、もう何を食べてもいいと。
古田 あぁ、同じ値段で「お腹いっぱい食べろ!」みたいな。
水野 はい。食べる。そうすると、池田高校が甲子園で優勝すると、そこのレストランには10倍ぐらいお客さんが増えるわけですよ。
古田 あぁ、なるほど。
水野 相乗効果的でそっちの方が儲かるようになっちゃって。儲かっているから、「お前たちはドンドン食え」と。
古田 だから、牧場で牛を育てると同じように池田高校の野球部を育てた。
水野 そうです!(笑) それで、我々はもうね、イヤというほど肉を食ったんです。
古田 それは環境に恵まれているね。
アナ 本当にそうですね(笑)
水野 しかも、練習が終わってすぐに食べさせてもらえるから、考えてみたら一番良かったんですよ。
古田 そうですね、。
アナ そうかあ。
水野 練習が終わってすぐに食べる。
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以上です。
1980年代の前半でこういうことを導入した蔦監督は素晴らしいですね。ただ、怒ったらめっちゃ怖かったらしいですけど。