2018年9月14日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」でシーズン100勝を達成しているボストンレッドソックスの強さの秘密をMLB公式アナリストのマイク・ペトリエーロ(以下ペト)が分析しています。

 

―レッドソックスが強い理由は?

ペト 投手力は2017年と変わらない。今年は何と言っても打撃です。リーグ屈指の強力打線がチームを牽引しています。

 

 

今年のレッドソックスのチーム本塁打は188本(9/14時点)でリーグ最下位だった去年の168本を大きく上回る数字。更に打率.268、得点790でメジャー1位と劇的な変貌を遂げる。その要因は今年からレッドソックスの監督となったA・コーラ監督(42歳)の大胆な改革にあるとペトリエーロさんは言います。

 

ペト コーラ監督は積極的なバッティングを現場に徹底させました。去年まで見逃していたストライクを『早いカウントから打つ』ことと、『ボールを強く叩く』ことを指示し、そこが大きな違いとなっています。

 

 

1つ目の改革『早いカウントから打つ』

レッドソックスの初球スイング率(データスタジアム調べ)

2017年 20.8%→2018年 26.8%

6%も上昇しメジャートップの伸び率である

 

ペト 打てると決めたら見逃さない。初球から狙ってもいいという監督の指示が見事に的中しています。

 

 

2つ目の改革『ボールを強く叩く』

これを体現しているのがダイヤモンドバックスから移籍してきたJ・D・マルティネス

 

ペト 今年のマルティネスはフライが減り、ライナー性の強い打球が増えました。

 

 

マルティネスは2017年に席巻したフライボール革命の象徴的な選手。フライを打つ意識を高めた結果シーズン本塁打の自己記録を更新。今年はコーラ監督のもと強い打球を打つことを徹底しライナーが増加。初速が152キロを超える打球をメジャーでハードヒットを呼ぶ。

マルティネスの打球の内訳フライライナー
2017年38.0%24.0%
2018年26.5%27.8%

マルティネスのハードヒット率

2015年48.9%
2016年47.3%
2017年48.7%
2018年52.8%(MLB4位)

この数値から分かるようにマルティネスはフライボール革命の象徴的存在からメジャー屈指のハードヒッターに変貌したことが分かる。

 

ペト 打球が低くてもハードヒットが多ければ問題ありません。打球を上げることよりどこに打てば相手が嫌がるのかを重視するようになったのだと思います。フライが減っても十分相手にダメージを与えています。

 

 

コーラ監督が目指す早いカウントからの仕掛けと、ボールを強く叩くバッティング。この戦略にはリリーフを重視する最近のトレンドに関係している。

 

ペト かつては相手の先発投手に球数を投げさせ、早めに降板させることを重視していましたが、今は違います。リリーフ時には160キロ近いボールを投げる投手が揃っているので、彼らとの対戦を避けようとするのが今の傾向です。更にどの投手にも決め球があるので、初球のストレートが唯一打てる球なのかもしれません。2ストライクに追い込まれてから鋭い変化球を待ちたいバッターはいませんからね。

 

 

コーラ監督が行った打撃改革で72年ぶりの100勝に到達したレッドソックス。2013年以来のワールドシリーズ制覇へ生まれ変わった打線とコーラ監督の挑戦は終わらない。

 

 

以上です。

強く叩くというのは前々からやっていたことでしょうけど、早いカウントから仕掛けるのがこれからの主流になったりするんでしょうか。

おすすめの記事