2015年にBSジャパンで放送された「堀尾正明×江川卓の昭和プロ野球 THEライバル~あいつにだけは負けたくなかった」という番組で紹介されていたエピソードです。番組MCの堀尾アナと江川卓と掛布雅之と大橋アナが登場して語られております。
【状況】
昭和57年9月4日甲子園球場の試合、4対3で巨人1点リードで迎えた8回裏2死ランナー2塁でバッター掛布の場面で投手江川は当時の巨人藤田監督から敬遠の指示。江川にとっては無四球試合がかかっていた大事な試合でした。江川は敬遠の指示を受け入れますが怒りから全力のストレートで敬遠球を投げていました。
堀尾 江川さんは昭和57年のあの敬遠の試合は覚えてますか?
江川 思い出してきましたよ。
堀尾 おぉぉ。
江川 あの時の感じ。
堀尾 物凄い敬遠球のスピードでしたからね。
江川 勝負は監督が決めることなので間違ってないと思いますけど。
堀尾 藤田監督はマウンドに何て言いに来たんですか?
江川 「歩かせてくれ」って。
堀尾 歩かせてくれ。
江川 うん。
堀尾 だって、無四球試合がかかってたわけで連続の。
江川 僕も「嫌です」って口に出しかけましたよ。
堀尾 言ってない?
江川 言ってないよ。監督に言えないですよ。
堀尾 言えないんですか、それは。
江川 (喉元に手を当てて)もうここまで出かかってますけど言えないです。
掛布 まさか僕は敬遠とは思ってなかったんですけど山倉捕手が立ち上がったんで。ただ、その時に自分自身がホームランを打った時よりも嬉しかったんですよ。だから、彼は悔しいだろうなと思ったんですよ。
江川 そりゃ、ホームラン打たれるより悔しいですよ。
掛布 ええ。
堀尾 それは抑える自信はあったんですか?
江川 それは抑えますよ。
掛布 ハッハッハ(笑)
江川 当たり前じゃないですか。そんなの。
堀尾 でも、前の打席でヒット打たれてたでしょ。
江川 たまたまヒット打たれたんですよ。
一同 (爆笑)
堀尾 あーそうですか(笑)。じゃあ、あの(敬遠球の)スピードは悔しさの表れですか?
江川 全力投球ですね。あれは。
堀尾 凄い敬遠ですよね。
掛布 落ちませんもんね。(ボールが垂れない)
堀尾 はい。
掛布 山倉のミットが突き上げられるような。
堀尾 浮き上がってくるような敬遠球。
掛布 そうですそうです。
江川 でも、今見ると解説させて頂くと、最初のボールより4球目の方が落ちてるんですよ。自分で怒りを収めてるんですよ。
掛布 ハハハハ。なるほど、次の打者に。
江川 (敬遠の)初球でもうカッときてるわけですよ。「こんなことあり得ない」と。無四球でやってきてんのに。もうフォアボールになるならしょうがないけど敬遠じゃ最初から諦めてるんですからね。
堀尾 なるほど。
江川 ホームランの方がまだいいやという気持ちで初球は凄いボール。でも、2球目3球目投げるうちに監督が決めたことだからって考えて4球目は少し落としてるんですよね。
堀尾 はー。
アナ 無四球試合がかかってたんですよね。当時の新聞記事を振り返る (新聞が画面に映される)と「当時のセリーグ記録がかかっていた無四球試合」だったんですね。
江川 これは覚えてないですね。
堀尾 なんだ、知らないの?
江川 知らないけど、それ以上に悔しいじゃないですか。
掛布 ハハハ。
江川 掛布に対して、場所が甲子園ですよ。
堀尾 でも、この試合は敬遠をしたので4-3でそのまま巨人が勝った。
掛布 そうです。
江川 (掛布と)勝負しても勝ってますよ、それは。
掛布 ハハハ。
堀尾 でも、この年は昭和57年だからホームラン王を取ってますよね。
掛布 ホームラン王です。
江川 えー!凄いねー!ホームラン王なの?
掛布 それと打点王。
江川 じゃあ、敬遠するかな~やっぱり(笑)
以上です。
ライバル関係となるとイライラするでしょう。