2018年5月にCBCテレビで放送された「サンデードラゴンズ」で中日ドラゴンズの大野奨太と元中日の監督の谷繁元信が対談しています。キャッチャーのリード論について熱く語り合っています。

 

最初の挨拶

谷繁 二人で話をするというのは初めてのことですけども。

 

大野 はい。こういう機会を頂けることが無かったので非常に楽しみで。

 

谷繁 あ、俺もね、こういう仕事をなかなか頂くことができなかったんですよ。なぜか知らないですけど(笑)

 

 

セ・リーグとパ・リーグの違い

谷繁 まあ、大野君はパ・リーグから来たということで、まずセ・リーグの野球はどう?

 

大野 データを考えながら、このキャッチャーはこの配球で、このカウントでこの球種が来るからという事を予測して打っていきましょうとか。

 

谷繁 うん。

 

大野 パ・リーグのバッターの方が本当にイケイケというか。ストライクゾーンにきたら全てフルスイングしてくるバッターが多いのかなと感じます。

 

谷繁 セ・リーグのバッターも、そういうバッターが増えてきたんじゃないかな。

 

大野 はい。広島の打線そんな感じで僕の中では。

 

谷繁 あぁ、確かに。あとはジャイアンツかなあ、今は。ヤクルトもちょっと個人のレベルを考えると、やっぱり質の高いバッターが多い。

 

大野 はい。

 

 

キャッチャーの準備

大野 その日の試合の反省というか。

 

谷繁 うんうん。

 

大野 「何でこうなったのかな」とか「なぜこの場面でこの球を要求したのかな」とかを確認して明日の事を考えるって感じですね。

 

谷繁 うん。俺は「なぜこのボールを要求したんだろう」じゃなくて「ここで違うボールを要求していたらどうなっていたか?」をまず考えるね。

 

大野 はい。

 

谷繁 準備というかシミュレーションをして、練習をして、もう1回シミュレーションをする。だから、自分の中では全ての準備が出来ているからミーティングはいらない(笑)

 

 

キャッチャーにおける観察力

谷繁 キャッチャーはバッターを見て何かを感じたい。「これ振ってくるだろう」、「見逃してくるだろう」というのが少しの仕草で何かが出るんじゃないかなと。それを常に感じ取ろうとする。

 

大野 「あぁ、何か今日は顔が調子が良さそうじゃないな」とか。

 

谷繁 うん。例えで言うと、そういうところも見ながらね。何かを感じ取ろうとしているんですよ。観察で配球が変わる可能性はありますね。その一瞬で。「この場面ではボールから・・・その球種を何にしようかな」と考えていてもバッターをパッと見た瞬間に「あっ、これ打ってこねーな」と思ったら、最もストライクが取れるボールで初球にストライクを取ってしまう。

 

大野 僕は人を観察するのが好きなんで、まあ、変な趣味なんですけど。

 

谷繁 いや、キャッチャーはそうでなくてはダメだと思う。だから、普段、街を歩いていてもやっぱり見ちゃう。

 

大野 はい。

 

谷繁 チラチラ見ちゃう。うつむきながら歩きながらも、目線は上を向いている(笑)

 

 

大野から谷繁に質問

大野 (谷繁のリードで)この場面でこの球をいくっていう時にしっかり抑えてしまうことが多いっていう話をされた時に、そのボールを選ぶ発想力はどこから来ているのか?

 

谷繁 例えば、球種が4種類しかないピッチャーがいます。

 

大野 はい。

 

谷繁 みんな得意なボールを勝負球にしちゃうんだよね。

 

大野 はい。

 

谷繁 俺はそのピッチャーが持っている全球種を勝負球で使えるように考えるのよ。

 

大野 はい。

 

谷繁 だから、この場面ではこのボールは無いだろうという時に得意ではないボールで勝負が出来るはずなのよ。

 

大野 はい。その得意でない球種で勝負にいって、結果として打たれた時にやっぱり自分で自信のあるボールでいった方が良かったんじゃないかって。

 

谷繁 うん。それは後でしっかりと投手と話せばいい。

 

大野 はい。

 

谷繁 だから、「俺はこうこうでこう思ったからこのボールで勝負した」と。相手バッターもこちらの配球の傾向をみんな知ってるわけじゃん。だから、簡単に言えばその逆をいってやればいいんじゃないの。

 

大野 はい。

 

谷繁 打たれたとしても、それが次にデータとして残るわけじゃん。それで、そのデータを自分の引き出しとして、そこを使い分ければいい。

 

大野 はい。

 

谷繁 結局、同じ打たれるにしても、違う打たれ方をした方が後でしっかりとデータとして残る。

 

 

以上です。

谷繁の独壇場って感じで喋りっぱなしでした。

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