2017年3月にBS1放送された『球辞苑』でヤクルトスワローズで活躍した宮本慎也がショートでのゲッツーのテクニックを語っています。
もくじ
2017年から導入された併殺崩し禁止ルールについて
宮本 僕らは潰される中でかわしてゲッツーを取るっていうのがダブルプレーの醍醐味だと思いますね。やっぱりランナーが潰しに来る中でいかにヒョイとかわして平然とダブルプレーを取るかというのが内野手セカンドとショートの価値が出てくることですよね。だから、併殺崩し禁止ルールでゲッツーを取れない選手は逆に評価をかなり下げると思います。邪魔されないわけですから。
ゲッツーで心掛けていたことは
宮本 ダブルプレーの場合はできるだけ早く捕って、早く渡す。セカンドが余裕を持ってプレーできるように、というのは意識していました。
ゲッツーのためのショートの技法1 捕球時の足の動き
宮本 ショートなんかでいうと、捕り方として捕ってセカンドに投げるときって、みんな左足が前に出すぎるから結構投げづらかったりするんで、右足と左足どちらが前に出たりするようなことないように、誤差がないように捕球するとセカンドベースは見やすい。
両足を揃えて捕球
―両足が揃うと投げにくいのでは?
宮本 ここで捕ったときは、僕は後ろにステップ(僅かなバックステップ)を踏んだんですよ。
捕球前
取った瞬間ほんの少しだけジャンプして後ろバックステップ
宮本 止まったまま投げると上半身だけのリズムになっちゃうんで、後ろへのステップで足を使うことによって連動していいボールが投げやすい。
ゲッツーのためのショート技法2 セカンドへの送球方法
体の左側(セカンド)のゴロの場合
宮本 ゲッツーの定位置と言われる所を守っていた場合、緩い打球で左側(セカンド側)っていうのは全部トスなんですよ。トスじゃなくて、もし投げたりしたら、受け手のセカンドはちょっと体が起き上がっちゃうんでトスの方がセカンドも捕りやすい。相手と握手しにいくようにトスをする。
握手をするようにトス
宮本 ボールの回転とかはしないように投げる。回転しないので相手はより受けやすくなる。
体の右側(サード側)のゴロの場合
宮本 自分より右側の打球は距離があるんで、足を使っていかないといけない。よく「このまま投げろ」って言われたり。
捕球
パッと投げる
宮本 「そっちの方が球の勢いもある」、「セカンドが受けやすいんだ」って指導された方がいるんですけど、僕は間違いだと思っていて、捕ったらある程度はセカンドにボールを見せてあげないと。
ボールを見せる
宮本 ずっとボールが見えるんで捕りやすいんじゃないかなと僕は思うんですよね。
セカンドゴロの4-6-3の場合
―セカンドからの送球の捕り方
宮本 けっこうみんなグラブを前に出して捕りに行きたがるんですよね。
宮本 捕りに行くとボールを握るときにグラブを引く作業もいるし、自分の体を前に持って行くというのもあるんですけど。セカンドからの送球は自分の体の近くで捕ることが早く投げられるコツです。
体の近くで捕る
宮本 ボールを早く取ろうとして前に出て早く動作をしても時間がかかるし自分の体のバランスが悪くなる。バランス良く投げるためには前に出て捕ることを我慢して体の近くで捕る。
サードでのゲッツー
ーショートに比べて視野が狭まり1塁ランナーも見えづらそう
宮本 普通に守っているときにピッチャーを横目に見ているんで、その延長上にランナーがいるから、走ったか走ってないかが分かる。タイミングを計りながら、ゲッツーを取る勝負をかける。
宮本にとって影響のあった選手
宮本 やっぱり高校で一番上手いと言われた方と(PL学園時代に)2年間一緒にノックを受けているんですよね。これは本当に少しでも立浪さんに近づきたいと思ってノックを受けていたんで。お世辞とか抜きにして存在が大きかったですよね。
宮本のVTRが終了
ここからスタジオで立浪和義と番組MCの徳井義実が語ります
立浪が語る宮本の凄さ
徳井 あの名手の宮本さんが立浪さんに少しでも近付くように練習したとおっしゃってますよ!
立浪 いやぁ、恥ずかしい限りですけど(笑) 自分から見ても、ここ過去何年か見ても一番上手い選手だと思いますね。
徳井 はい。
立浪 何がスゴいのか。よく堅実と言われていましたよね。
徳井 はい。
立浪 彼のステップです。先ほど語ってましたけど、ダブルプレーで少しバックステップする動きがありましたよね。その時の彼の動きなんですけど、そのバックステップで捕球する時に着地が右足が着いてから左足が着いてるんですね。だからスムーズなステップになるんですよ。
徳井 へぇ~。
立浪 それをあまり上手くない人があのバックステップをすると、ドンっと両足が同時に着地してしまうので、逆にバランスを崩すと思うんですよ。
徳井 へぇ~。
立浪 その身のこなし。いわゆるステップですね。
徳井 これはプロならではの視点ですね。
以上です。
たっぷり語ってくれました。最後は先輩にも