2019年1月にフジテレビONEで放送された『プロ野球 ここだけの話』で横浜、中日で活躍した谷繁元信がレギュラーキャッチャーになるまでの道のりをフジテレビアナウンサーや古田敦也、大矢明彦と共に語っています。

 

レギュラーになるまで長かった

アナ 正捕手をものにするまでの道のり、苦労というのはどういうものがありました?

 

谷繁 まあ、結構長かったですよ。

 

アナ うーん。

 

谷繁 1年目から80試合くらい出てましたけど、正直4年目まではほぼ成績も出てませんし、身長くらいの打率しかありませんし、それで信頼もないですし。そこでチームが大洋かベイスターズになった時に大矢さんがコーチとして就任してそこからですね。そこから3年くらいかかって、96年にやっと戦えるようになってきたなと。

 

アナ 96年は盗塁阻止率もリーグトップ。

 

谷繁 はい。打率も3割打ったんですよ。最後の打席は古田さんにお願いしたんですせどね。

 

アナ そうなんですか。3割乗るか乗らないかというところで。

 

谷繁 はい。

 

古田 覚えてないなぁ。

 

アナ ハハハ(笑)

 

古田 (本当は)覚えてるわ(笑)

 

谷繁 覚えてるでしょ。神宮でね。

 

古田 そうそう。

 

谷繁 2割9分8厘かな。最終戦の1打席目に「古田さん、ちょっとお願いがあるんですけど これでヒット打ったら3割で、ヒット打ったら大矢さんが代えてくれる」って言って(笑)

 

大矢 そんな話していいの?(笑)

 

谷繁 まあ、それを打てるかどうかは分からないじゃないですか。

 

古田 そうですよ。正直に言うと、打てないと思ってましたよ。

 

谷繁 ハハハ(笑)

 

アナ そうなんですか。

 

古田 「(本当に)打ったか」と思って。

 

アナ へぇー。それは目を合わせないでバッターボックスで話しかけて。

 

谷繁 そうです。もう時効です。

 

古田 けっこう長い話を下向きながら打席でずっとするんですよ。

 

谷繁 そうでしたね。それからやっとレギュラーになれてきたなって感じたのはね。

 

アナ その96年というのが大矢さんが監督になられた年だと。

 

谷繁 そうですね。

 

 

野村弘樹とコンビ

アナ その頃は野村弘樹さんとよくバッテリーを組まれていたんですよね。

 

谷繁 1歳違いで、僕が入った時からとにかく野村さんとだけスタメンで組まされるんですよ。まだ19とか20歳の頃にね。

 

アナ はい。

 

谷繁 ここで勝たないと僕は他の試合に出れないと思ってたんで、何とか野村さんの時に勝ちたいと思って二人で一生懸命考えながら、時には言い合いながらやってました。大したピッチャーじゃなかったんですけど(笑)

 

アナ いやいや(笑) 二桁勝利も上げた左のエースです。

 

谷繁 まあそうですね。でもボール自体はそんな大したことない。

 

古田 いい時もあったけどな。

 

谷繁 いい時もあったんですけど、球種とか少ないし、ストレートとカーブで。カーブといっても高校生並みで。

 

古田 落ちる球をいつでも投げられるピッチャーでしたね。

 

谷繁 そうですね。右バッターの外に落ちる球でしたね。まあ、それと2種類ぐらいしかなかったんですよ。

 

アナ その2種類でどう料理をしていこうかっていう。

 

谷繁 そうですね。二人でよく考えてやってました。

 

アナ じゃあ、二人の絆というのは今でもありますか?

 

谷繁 そうですね(笑) なんかね。

 

 

大魔神・佐々木のフォークを止めるための特訓

アナ 野村さんらのピッチャーがいる中、その一方で大魔神・佐々木主浩さんのフォークはかなり難しかったと思うんですけど。

 

谷繁 そうですね。これはよく言われているんですけど。僕がまだレギュラーを獲るか獲らないかという時っていうのは、1回から8回までは僕が勝ちゲームを作って、そこで佐々木さんが出る時に秋元宏作さんというキャッチャーにいつも代えられていたんですよ。

 

アナ はい。

 

谷繁 その理由がやっぱり佐々木さんのフォークを止めるのがあんまり上手じゃなかったと。そこで大矢さんと何をしなきゃいけないかっていう風に考えた時にワンバウンドを止める練習をとにかくするしかなかったんですよ。

 

アナ はい。

 

谷繁 それでキャンプでもやって、シーズン中もやって。大矢さんに言われてたのが「この練習はピッチャーの見えるところでやろうよ」って。

 

アナ へぇ~。

 

谷繁 やってるっていう姿をピッチャーに見せなきゃいけないと。

 

アナ はい。

 

谷繁 だから、わざわざピッチャーが見える近くでやってましたよ。

 

アナ どんな練習をされていたんですか?

 

谷繁 とにかくひたすらワンバウンドを止める形の練習です。

 

アナ それは大矢さんが投げて?

 

谷繁 投げたりノックしたりですね。

 

大矢 だから、谷繁捕手の腿の内側はアザだらけだったと思いますね。

 

アナ あぁ。

 

大矢 手もそうですしね。

 

谷繁 あとはプロテクターがあるじゃないですか。

 

アナ はい。

 

谷繁 ある時、大矢さんが「今年はこのプロテクターを使え」って言って、それを見たら薄っぺらなんですよ。

 

アナ じゃあ痛いですよね?

 

 

谷繁 今までの半分ぐらいの薄さしかないプロテクターを大矢さんがメーカーに頼んで作ってもらって。

 

アナ へぇー。

 

谷繁 それでノックを受けてたんですけど、めちゃくちゃ痛いんですよ。

 

大矢 ハハハ。

 

アナ 薄いのは何か効果があるんですか?

 

谷繁 要するに当たった時に遠くに弾かないようにキャッチャーはしなきゃいけないんですよ。

 

アナ はい。

 

谷繁 だから技術もいるんですけど、道具でもカバーしていくというね。

 

アナ はぁ~。でも、いかに大矢さんが谷繁さんに目をかけて、どうにかしてっていうのが伝わってきますね。特別に可愛がるというか。

 

大矢 いや、可愛がるというか、僕が最初にコーチで入ってきた時にピッチャーに信頼されていないんじゃないかと。

 

アナ うーん。

 

大矢 入った時に一番ビックリしたのがそれだったんですよね。もうここを一番頑張らなきゃって時に代えられていたんで。だから、僕たちはとにかく早く谷繁が一人前になってくれないとこのチームは強くならないというのがあったんで。頑張ってくれれば自分たちも信頼できるし、信頼してないなんて一切思わないよっていうのをまず周りに分かってもらわなきゃいけなかったんで。

 

アナ はい。

 

大矢 そういう意味では逆に谷繁さんへの当たりは厳しかったと思いますよ(笑)

 

 

一流になるには自分次第

アナ でもそんな中で一流への階段を昇っていったと。

 

大矢 うん。昇っていくのは古田さんもそうだし、谷繁さんもそうだけど、自分が上がっていくんですんですよ。僕らは色んなヒントを与えていく事と、モチベーションをどんどん高くしてもらうだけですから。まずは選手が頑張らないと階段は昇っていけない。

 

アナ 自分次第という。

 

大矢 もちろんそうです。

 

 

以上です。

レギュラーになるまでかなり苦労してます。

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