2019年5月13日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』でこの日のvs.タンパベイレイズ戦に9試合目の先発登板し、7回1失点の好投で見事な3勝目をあげたニューヨークヤンキースの田中将大のピッチングについて黒木知宏がフリーアナウンサーの山本萩子と共に解説しています。
この日の田中の投球内容
7回73球 被安打5 奪三振7 与四死球0 失点1
今季3勝3敗 防御率3.44(5/13の試合終了時点)
田中の試合後のコメント
田中 序盤は(相手の先発のスネルに)圧倒的なピッチングをされていましたけど、野球がどうなるかは分からないということが今日も見れたと思いますし、特に得点が入った次のイニングはしっかりと抑えていこうという意識がありました。早い段階で自分のカウントに持って行けたのが良かった要因かなと思います。
黒木の解説
アナ 田中投手、サイヤング投手のレイズのスネル投手に投げ勝ちました。
黒木 素晴らしい投げ合いでしたよね。その中でも田中投手はゲームを支配していましたよね。
アナ そうですよね。そしてキャッチャーのロマイン選手は「タナカはいつも大一番でやってくれる」。そして相手のキアマイヤー選手は「タナカは魔法使い」と絶賛しているんですよね。
黒木 早い段階でカウントを整えるということを本人が言っていましたように、今日は本当にストライクゾーンで勝負できていましたよね。その中でも今日ポイントにしていたのが、今日の第1球で何を投げるか、そこがポイントだと思いました。
アナ はい。
黒木 今日の初球は何を投げるのか気にしていたんですけど、真っ直ぐの甘めを投げたんですよね(笑) 本当に甘めのボールだったんですが、この時に「ストライクゾーンで勝負をするよ」というような覚悟が見えたんですよね。
アナ なるほど。
黒木 今日の試合では26人のバッターに対して、結果球も含んでですけど実は20人のバッターに初球ストライクだったんですよね。こうなってくるとストライクゾーンで勝負ができる。そしてストライクゾーンで勝負をすれば自分のタイミングというか、自分のピッチングができてくるというのが証明できましたよね。
アナ とにかく強気の投球ができていたことが、結果が出なかった時との違いだったわけですね。
黒木 そうですね。
アナ ただストライクばっかりを投げていると、打たれやすいイメージがあるんですが。
黒木 そう思いますよね。実際に結果球をゼウスで見てみますと、フォーシーム、スライダー、スプリットなんですけど、今日素晴らしかったのはほとんどストライクゾーンにこれらの球が来ていたんですね。
アナ はい。
黒木 今までの田中投手というのはスライダーであったり、スプリットであったりを厳しいコースに投げるんですよ。それで対策を練られて見送られたりして、カウントを不利にして甘めの球を打たれるというのがありましたので、今日は厳しめのところじゃなくて甘め、それもストライクゾーンの低めのところに集めることができましので。こうなるとバッターというのは間違いなく手を出さないといけなくなりますよね。
アナ なるほど。戦略的に敢えて甘めに投げていったということなんですね。
黒木 はい。対策されていますのでストライクゾーンを上げてやや甘めに投げていって早めに勝負をかけるというピッチングでしたね。
アナ はい。そして最近課題とされているスプリットについて田中投手は試合後に「スプリットは横に逃げるのではなくもっと下に落としたい」と話していたんですよね。
黒木 理想はストライクゾーンからボールになるスプリットを投げたいと思うんですが、やっぱりここ最近は低めギリギリのところからボールになるようなスプリットだったので、バッターはそれをケアしてきますよね。
アナ はい。
黒木 だから今日投げたような高め真ん中付近の高さから、より低く下に落としていくようなスプリットになってくると、もっと理想的なピッチングになるんじゃないのかなと思います。
アナ なるほど。「もっと下に落としたい」というのは変化量的に落としたいということなんですね。
黒木 そうですね。とにかくバッターが反応するような高さからボールになるようなスプリットを投げていきたいというイメージなんでしょうね。これが出来たらより一層いいピッチングできると思います。
以上です。