2019年5月31日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』でシーズン68本ペースでホームランを量産するメジャー最強バッター・イェリッチを黒木知宏がフリーアナウンサーの山本萩子と共に分析しています。
2019年5月時点のイェリッチ
アナ イェリッチ選手は2018年にキャリア最多のホームラン36本を放った選手です。
黒木 今年はすでに21本(5/31時点)と、このままのペースだとシーズン68本という驚異的です。
アナ そして打率も3割以上で長打力だけではないんですよね。
黒木 率だけじゃなく長打もある。そこには秘密があるんですよ。
アナ 今日はそこを分析して頂けるんですよね。
黒木 はい。
データで見る変化
アナ では改めてここ3年のデータがこちらです。(※出典Baseball Savant)
HR | 打球初速 | 打球角度 | バレル率 | |
17年 | 18 | 145.4キロ | 4.7° | 7.0% |
18年 | 36 | 148.5キロ | 4.7° | 12.9% |
19年 | 21 | 152.0キロ | 13.0° | 17.9% |
アナ これを見ると打球角度、そして長打になると言われるバレルゾーンに入った割合を示すバレル率が急激に伸びているのが分かりますよね。
黒木 そうですね。もうビックリですね。打球速度も上がっていますが打球角度とバレル率がかなり上がっています。これは本人の談話を聞くと、実はアッパースイングにしているわけじゃなくてレベルスイングを心掛けているということなんですよね。
アナ それがまず一つ目のポイントなんですよね。
進化 その1
アナ では、どこに変化があるのかここ3年の打撃フォームを比べてみました。こちらです。
黒木 これは構えが低くなっています。17年、18年、今年と比べると徐々に低くなっていますよね。
アナ はい。
黒木 当然、目線が低くなりますのでボールの見極めも出来ますけど、一番は下からボールを叩けるようになりました。
アナ なるほど。下から叩くとどういう風になるのかというところですよね。
黒木 やってもらったら分かると思うんですけど、上体が高いままでフライを打とうとするとアッパースイングになるか、もしくはダウンスイングだったとしてもボールの下にバットが当たらないとフライは上がらないんですよね。
アナ そうですよね。
黒木 今年は上体が下がっていますので、そのままのレベルスイングで振ったとしても、ボールの下にバットが入るんですよね。ですから、強い打球であったりフライが上がるようになっているんですよね。
アナ なるほど。構えを低くしたことによって効果があったというのが一つ目のポイント。
黒木 はい。
進化 その2
アナ ではもう次のポイントは何があるんでしょうか?
黒木 前でボールを捉えます。ミートポイントの違いですね。昨年のミートポイントの位置はここになります。
黒木 この画面で見ると真っ直ぐ縦になっているような感じですよね。
アナ はい。
黒木 そして今年は前に出ていますよね。
アナ 違いがありますね。
黒木 はい。このように前で捉えた方が強い打球が打てるんですよね。
アナ このミートポイントが前にあるとどのような効果があるんでしょうか?
黒木 より強い打球が打てるようになります。去年の形だとポイントが近いので分かりやすく言うとセンター方向に打つ角度でした。そして今年の場合はより前でミートポイントがありますので引っ張り方向で強い打球が打てますよね。ですから、ホームラン数が増えていますよね。
アナ ということは、今年はライト方向に引っ張ったホームランが増えているということですよね。
黒木 増えていますね。イェリッチ選手はどういうボールに対してもピッチャー寄りに前にミートポイントがありますから強い打球を引っ張り方向に打てる。そして下から強い打球を打っているということでホームランの角度も出来てきますよね。そしてこれが右方向の本塁打割合になります。(※データスタジアム調べ)
右方向 本塁打割合 | |
17年 | 22.2% |
18年 | 25.0% |
19年 | 42.9% |
アナ 今年一気に増えていますよね。
黒木 これは低く構えてバットを下から入れる。そしてミートポイントを少し前に置いて、右方向に強い打球を打てるというのがデータで表れていますよね。
アナ なるほど。
黒木の分析結果
アナ では黒木さん、分析結果をお願いします。
黒木 『レベルスイングでフライボールは打てます』
アナ なるほど。
黒木 フライボールを打とうとすると、どうしてもアッパースイングってイメージがあるんですよね。僕もそう思ってました。
アナ はい。
黒木 ただ、イェリッチ選手のコメントを聞いて、何故ホームランが打てるかっていうのをデータを調べて分析してみたら、こういう事なのかなと思いました。あとは本人にもし会う機会があればちょっと聞いてみたいですね。そういうチャンスがありましたらお伝えしたいと思います。
以上です。