2018年8月24日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」で現在、打線が絶好調でポストシーズンも狙えるオークランドアスレティックスを元ロッテの黒木知宏がフリーアナウンサーの平原沖恵と共に解説しています。
アナ アスレチックスと言いますとマネーボールの印象が強いんですけど、メジャーでもいち早くデータを取り入れて、それを成功させたというチームですよね。
黒木 そうですよね。まあ、チーム全体で出塁を優先しているように見えるんですよね。
アナ 今のアスレチックスの強さというのはどこにあると思いますか?
黒木 それは打撃にあると思います。特徴を見てもらえれば分かると思うんですけど、ホームラン数と長打がやっぱり多いんですよね。
8月24日時点の様々な数値(MLB平均打球角度11.7°)
選手 | HR | 2B/3B(長打) | 平均打球角度 | |
1番 | マティーニ | 0 | 8 | 5.8° |
2番 | チャップマン | 17 | 37 | 15.6° |
3番 | ラウリー | 20 | 33 | 16.6° |
4番 | デービス | 39 | 25 | 18.1° |
5番 | オルソン | 23 | 28 | 18.9° |
6番 | ピスコッティ | 16 | 35 | 12.9° |
7番 | シミエン | 10 | 31 | 14.4° |
8番 | カナ | 14 | 18 | 15.5° |
9番 | ルクロイ | 2 | 20 | 12.9° |
アナ 多いですよね。
黒木 そして、注目してもらいたいのが平均打球角度なんですね。メジャーの平均角度と比較すると1番のマティーニ以外は全員が平均以上なんですね。
アナ そうですね。これは意図的にフライを打っているということですか?
黒木 これは意図的に打ってますね。
アナ そうですか。
黒木 この前、1試合に2ベースヒットが8本の試合がありましたよね。(※8/19のアストロズ戦)
アナ はい。
黒木 まずゴロに比べて、長打を打つメリットというのは、ゴロというのは間を抜けてもシングルヒットにしかならないですよね。ただ、長打を打つということは野手の頭を越えるので、確実に2ベースヒット以上で3ベースヒット、ホームランというメリットが出てくるんですよね。
アナ うんうん。
黒木 前半戦と後半戦のアスレチックスの長打率を見てもらうと分かるんですが、今はメジャートップなんですね。
【2018年アスレチックスの長打率】
前半戦 .442 メジャー8位
後半戦 .473 メジャー1位
2018年8月24日の試合終了時点
黒木 そんな中でクリス・デービスが光っています。とにかく凄いです。
アナ うん。そうですね。今日もホームランを打ちましたが本塁打39でメジャー1位、打点も103で2位です。
黒木 バッティングを見ていて思うのは、どの球種に対してもホームランがまず出ています。
アナ はい。
黒木 なかなか難しいんですよ。得意なコースとかもあったりするんですけど、どの球種もコースも見事にホームランを打ち返しているんですね。この要因を見ていくと、まずスタンスが狭いんですよね。それでコンパクトに打ちますので、ボールがよく見える。目線が動かない。そして、打ちにいくときに右足を軸にして打っているんですよね。
アナ はい。
黒木 ですから、打った後も頭が後ろに残るじゃないですか。
アナ はい。
黒木 後ろ体重で打っているんですね。
アナ 確かに後ろ体重だと打球の角度は付きますよね。
黒木 カチ上げて打つような打ち方をしていて、それでいてコンパクトに打っていきますから、万遍なく打てると。
アナ うーん。
黒木 ですから、クリス・デービスは現在ホームラン王ですよね。
アナ トップですね。これは長打が増えたことでチームの勝利が増えたと考えてもいいんですか?
黒木 はい。
【月別の勝率と長打率】
長打率 | 勝率 | |
5月 | .370 | .517 |
6月 | .456 | .630 |
7月 | .462 | .680 |
8月 | .464 | .722 |
黒木 はい。5月から見てもらいたいんですけど、長打率が上がることによって、チームの勝率も上がってきているわけですよ。
アナ はいはい。
黒木 ですから、長打率を上げることよって勝率が上がる。そして、それが今の好調の要因になっていますよね。もしかすると、このままいけば地区優勝もあり得るかなという状況にきていますので、このまま順調に長打が増えていけば、楽しみなシーズンになりますね。
アナ それでは、今回の分析結果をお願いします。(※そういうコーナーで最後に分析結果を発表します)
黒木 『やっぱりフライボール革命』
アナ やっぱりフライボール革命ですか。
黒木 はい。打率もすごく大事なんですよ。長打を増やす事によってチームが上がってくるという有効性をデータとして集めているというアスレチックスの強さというのが僕は証明されていると思うんですよね。
アナ うーん。
黒木 これは本当にデータの賜物。ですから、このままの成績を残してくれれば、地区優勝の可能性があると思います。
アナ なぜアスレチックスが強いのか、その理由が分かりました。
黒木 何かちょっと分かってきましたよね(笑)
アナ 見えてきた気がします。
以上です。
長打を増やせばチームの順位を押し上げる。フライボール革命!