2018年9月2日にNHK総合で放送された「サンデースポーツ2020」で中日に監督をしていた落合博満が金足農業高校の吉田輝星の可能性についてNHKアナウンサーの大越健介と副島萌生(以下アナ)と共に語っています。
大越 甲子園を湧かせた金足農業の吉田輝星投手に着目したいと思います。落合さんも惚れ込んだと言われている。
落合 はい。このピッチャーはいいピッチャーです。
ここからVTRで吉田投手の武器であるストレートを科学的に検証
吉田投手はキレイな回転軸で高回転のボールを投げるということでした
ストレートを投げる時に普通の投手はリリースの瞬間に指先が時計の1時から2時方向に傾いていますが、一方の吉田投手は指先が完全に12時の方向で真上を向いているのでキレイな縦回転のボールを投げられて、これによってバックスピンの利いたストレートとなる。
そのキレイな回転によって投げるボールにどれほどの揚力を生み出されているのか。高校生の平均が32㎝で大リーグの代表的な日本人ピッチャーではダルビッシュ44㎝、大谷41㎝、田中40㎝。それに対して吉田投手は53cmと大リーグの日本人投手以上の値。高校生の平均と比べると21㎝とボール3個分もの差がある。
大越 落合さん、吉田投手はまさに高スピンのボールを投げられるピッチャー。でも、かつてこういうピッチャーもいましたよね。
落合 うん、たくさんいました。たくさんいたし、勝手に曲がるボールを投げるピッチャーもたくさんいました。ただ、今みたいにボールに名前を付けていないというだけでね。ピッチャーは全員がそういうボールを投げていても、自分をさらけ出すことはしませんでしたから。さらけ出すイコール相手を楽させるということなんでね。全部隠したんです。
大越 はい。
落合 今のピッチャーって週刊誌でも何でも握り方はこうやって、俺のスライダーはこうだ、シュートはこうだってやるでしょ。
大越 あー。
落合 昔は絶対になかった。本人の企業秘密だった。
大越 吉田投手の話に戻したいんですけど、彼のボールっていうは、昔いいピッチャーがいたよと言われるような王道のストレートですよね。
落合 そうです。
大越 久々に現れた王道のピッチャーという感じがするんですけど、どうですか。
落合 だと思います。そうじゃなかったら、あの投げ方、あの体の使い方、ああいうボールを投げなかったら、1人で予選で1500球ぐらいは投げられません。
大越 それだけ無理しているとか、球数を云々するよりも、それだけ投げられるものを作ってきたピッチャーなんだと。
落合 はい。ボールに自分の体を上手く無理なく伝えているからああいうボールで球数を投げられたと思うんでね。だから、変なことを覚えないでこのままいってくれた方がいいと思います。
大越 落合さんが監督だったら獲りますか?
落合 私ですか? ピッチャーいなかったらドラ1でいきます。
アナ えぇぇ。
大越 有難いお言葉を頂きました。
アナ 大越さんに対してじゃないですよ(笑)
大越 あっ、僕じゃないですね(笑)
以上です。
とにかくスピン量が素晴らしい。持って生まれた才能というべきものだと思います。