2018年11月19日にフジテレビONEで放送された「プロ野球ニュース」で2018年シーズンで引退し、2軍監督に就任した松井稼頭央が自身の守備について語っています。野村弘樹、高木豊、片岡篤史、そしてフジテレビアナウンサーの小澤陽子と共に語っています。

 

守備機会失策守備率
通算7306158.9783
ショート6895150.9782
セカンド281.964
サード905.944
外野2932.993

 

野村 まあ、イメージからすると守備範囲とスピードですよね。そして肩の強さ。

 

高木 体が強いよな。

 

野村 肩にはやっぱり自信があったでしょ?

 

松井 自信があったのは走るのと肩だけでしたね。

 

野村 走るのと肩だけ?

 

松井 はい。プロに入った時は肩と足だけは誰にも負けないと思ってやってました。

 

野村 はぁ~。

 

高木 でも西武時代のショートの時に加減して送球してたね。

 

松井 僕、スゴい送球が下手だったんですよ。ノックを受けてても、東尾監督は捕るまでは見るんですけど、投げる瞬間に目を逸らすんですよね。

 

高木 うん。

 

松井 見たら使えないんで。

 

高木 なるほど。

 

松井 そのレベルだったので、投げるのがちょっと加減が分からなかったですよね。

 

高木 もう肩が強すぎて、高く浮いたらとんでもない所にいくみたいな。

 

松井 そうですね。

 

野村 要するに流れでサーっていうのが出来なかったと。

 

松井 内野手投げが出来なかったです。

 

野村 要は常に100%で投げるしか出来ないと。ピッチャー出身だから。

 

松井 はい。

 

野村 100でいけば物凄い球がいくけど。

 

松井 でも、どこにいくか分からない。

 

野村 なるほど(笑)

 

高木 だから俺が見てて、加減して投げているから、加減してても人より球がいってるから、これは全力で投げたらどんな球を投げるのかなっていう。

 

松井 全力で投げるのは中継プレーにいった時ぐらいですね。

 

高木 あー。

 

片岡 ショートなのに右中間の当たりの中継も松井が入るからね。その時のボールは凄かったよ。あと三遊間で深くなればなるほど松井のボールの凄さが分かるよね。

 

高木 守備は誰に教わったの?

 

松井 誰にも教わってないんですよね・・・。何か見て盗んでいたような。

 

野村 ちょっと聞きたいのは、スローイングに不安があったわけでしょ?

 

松井 ありましたね。

 

野村 それをどうやって克服したの?

 

松井 克服・・・。

 

野村 もう練習量?

 

 

松井 練習量と、あとは「足を使え、足を使え」とずっと言われていたので。

 

野村 うん。

 

松井 やっぱり肩が強いんで、足が止まって上半身の力だけで投げてしまう形がスゴく多かったんですけど、しっかりと足を使って投げればもっと球もいくし、正確性も増すということを言われながら。

 

野村 うん。

 

松井 それをずっと言われていたんですけど、若い時はやっぱり力があったので、そっちに頼っていたんですけど、年齢がいくとその大事さが分かりましたね。

 

野村 あー。

 

高木 稼頭央の守備の特徴ってボールに対してやっぱり直線的だったんだよね。無駄がない。

 

野村 なるほど。

 

高木 でも正面の当たりも直線的に処理するから、衝突が多かった。

 

松井 そうでしたね(笑)

 

野村 やっぱり正面が一番難しい?

 

松井 難しいです。だから、色々な人に守備を聞いたり、真似をしたり、そういう風にはずっとやってました。

 

アナ ショート以外だとどうだったんですか?

 

松井 ショート以外だとセカンドも難しいですし、サードも難しいですし、外野も挑戦しましたけど、やっと外野の難しさが分かりました。

 

ここで楽天時代のサード守備で三遊間のゴロをセカンドにバックトスする映像が流れる

 

 

野村 これあったね。サードからのバックトス。

 

高木 凄いねぇ。

 

野村 あれ考えてやってないよね?

 

松井 投げた瞬間に『アッ!』と思いました。

 

野村 『あっ、俺サードだった』みたいな?

 

松井 いや。

 

高木 無意識にやったということだよね。

 

松井 はい。無意識にやってました。

 

高木 これはショートをやっていたからやれたんだと思う。

 

松井 アメリカでセカンドをやってバックトスを覚えたんで、それでどんどんトスの距離が投げれるようになったんで、咄嗟に出たプレーですね。

 

高木 カッコいいねぇ。もう本能だよね。

 

片岡 サードであのバックトスが出来る選手っていませんよ。

 

高木 いないね。

 

野村 でも本能でもなかなかサードからバックトスでセカンドには投げないですよね。

 

 

片岡 そんな発想ないよ。

 

野村 ないよね(笑)

 

高木 だから、アメリカの人ってボールで遊んだり、色んなことをするよね。そのひとつの発想から生まれているんだと思う。

 

野村 じゃあ、アメリカに行ってなかったら、あのプレーはなかったと見ていい?

 

松井 なかったと思います。

 

野村 なるほど。

 

高木 あのプレーは凄い。

 

松井 あのプレーでまず捕った時にどう投げていいのか分からなかったんですよ。どう回転して、どう体勢を整えて投げていいかが全くイメージ出来なかったんで、気付いたら投げてました。

 

高木 でも、あのトスで届くという肩の強さね。肩じゃねえな。肘かな(笑)

 

野村 当然、プロではショートをやる時間が一番多くて長かったでしょ。

 

松井 はい。

 

野村 それでセカンドもやり、サードもやった中で『やっぱり俺はショート』っていうイメージは強い?

 

松井 強いですね。やっぱりいつかはショートに戻りたいと思ってずっとやってました。

 

野村 そうなんだ。

 

アナ 現役生活で守備での忘れられないプレーはなんですか?

 

松井 オールスターになってしまうんですよね。

 

野村 オールスターか。

 

松井 片岡さん、江藤さんの打球があったじゃないですか。

 

片岡 あっ、あの千葉マリンの?(※正しくはナゴヤドーム)

 

松井 はい。

 

片岡 はいはい。

 

松井 あのプレーが一番印象に残っているんですけど。

 

1998年7月22日のナゴヤドームでのオールスターの映像が流れる

ランナー3塁でバッター江藤が三塁線付近に強烈な打球を打ち、飛び込んだサード片岡が打球をグラブに当ててボールがファウルゾーンの方に転がっていくがショート松井稼頭央がサードコーチボックス付近まで素早くカバーをしてジャンプしながらバックホーム送球で3塁ランナーを刺したプレー

 

 

片岡 これ覚えてますよ。めちゃくちゃカバーが早かったんです。あの場所にショートがカバーで来るなんてまずないでしょ。

 

高木 この時は咄嗟に先輩のカバーをしなきゃいけないという?

 

松井 咄嗟のプレーで気付いたら走ってまして。

 

高木 だから、本能だよね。

 

松井 そうですね。はい。

 

高木 片岡さんはビックリしたよね?

 

片岡 『誰かな?』って思いましたもん。

 

一同 ハハハ(笑)

 

野村 でしょうね(笑) あの片岡さんの姿を見ても『どこ行くの?』みたいな顔をしてますよね(笑)

 

片岡 ボールがどこ行ったのかなと見てたら。

 

野村 そうしたら稼頭央の方が先に行ってたみたいな(笑)

 

高木 やっぱりこのプレーが一番印象に残ってる?

 

松井 はい。

 

 

以上です。

NPBで過去最高のショートでしょう。

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