2017年2月にBS1で放送された『球辞苑』で阪神タイガースの監督時代の奇策継投について野村克也が語っています。そして途中から松井秀喜との対決についても遠山奨志を交えて語っています。
もくじ
遠山を2度使う継投
―遠山を二度登板させたこと
野村 苦肉の策ですよね。(チームが弱くて駒が)いないからしょうがない。そういうふうにしないと。ピッチャーが皆目いない。特に巨人なんてのは左バッターにいいのがいるでしょ。松井秀喜を中心にね。
―異例の継投策
野村 バッターを幻惑していくという右バッターには葛西、左バッターには遠山。
―全て成功している
野村 あ、そう。それは名采配だね(笑) あの大打者の松井秀喜さんが遠山を嫌がってましたからね。
VS松井秀喜
―松井キラーの遠山
野村 やっぱりプロ野球は同じ選手と何回も対戦しますから、苦手意識を作るのが理想です。遠山をコールすると松井が「イヤなピッチャーが出てきた」と思わせるのが一番良い。
―左殺しの秘策
遠山 野村監督から直に言われたのは「左バッターのインコースに投げられないか?」という事だけだったんですよ。「投げれますよ」と、そこは僕はウソでも言っちゃえみたいな感じで(笑) まあやってみてどうにかなるやろと(笑)
―松井秀喜への投球術
遠山 インコースはやっぱり半分以上使ってましたね。僕の場合はここを攻めるんですよね。
遠山 僕はシュートを投げますので、ここをバッターが意識してくれたんですよ。それである程度のボール球でも振ってくる。そこで松井選手がどう反応してくるかをまず見るんですよね。様子見のインコースで少しでも打つ形が変わればアウトコースっていう攻め方をしてましたね。
―松井との対戦前の心境は?
遠山 僕はブルペンで「うわ、また松井かあ・・・」って感じでしたね。ハハハ(笑) ましてランナーを背負って投げていかないかんというのはね。やっぱりしんどいと言うよりも、物凄く集中しましたね。
―怖さを感じていた
遠山 結果なんですよ。1年間良かったから、こうやって左殺しの継投で出ましたけど。だから1回目で失敗していたら、それは多分なかったと思いますよ。
再びノムさん登場
―松井を抑え込んだ遠山について
野村 大した力のあるボールは持ってないのに向かっていく気持ち。「打てるもんならうってみやがれ」というのがピッチャーだから。それくらいの自惚れがある人がピッチャーに向いてるんですよ。
―遠山にはそれがあった?
野村 そういうのを持っていたと思う。大成功ですね。
以上です。