2019年12月7日にBS1で放送された『球辞苑』で3塁ベースコーチについて伊原春樹が語っています。
もくじ
3塁コーチに必要なもの
―今回のテーマは『ベースコーチ』です
伊原 はい。何でも聞いてください。
―3塁ベースコーチとはどのようなものか
伊原 サードコーチャーというのは指揮者と同じじゃないかと思うんですよね。手の動き1つで回れか、ストップか。それによって選手が動くわけですからね。
―3塁ベースコーチにはどのような資質が必要か
伊原 本当に生真面目なガチガチの固い人というか、真面目な人では務まらないんじゃないですか。例えば腕を回してホームでランナーがアウトになりますよね。そうすると、監督によっては「なぜあそこで行かせたのか」とね・・・。そういうふうに言われると神経をすり減らしていくわけですよ。ところが、ある程度は「ちゃらんぽらんでいいや!」という性格だったら、「誰だって失敗はあるわい!次見とけ!」というものがないとサードコーチはちょっと難しいんじゃないかなと思いますね。
―伊原のジャッジの基準
伊原 僕の持論では五分五分だったら、行かせるつもりですから。それでちょっとでも返球が逸れたらセーフなるし、ドンピシャの返球が来れば「これはもうしょうがない」と。
好投手たちのクセ
―伊原の真骨頂
伊原 ピッチャーのクセをずっと見ていると分かるんですよね。
―伊良部のクセ
伊原 伊良部はフォークの場合に右手でボールを挟みますから、指を広げなくちゃならないんでその分だけ若干グローブが開くんですよ。
―野茂のクセ
伊原 野茂の場合はフォークの時にボールを挟んだ手首が少しだけキュッと三塁側に回る(手首が上を向く方向に回る)。若干手首が回るんですよ。一瞬だけフォークの時に回った。
伊原の特権
―特権とは?
伊原 森監督のときも、東尾監督のときも、原監督のときも盗塁のサインを出すのは全部伊原さんにお任せしますと。全部僕が3塁コーチャーズボックスから出してました。
―とてつもない重圧
伊原 例えば緊迫した場面で盗塁のサインを出しますよね。「頼むよ走ってくれ、セーフになってくれよ」と心の中で願っていたらね、胸の鼓動が聞こえるんですよ。ドクンドクンドクンと。
―忘れられないシーン
伊原 やはり今までで一番胸の鼓動が聞こえてきたのは広島との日本シリーズ。
―佐々岡のある一点とは
伊原 僕はずーっと佐々岡のクセを、ホームに投げるのか牽制なのかを、ずっと見ているわけですよね。そうすると佐々岡はランナーが出たら初球は必ず足を上げるのが大きかった。クイックをしない。初球は必ず。
―石毛がヒットで出塁
伊原 「よし!」と。それでサインを出すわけですよ。盗塁のサインを出したら石毛がこんな顔をするわけですよ。(※驚いた顔)
伊原 それでスタート前。鼓動ですよ。「佐々岡さん、頼みますよ・・・」と。
―改めて伊原春樹にとって3塁ベースコーチとは?
伊原 まあ本当にやりがいのある、野球の全てを勉強できる場所ですね。
以上です。