2019年12月30日に関西テレビで放送された『こやぶるSPORTS大忘年会』でフリーの立場となった鳥谷敬が色々な事について小藪千豊、シャンプーハットのてつじ、本田望結と共に語っています。
もくじ
現状
小籔 松村さんから質問が届きました。今の目標は?
鳥谷 22歳でプロ野球界に入って(2019年時点で)38歳ですけど、当然22歳当時の38歳のイメージよりも体も全然動きますし、この感覚をどれだけ持って自分はやっていけるのかなっていう。目標というか、それを維持するというテーマもありますし。
小薮 22歳の時にこの年齢まで現役をやっているというイメージはあんまり持ってなかったんじゃないですか?
鳥谷 そうですね。40歳までやりたいとは口では言ってたんですけど、自分のイメージとはだいぶ違う状況かなと思いますね。
小籔 うんうん。
てつじ 今、鳥谷さん自身は現在どういう状況なんですか?去就というか。
鳥谷 他の球団から声がかかるのを待っている状況で。当然、声をかけてもらえればそこでプレーしますし、声がかからなければそのまま辞めるという感じですね。
てつじ えっ、声がかからなかったらもう辞めはるんですか?
鳥谷 当然プレーができないんで。
小籔 まあそうやんな。俺はうっすら腹立ってるからな。色々とキャンプ取材行かせていただいたりとか、矢野監督にインタビューをやらせていただいてお世話になってます。小さい時から阪神ファンで球団にありがとうしかない。でも、この件に関しては俺うっすら腹立ってるからな。
てつじ 小籔さんが腹立ってるようですが、どうでしょうか?
鳥谷 まあ、ありがたいです(笑)
小籔 僕と同じ感覚の人は多いと思います。
報道の真偽
てつじ 今、オファーを待ってるじゃないですか。
鳥谷 はい。
てつじ 「こういう条件で」っていうのは出してるんですか?
鳥谷 いや、条件とかはなく本当に普通に勝負させてくれるチームがあればという感じですけど。
てつじ 「ショートで」とかは?
鳥谷 いや、全然ないです。「ポジションはここで」というのは言える立場じゃないので。
小籔 もうだいぶんお安く見積もってもいいんですか?
鳥谷 それはもう全然偉そうに言える立場じゃないんで。
小籔 ネットニュースでは代理人がえらい高く吹っ掛けてるからオファーがないみたいな。あれはウソですか?
鳥谷 ウソだと思いますね(笑)
小籔 うん。だからネットニュースに惑わされないでくださいよ。鳥谷さんは阪神で死ぬほどお金を貰いましたので、現在こだわっているのはお金ではございません。出場機会です。
フリーの状況でのモチベーション
本田 今はどんなトレーニングをされているんですか?
鳥谷 家の近所を走ったり。
小籔 えぇ!そうなん!あんま家の近所を走るタイプやと思てへんかったもんな。
鳥谷 家のすぐ横が坂だったりするんで、そこでダッシュしたり。朝、子供とランニングしあり。
小籔 へぇー。
てつじ やっぱり現役にこだわりたいですね。
鳥谷 まあ当然、体が動かなくなれば出来ないので辞めるという選択肢はあるんですけど、まだ体が元気なので。当然、元気なうちはやりたい思いはありますね。
小籔 でも、モチベーションを保つって本当に大変じゃないですか?
鳥谷 まあプロ野球選手になった時から、いつ終わりが来るか分からない。明日終わりが来るかもしれないとか、そういう思いで毎日やってるんで、その終わりが来る瞬間を少しでも悔いを残さないようにするためには終わりを意識して毎日生活しています。
小籔 「明日終わるかもしれないと思う」というのは天台宗の大阿闍梨(だいあじゃり)と同じ事を言うてますね。
一同 (笑)
小籔 将来的に阪神の監督のオファーが来たらどうなんですか?
鳥谷 いや、監督・・・。今、現時点では監督とかコーチとか、阪神が、というのは関係なしにあんまりそこを目指してやってきてないので。また実際にその時が来てみないと分からないですけど。今はどうしたいとか、どうするかなっていう感じはないですね。
小籔 なるほど。色々あるでしょう。もしかしたらタレントなりたいとか、バラエティに出たいとかあるかもしれません。でも、『鳥谷阪神』という文字をスポーツ新聞で見たいわな。
阪神16年間で印象に残ったこと
てつじ 鳥谷さんの阪神16年で一番のベストプレー、一番ぶるっとしたプレーは?
鳥谷 当然2000本安打も自分の中で思い出の一打なんですけど、やっぱりプロ初ヒットというのがプロ野球人生が始まったなっていう瞬間だったので。(※鳥谷のプロ初ヒットは2004年4月2日の開幕戦、巨人との試合で前田幸長からレフト前ヒット)
てつじ 感触とかは覚えているんですか?
鳥谷 最終打席でヒットを打てたんですけど、なんかそのバットに当たる感覚というか、それを今もなんとなく覚えてますね。
小籔 やっぱりそういうのがあるんですね。
てつじ 阪神16年間でチームメイトで一番印象に残った事はあったりします?
鳥谷 野球に関してだとやっぱりマートン。ビジターの時はいつもバスの席が隣なんですけど、当然試合後も隣で。
小籔 うんうん。
鳥谷 寝ててパッと横を見たら、ペットボトルを持って野球の動作をしてて。あっ、こんなに野球と向き合う奴っているんだなっていうのが。今までで「こいつ凄いな」って思いましたね。
小籔 へぇー。鳥谷が真面目やなと思ったマートンてエグない?(笑)
てつじ 真面目の人から見てまだ上の真面目がおるんやと(笑)
後輩に伝えたいこと
小籔 阪神の後輩たちに伝えたいことはありますか?退団した今やからこそ言えるみたいな。
鳥谷 まあ自分がそれぞれ持ってる個性とか強みというのがそれぞれあると思いますし、当然阪神にいるとそこを周りの報道であったりとか、色んな違った意味でブレる時があるので。そこで最後まで自分を信じて頑張ってやっていく選手が阪神というチームでは残っていくと思うので。自分というのをしっかり持ってやってくれたらなと思いますね。
小籔 まあ勝手な予想ですけど、特に藤浪さん大山さんに向けて仰ってるように聞こえましたよね。
鳥谷 藤浪という選手は阪神の宝でもありますけど、当然日本球界の宝でもあるので。
小籔 はい。
鳥谷 そういう自信を持ってやってほしいなと思いますね。
鳥谷と掛布
掛布 去年(2018年)のオフに食事をした時に僕も鳥谷もワインを多少飲みますので、家にあるワインを何本か持って来たんですけど、鳥谷が「僕は今お酒をやめています」と。「来年に向けての準備をしていますので今、開幕しても大丈夫な状態で体は出来てます」と。確かに凄い体をしてました。それで「絶対に勝負に負けません ショートで勝負します」と力強く言った鳥谷のあの顔は忘れられませんね。皆さんが見てるのは、鳥谷の氷山の一角のキレイな部分だけだと思うんですよ。僕は氷山の下のドロドロゴツゴツしたような鳥谷を見ていますので、決してスマートな野球をやっていた男ではなくて、実は泥臭い男ですよと言ってあげたいですね。
―2016年7月24日で連続フルイニング出場が途切れた時
掛布 ここからの話は誰にも話したことはありません。鳥谷がタテジマのユニフォームを脱いだから話せるかもしれませんね。1人の阪神のOBとして2軍監督(当時)としてではなくて、鳥谷の野球が非常に心配だったですから、ちょっと甲子園の室内練習場の上の部屋で色々と鳥谷と話をして。「苦しい時に鳥谷自身の気持ちを切ってしまったら鳥谷の背中を見た若い選手たちも気持ちが切れてしまうから、苦しいかもしれないけど気持ちを切らずにやらなければいけない準備は続けてもらいたい」と。自分の気持ちを切るな、ということですよね。それを最後までやり続けた彼の野球というのは、阪神タイガースにとって大きな財産だと思うので。来年(2020年)のキャンプがスタートした時に球団として、阪神タイガースとして、ポッカリ穴が空いてしまうんじゃないのかなと。スゴく心配をしてますね。
―鳥谷に聞きたいこと
掛布 またゆっくりと阪神での野球を語り合いたいねと。ちょっと愚痴を聞いてみたいなと思います(笑)
小籔 鳥谷さんにとって掛布さんはどういった存在ですか?
鳥谷 やっぱりプロに入って一番苦しい時に助けてもらった存在ですね。
小籔 掛布さんが禁酒の話をしていましたけど、自分を更にステップアップするためにお酒をやめてみようということですか?
鳥谷 そうですね。やっぱりショートというポジションを考えて、年齢のことも考えて、何か自分に制限をかけないとやっぱり勝負出来ないっていう。それぐらい難しいポジションというのは自分は守っていて分かっていた事なので。それぐらいの覚悟を持ってキャンプに臨んでいかないといけないなという思いでやりましたけどね。
小籔 割とお酒はお好きな方なんですよね?
鳥谷 飲むときは飲むんですけど、実際やめてみたら全然平気だったので。
てつじ 掛布さんが仰ってましたけど連続フルイニング出場記録が止まってのお話は。
鳥谷 記録が止まってすぐ甲子園に行った時に呼ばれてというか、声をかえてもらって。「自分のこともそうだけど、チームのことも考えて今まで通りしっかりやれ」という話をしてもらいましたけどね。
小籔 ただ出れんようになったのがイヤやったのか、記録が途絶えたことがイヤやったのか。
鳥谷 記録が途絶えてしまったんだなっていうよりは、試合に出れないんだなと。
小籔 はい。
鳥谷 今まで骨折したり怪我した中でそのまま出てたので身体が元気な時に出れないという悔しさというのはスゴいありました。ベンチで試合を見てて「あぁ、ここから野球人生は変わっていくんだな」とは思いました。
小籔 出たり出なかったりした選手じゃないから、あれは人生の中でひとつの大きな事件というか節目というか。
鳥谷 そうですね。やっぱりずっと出てるということが自分の安心でもあったし、プロ野球で生きていくひとつの手段ではあったので、それを失うということは出れなければ他の選手が出ることになるので、選択肢を相手に与えてしまったという怖さを感じてましたね。
関西という土地柄と阪神との関係
阪神ファンが嫌い?→×
質問2
関西の生活に馴染めた?→×
質問3
阪神16年間で悔し泣きしたことはある?→×
質問4
阪神16年間で後悔はないか?→○
質問5
いつか阪神に戻ってくる?→○
小藪 関西に馴染めたという質問はどうなんですか。やっぱり関東育ちとしては。
鳥谷 関東・・・の方が楽ですね(笑)
一同 (笑)
小藪 どういうところが違いますか?
鳥谷 たくさん人と接したいという方ではないので(苦笑)
一同 (笑)
小藪 かまってくる。ワァーと寄ってくるというのが(笑)
鳥谷 そうですね。
小藪 いつか阪神に戻って来てくれるのかという質問については。
鳥谷 当然、自分が決めれることじゃないので。まあその時のタイミングというか、そういう声をかけてもらえたら嬉しいと思いますけど。
小藪 だから「オファーがあってもあっこは腹立つから二度と戻らん」ということはないんですね?
鳥谷 それはないです。
市川海〇蔵との因縁
小藪 風の噂でね、赤星さんと鳥谷さんが飲みに行ってはったと。そうしたらちょっとイキのええムキムキの有名人が寄って来て。
てつじ それ聞いたことある。
小藪 それで赤星さんに「おう!」みたいな感じで酔って絡んできて。「野球選手やろ?腕相撲しようや」と。ムキムキが赤星さんに言うた時に横におった鳥谷さんが「先輩ボクがいきますわ」と言って、相手のムキムキを腕相撲でバーンっとやって勝ったっていうのを風の噂で聞きました。
てつじ 僕もそれを聞きました。
小藪 それは〇か×かどっちですか?
鳥谷 途中までは合ってます。
小藪 えぇ。あぁ、そうですか。
鳥谷 でも、最後は腕相撲やってないです。
小藪 あっ、そうなんや。
てつじ 「ボクが腕相撲します」まではいったんですか?
鳥谷 そうです。先輩の赤星さんが負けれる状況じゃなかったので。自分が負ける分には問題ないと思ったので「自分がいきます」って感じで言って、結局周りの人たちに止められて。
小藪 あぁ。
鳥谷 どっちが勝っても負けてもややこしくなるということでそこで止められて終わりました。
小藪 なるほど。そうか。僕らのところに聞こえてくる噂はバーンっとやっつけたみたいな話で。「さすが鳥谷やな!」って言うてた。
甲子園のショート
てつじ 鳥谷さんは土のグラウンドでやってたのにエラーがめちゃくちゃ少ないじゃないですか。鳥谷さんの前でイレギュラーしないっていう噂が一部のファンの間で囁かれていたんですけど。
鳥谷 ピッチャーが投げる毎に足場をならしてます。ピッチャーが投げる前の間隔でちょっと気になるところはならしてます。
小藪 1球1球?
鳥谷 はい。気になる所があったらちょっと行ってならして戻るというのをずっとやってました。
嫌いな先輩はいたのか
小藪 あんまり良い質問じゃないかも分かりませんけど、誰かに対して「なんじゃこいつ!ほんま!どつきまわしたろか!」って思ったことありますか?(笑)
鳥谷 いっぱいあります。
小藪 いっぱいありますか。
鳥谷 はい。
小藪 やっぱ「なんじゃこいつ!」ってなった時とかはお酒飲んだりしてたんですか?
鳥谷 飲んでましたね。先輩に何かを言われたりしたら、その時はふざけんなと思いますけど、でも言われるのは僕の立場だからしょうがない。イヤらしい話ですけど給料を超えれば自分の勝ちだと思っていたので。
小藪 うんうん。
鳥谷 だから若い時は全然何を言われても超えていけばいいと。
小藪 野球で見返して。
鳥谷 はい。そういう風に考えてましたね。
タイガースファンに向けて
小藪 改めて阪神ファンの方にメッセージをお願いします。
鳥谷 16年間、本当にいい時も悪い時もたくさんの声援を貰って、その声援のおかげで苦しい時も頑張れましたし。最後の3年間は自分の立場を失い、その中でグラウンドに立った時の皆さんの声援というのはスゴい力になって本当に感謝しています。今後、自分はどういう風になるかは分からないですけど、また皆さんに応援してもらえるような立場であったりとか、色んな経験をしてまた皆さんの前に立てたらなと思ってます。16年間ありがとうございました。
以上です。