2018年5月25日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」で昨年、席巻しホームランを量産したフライボール革命についてMLB公式アナリストのマイク・ペトリエーロ(以下ペト)さんが2018年5月の段階でどういう対策をされているのかそのトレンドを分析しています。後半に小宮山悟とフリーアナウンサーの平原沖恵がこの分析について色々と語り合っています。

 

ペトリエーロさんは2017年の段階でフライボール対策をこう語っていました

ペト ここ数年、カーブの割合が増えています。これからもって増えるでしょう。ストレートがストライクゾーンに来ると分かれば打者はタイミングが合わせやすいです。しかし、カーブはそう簡単にタイミングを合わせることが出来ません。

 

 

2018年MLBデビューをした投手大谷はカーブの投球割合を4月2.9%から5月10.9%まで増やしています この事についてペトリエーロさんの見解

ペト 大谷のカーブはとても興味深い。剛速球を投げる一方で遅いカーブを投げる。こんなタイプの投手はほとんどいません。(大谷の平均球速はフォーシームが156.1キロでカーブが119.8キロ)

 

 

フライボール対策に有効だと分析されていたカーブ、そして今シーズンは新たな対策が加わったとペトリエーロさんは語ります

ペト カーブの割合は2016年が9%。2017年は10%以上でした。今年はもっと増えると予想しましたが1%減少しました。その代わり高めのフォーシームが増えています。フライボールを打つためのアッパースイングが高めを打ちづらくさせているのです。アストロズのゲリット・コールはここ数年不振が続いていました。

 

ゲリット・コールのここ2年の成績

2016年 防御率3.88

2017年 防御率4.26

 

ペト 彼はシンカーなど低めを打たせるタイプの投手でした。しかし、最近の打者は低めを積極的に打ちにくるようになったんです。そこで、今シーズンは高めのフォーシームを多く投げるようになりました。

 

 

2018年5月25日現在のゲリット・コールは奪三振率がリーグトップの13.4で2017年の8.7から大幅に増加している。更に高めのフォーシームを投げる割合が50.9%で2017年の32.7%から大幅に増加 (データスタジアム調べ)し三振を重ねている。そして、同じアストロズ所属のバーランダー(以下バー)はこう語る。

バー アストロズに移籍してからツーシームを減らしてフォーシームを増やすように指導されました。

 

 

バーランダーはMLB先発投手の中でフォーシームの平均回転数が2612回転/分とMLBでナンバーワン。その最強のフォーシームを駆使して2018年5月25日現在の防御率が1.08と驚異的な数値。

ペト 投手の打者の駆け引きはこうやって常に変化しています。

 

 

【ここからスタジオに戻り小宮山と平原アナが語ります】

アナ ペトリエーロさんが話すフライボール対策は高めのフォーシームということでした。小宮山さんはどうお考えですか?

 

小宮山 もちろん、最近のバッターが、投げる側が低めにボールを集めようとするので、そのボールを打つために低めを打つことに慣れていると思うんですよ。

 

アナ はい。

 

小宮山 特にトラウト。僕の知る限りでは1番低めを打つのが上手いバッターです。誰も打てないような高さ、膝より下なんじゃないのっていう高さのボールでも逆方向にホームランを打っちゃうわけです。

 

アナ うーん。

 

 

小宮山 それで、1番窮屈そうになるインサイドの球も難なく打つ。本当にすくい上げるような感じでキレイにスタンドまで運ぶんですよ。この低めを打つのが上手い選手なんで。

 

アナ はい。

 

小宮山 逆に高めはどうなんだってなると、ちょっと伸びあがったようなスイングになったりするんで、どうしても思うようなバッティングが出来ないのかなと。なので、ペトリエーロさんが「高めが」ということを言っていて、なるほどなと思いますね。

 

アナ では、小宮山さん、今週の分析結果をお願いします。(定期的にやっているコーナー)

 

小宮山 『野球は「永遠のいたちごっこ」だから長年愛される』

 

アナ うーん。

 

小宮山 僕らはこれがいいよと言われた事をとにかく一生懸命やるんですよ。それで結果が出るとシメシメと思いますね。

 

アナ はい。

 

小宮山 そうなってくると、相手はその対抗策を練ってきて「あれあれ?前まで使えてことがダメになっているな」ということが多々ある。それの繰り返しなんで見ていてもう飽きないんです。

 

アナ そうですよねぇ。

 

小宮山 こないだダメだったのに今日は打てるみたいなことも含めて、本当に野球って面白いなって常々思いますね。

 

アナ 正解がないからこそですよね。

 

小宮山 はい。

 

 

以上です。

フライボールはボールの下にバットを入れることを考えているみたいですから低めへの意識が強くなる。そこで高めで勝負することによって相手の裏をかくという、いたちごっこが延々と続くような感じになっていますね。

おすすめの記事