2018年6月8日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」でアナハイムエンゼルス打者大谷翔平は『どうして左打者を打てないのか』についてメジャーで活躍した小宮山悟がフリーアナウンサーの平原沖恵と共に深く分析しています。

 

2018年6月8日時点で打者大谷の対左投手の打率 .143

 

小宮山 一生懸命考えて参りました。

 

アナ よろしくお願いします(笑)

 

小宮山 はい。

 

アナ 大谷選手が右投手と左投手にどんな打球を飛ばしているのかをデータで見ていきたいと思います。こちらの数字なんですが。

打球の初速角度
対右投手152.5キロ12度
対左投手144.1キロ-6度

 

アナ 対右投手に比べて対左投手は打球速度が遅くなっていますし、角度もマイナスなので下方向に打っているような感じですよね。

 

小宮山 ゴロになっていますね。これ、まず右投手の時の打球の初速はヤンキースのジャッジに匹敵するぐらいの凄さなんです。

 

アナ うむ。

 

小宮山 それで、一方の左投手になると打球の初速が遅くなり、尚且つ角度がマイナスでゴロ凡打になっている。これは何でかというと、8割近くのゴロ打球の原因が恐らく沈む系のボールに対応できていないんだろうという見立てです。

 

アナ うーん。では、左投手から何故打てていないのかを配球図で解説して頂きます。(※当サイトでは図がありませんが文字だけで理解してみてください)

 

小宮山 はい。

 

アナ これは投手目線からの配球図ですが、右投手と左投手の全投球の配球の分布図です。

 

小宮山 はい。右投手はアウトコース中心で投げ込んでいるのが分かります。左投手も同様にアウトコース中心でちょっとだけ真ん中寄りの配球が多めです。

 

アナ では、大谷選手がスイングした割合も比較します。(これも分布図で当サイトでは表示できません)

 

小宮山 はい。これ大事です。右投手の場合はストライクゾーンのほぼほぼ真ん中を中心に振っていて甘めでタイミングが合っていたらガッツリ振っている感じになっています。

 

アナ はい。

 

 

小宮山 ところが、左投手が登板した時はインサイドの高め、もしくは厳しめのコースを振ってしまっているという感じになっています。

 

アナ これは何故ですか?

 

小宮山 理由としては左打者が左投手を苦手にしているとよく言われるのは、打席の中でボールをよく見ようとし過ぎてついつい肩が開いてしまうということが言えると思うんです。

 

アナ はい。

 

【小宮山がカメラに体を向けてバットを持って解説を始める】

小宮山 左打者で右投手が相手の場合、三塁側からこちらにボールが来る軌道になるので、構えたところからトップまで普通に持ってきます。ところが、左投手の場合は自分の背中の方からボールが来るようなイメージになるので、トップの位置を作りたくてもボールを見ようと思えば思うほど、ついつい顔がボールに対して正面を向くことによって肩が開いてしまう。それによってトップの作りが浅いのでスイングスピードにも違いが出て打球速度が遅くなるんだろうという見立てです。

 

アナ はい。

 

小宮山 更に言うと、要は体の方に来たボールに対応して左投手の近づいてくるツーシーム系のボールですね。そのボールに対して沈みこむボールを打たされていることによってゴロになる。更に言うと、体が外に流れるので逃げていくボールに対してはバットがボールに当たることなく空振りすることが多くなるっていう、そういう事なんだと思います。

 

アナ これは修正するのは難しいんですか?

 

小宮山 もちろん、簡単に修正するのは出来ないと思うんですけども、体に近いボールが来た時にどうしても怖さが残るんですよ。

 

【TEX戦の左投手の対ハメルズとの対戦映像を見ながら】

小宮山 このハメルズと対戦を見てもらいたいんですけど、ハメルズというピッチャーはMLBでもスペシャルな左投手なんですね。

 

アナ はい。

 

小宮山 インサイドにツーシームを投げた時に大谷が球種が判断できなくて真っ直ぐが来たと思ったら変化して体に近づいてくる。

 

アナ はい。

 

小宮山 次はその打席の最後に同じようなボールに見えて腰を引いて打ちにいったらスライダーで及び腰で空振り三振してしまったシーンなんですけども、そういうピッチャーの球を初めて見て対応するのって絶対に無理だと思うので。

 

アナ うんうん。

 

小宮山 ただ、慣れたら絶対に大丈夫だと思うんです。というのは、大谷がそういう能力に長けていると思うので。

 

日本時代の対左投手の打率

2013~2014 .212

2015~2017 .347

 

 

それで、日本時代の数字を見てもらうと分かるんですけども、入団して2年間はほとんど打てなかったんです。2割そこそこですから。ところが、3年目以降である程度、相手の投手を理解した上でどんな配球パターンとかを読んだ上で3割4分7厘という数字を残しているわけですよ。

 

アナ はい。

 

小宮山 それで、左投手が苦手どころか、却って得意と言えるような打撃成績になっていますので。

 

アナ これは適応能力が高いですよね。

 

小宮山 だと思います。

 

アナ はい。ということで今週の分析結果をお願いします。(※小宮山が最後にビシっと締めるコーナー)

 

小宮山 『まあ、見とけ じきに大谷は左を打つ』

 

アナ はい(笑)

 

小宮山 もう慣れさえすれば大丈夫だと思います。要は相手のピッチャーの顔と名前が一致しなくて、どんな球を投げるんだろうと思いながら打席に立ったら、そら怖いですよ。抜けてきてデッドボールもあるわけですから。ただ、ある程度分かってくれば必ず堪えて開かないでしっかりとした打撃になると思うんです。

 

アナ うんうん。

 

小宮山 更に対左投手の数字のトリック。打率が1割4分3厘で打てません。15打席ノーヒットですけど、実際はセンター前ヒットでシフトの網に掛かっていたりもするから!

 

アナ はい。

 

小宮山 たまたまセンター前ヒットになる打球を守備陣がああいうシフト敷いているのでアウトになっただけなんです。

 

アナ はい。

 

小宮山 バットの芯で捉えているということがけっこうあるので、アウトにはなっているものの打席の中の勝負でいったら勝っている事もあるので、そんなに心配してくれるなという事なんです。

 

アナ 不振ではないぞということですね。

 

小宮山 絶対に大谷は打つ。

 

アナ 慣れれば大丈夫と。

 

小宮山 大丈夫だと思います。

 

 

以上です。

まあ、先日も似たようなことを言っていたんですけど今回はより深く語っていました。慣れたらやってくれるのが大谷ですね。

2018年5月にも左打者対策について語っています

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