2016年10月に放送された「スポーツ酒場 語り亭」で里崎智也が日本シリーズの鉄則を共演している古田敦也と番組MCのミッツ・マングローブと共に語っています。

 

ミッツ 里崎さんの日本シリーズの鉄則をお願いします。

 

フリップを出す

『感性を研ぎ澄ませ!!』

 

 

里崎 感性を研ぎ澄ませ。データももちろん重要で1球1球大事なんですけど、その中でも自分が感じることってもっと大事だと思うんですよ。

 

ミッツ はい。

 

里崎 今のイチローさんの1打席目の振り子が小さいというのもデータ重視だとずっとインコース攻めになるじゃないですか。だから、そこの中でバッターのちょっとの動きでも感じて、感性でデータを無視してでもやることが僕は重要だと思います。

 

イチローの話についてはこちら

 

ミッツ そうするとキャッチャーの一人相撲になっちゃうような。

 

里崎 その可能性もありますけども、自分の中では納得いくんで。

 

ミッツ あぁぁ、はい。

 

里崎 だから、宮本慎也さんによく言われていたんですけど、「サトのリードは怖い」って。

 

ミッツ ハハ(笑)

 

ここでVTRに入る

2010年の日本シリーズ、3位から日本一となり史上最大の下克上と言われたロッテ。第1戦では先発の成瀬は本調子ではなく、序盤に一番の武器であるスライダーをホームランにされたことを切っ掛けに3回からスライダーを捨てて、この日好調のストレートとチェンジアップで配球を組み立てる。このことによって成瀬は蘇り3回以降は無失点に抑えて勝利する。そして1勝1敗で迎えた第3戦、先発は渡辺俊介。ロッテ4点リードの7回にバッター和田一浩の場面でスローカーブを5球続けて三振に切って取るなどをして勝利。里崎のリードが日本シリーズの流れを大きく引き寄せる。

 

 

 

ミッツ これが感性のリード。

 

里崎 はい。これはいけると思いましたね。

 

ミッツ 和田選手に対する5球連続のスローカーブは素人から見ても大胆だなと思いました。

 

里崎 面白くないですか?

 

ミッツ 面白いです(笑)

 

里崎 あとは、『里崎はこんな変わったリードもするんだ』ということを相手ベンチにも見せたかったんですよ。まだシリーズは続きますから。こんなことは普通やらないですよ。『そんなこともあいつはやりよるぞ』というのを見せたかったですね。

 

ミッツ シリーズの序盤に読めないりーどをする男だと思わせたいと。

 

里崎 そうですね。色んな状況もありましたし、やりやすい環境でもあったんで、ここは思い切ってやれるなと。

 

ミッツ やりやすい環境というのは?

 

里崎 僕の中ではあんまりなんですけど、そういうところが周りから怖いと言われるところなんでしょうね。ちょっと価値観がズレてるのかもしれませんね。

 

ミッツ ハハハ(笑) 良かったですよね。上手く着地できてね。

 

里崎 そうですね。それで一番僕がビックリしたのは、試合が終わった後に映像のビデオを見返したら、その時の解説がちょうど古田さんだったんですよ。

 

ミッツ はい。

 

 

里崎 そしたら、3球目ぐらいから古田さんが「これ最後までカーブいきますね」って言ってたんですよ。

 

ミッツ えっ、分かったんですか!?

 

古田 まあ・・・けっこう一流の解説者って言われてるんでぇ・・・。

 

ミッツ ハハハ(笑)

 

古田 キャッチャーの考えてることが分かりますよね。

 

里崎 僕の中ではかなり奇策で、あんなのあり得ないんですけどね。

 

ミッツ もう感性じゃないんじゃいですか? 人に読み取られるということは。

 

里崎 いやぁ・・・。

 

古田 それは僕には分かりますよ。キャッチャーやってますし、やれるとしたらこのチャンスしかないんで、里崎ならやるだろうなっていう。

 

ミッツ 『その感性にかけた時のキャッチャーの心理すら読み取ってしまう、凄い僕』みたいな?(笑)

 

古田 いやいや(笑) ご本人も言ってますけど、点差もあるし、相手にも変わったリードというのを見せたいし。あと和田を抑えるには渡辺俊介でカーブばっかりでしたけど、あれが甘くなってしまうのが一番怖いんです。

 

里崎 そうですね。

 

古田 これはキャッチャーをやっていたら共通の考えだと思うんですけど、あれが甘くなってガツンっと打たれるイメージが湧くんですけど、所謂シンカー(渡辺俊介の持ち球)という球はあまり打たれないんですけど、狙われたら怖いんで、大事なところではできるだけカーブを見せたいなというのがあるんで、ここは全部カーブでいくんじゃないかなと。

 

ミッツ 大博打でしょ。

 

古田 やるかどうかは分からないですけど、僕もやりたいなと思う局面なんで、里崎ならやるだろうなと。

 

ミッツ 仮に打たれたら心がボキっと折れちゃう。

 

里崎 打たれてもいいんです。

 

ミッツ いいんですか?

 

古田 いいんですよ。

 

 

ミッツ また新たな感性をかぶせていくという。

 

里崎 そうです。もし打たれたら、次の打席で同じ状況だったら同じことをやります。

 

ミッツ えぇ!? 怒られそうなんだけど、怖いよね(笑)

 

古田 キャッチャーっていうのはちょっと感性が違うんですけど、勝負事をずっとやってますからね。キャッチャーの考えていることが分かるんですよ。『ここでこういうことをやりたいだろうな』って。やるかどうかは分からないんですけど。だから、ある程度まできている人はやるんですよ。

 

ここから初戦の成瀬の話

 

ミッツ それとピッチャーの決め球というものを封印させちゃうっていうのも、あれも感性?

 

里崎 まあ、その可能性もありますよね。やっぱりスライダーが打たれちゃったんで、今日はあまりよろしくないなと。

 

ミッツ うーん。

 

里崎 しかも、ホームランを打った谷繁さんはそんなに一発があるタイプじゃないのに一発で仕留められたんで。これはもう思い切ってやめようと。

 

ミッツ なるほど。

 

里崎 スライダーがなくても抑えらえるだろうっていう、感覚ですね。

 

ミッツ ピッチャーも決め球を打たれて心が折れそうになるのを立ち直らせるのもキャッチャーの役目。

 

里崎 あと違う球種でもいい球を投げていたんで、思い切ってシフトチェンジしてもいいかっていう。

 

ミッツ うん。

 

里崎 しかも、相手にとったら、成瀬の一番いいところは相手も知っているわけですから。思い切って逆のことをやれば相手が戸惑うんじゃないかなという発想もありますね。

 

 

以上です。

色々と逆張りが好きな里崎ですね。

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