2018年12月にBS1で放送された『球辞苑』でメジャーリーグについて詳しすぎるAKI猪瀬がメジャーにおけるカットボールについて語っています。

 



―まずカットボールについて

猪瀬 数ある変化球の中でも、比較的新しい球種とカットボールは言われています。というのは、カッターとかカットボールの名称が確立されたのは2000年以降なので。

 

―2000年以前のカットボール

猪瀬 実はカットボールという球種はその名称がつく2000年以前にも投げるピッチャーはたくさんいました。ただ、60年70年80年90年当時は若干小さなスライダーや真っスラとか、ちょっと曲がるくせ球みたいなカテゴリーに入っていたので、球種の名前というのは一切存在しませんでした。ただ、90年代の後半に皆さんもご存知のようにメジャー史上最多セーブ(652セーブ)を記録したマリアノ・リベラというヤンキースのクローザーがこのカットボールを武器に一時代を築きました。このリベラの出現から「あのボールはなんだ?」ということで『カットボール』『カッター』という名称が確立していった歴史になっています。

 

―リベラのカットボール誕生エピソード

猪瀬 実はマリアノ・リベラの代名詞であるカットボールは偶然の産物と言われています。まだリベラがブレイクする前にブルペンピッチャーで仲の良かったメンドーサというピッチャーと試合前に普通にキャッチボールしていました。それでメンドーサがリベラの投げるボールが常に横滑りするようボールばかりで捕ると手が痛いので「マリアノ、順回転のストレートを投げてくれ!」とメンドーサが怒ったところリベラが「僕は普通のフォーシームを投げているだけなんだよ!」と。それに対してメンドーサが「そんなことはない。お前のボールは全球曲がっているぞ!」と。「いやいや違う。僕はストレートを投げているんだ!」という押し問答があって、結果これが『カッター』ということになって、このボールをブラッシュアップしていくと、恐らく決め球になるかもしれないということで、マリアノ・リベラというピッチャーは自分の最大の特徴。そして持ち球にしていったという歴史があります。

 

―カッターとしてのリベラ

猪瀬 史上最も偉大なワンピッチピッチャーと言われていました。このワンピッチというのは、1つの球種しか投げないピッチャーであるという表現なんですが、これ全盛期には恐らく10球投げたら10球カットボールだろうと言われていたまさにメジャー史上最大にして最高のワンピッチピッチャーだと思います。

 

 

―リベラに続くカットボールの使い手

猪瀬 マリアノ・リベラ同様にクローザーをやっていて、リベラ同様に8割、もしくは9割近く全投球にカットボールを占めるドジャースの抑えケンリー・ジャンセン。彼がまずカットボールの使い手として今ナンバーワンだと思います。

 

ケンリー・ジャンセン
150キロを超えるカットボールはホップしながらバッターの手元で大きく変化するのが特徴。

 

―注目すべき若きカットボーラー

猪瀬 2018年シーズンにドジャースでデビューを果たして、新人王投票でも3位に入ったビューラーという右のパワーピッチャー。彼のカットボールは非常に曲がり幅も大きくて、次世代のカットポーラーになりうる素質があるピッチャーなので、来季以降にこのビューラーが投げるカットボールに是非注目してほしいと思います。

 

―最後にカットボールを一言で表すと

猪瀬 ミールピッチになる。飯を食うための決め球になる可能性を秘めている球種。ただ、そこまで昇華させるのは非常に難しいという、まさに二面性を持った変化球になると思います。

 

 

以上です。

ミールピッチになるには余程の生まれ持ったものがないと無理でしょうな。

おすすめの記事