2019年5月10日にBS1で放送された『ワースポ×MLB』で2019年シーズンにホームランが増加している理由と極端な守備シフトについてMLB公式アナリストのデビット・アドラーさんが語っています。VTRが終わると岩村明憲がフリーアナウンサーの山本萩子と共にこのことについて一緒に語っています。
もくじ
ホームラン増加の理由
アドラー ここ数年、長打を狙って打ち上げようとしたバッターが増えたので、ピッチャーは高めを使うようになりました。バッターにとって高めのストレートを使うのは難しく、空振りする確率が上がります。最新のテクノロジーによって、バッターにとって回転率の高いストレートは効果的だと分かりました。ホームランを狙うアッパースイングの選手は苦しめられたのです。
MLB 1シーズンの本塁打 | |
2017年 | 6105本 |
2018年 | 5585本 |
アドラー 今シーズン、メジャー全体でバッターが高めのストレートに手を出す割合は45%です。これは計測が始まった2008年以降で最も低い数字です。今はたとえ有効な戦略であっても、それに対抗する方法がすぐに生まれる時代なのです。
守備シフトの対抗策
アドラー 最近は守備シフトがメジャーの新たなトレンドとなっており、内野の守備シフトが敷かれる割合は史上最高の25%です。全打席の25%で守備シフトが敷かれているのです。
アドラー ブラントリーはバットに当てるのが得意な打者です。
HOUブラントリーのコンタクト率 | ||
4月30日時点の数値 | MLB平均 | |
ストライクゾーン | 95% | 83% |
ボールゾーン | 80% | 60% |
アドラー ストライクゾーンの球なら95%の確率でバットを当て、ボールゾーンでも80%当てます。彼のように当てる技術が高ければ広角打法でシフトの逆を突くことができるのです。中軸を打つブレグマンも引っ張った打球が去年より大幅に減っています。
HOUブレグマン 打球方向(%) | ||
引っ張り | 逆方向 | |
2018年 | 45.7 | 19.1 |
2019年 | 32.4 | 24.5 |
アドラー これは明らかに狙って打っている証拠です。アストロズの広角打法が新たな戦略なのかは分析を続ける必要があります。ただ、アストロズは勝つために常に一歩先のことを考えているチームであることは確かです。
スタジオに戻り岩村が見解を語ります
岩村の見解
アナ まず「打者が高めを振らなくなっている」、そしてアストロズが「シフトを破るために広角打法に取り組んでいる」ということでしたが、この二つの変化についていかがでしょうか?
岩村 打てないと分かっているところは打たない。これがバッターの基本だと思うんですね。その基本に戻ったということが今の現象だと思いますね。
アナ なるほど。そこに立ち返ったということですね。
岩村 そうですね。
アナ そしてアストロズのシフト破りについてはいかがでしょうか?
岩村 何がスゴいって、「自分のスイングを見てみろ」というバリバリのメジャーリーガーたちが自分のバッティングを変えて人のいない所に打とうとするという、チームとして勝とうと皆が同じ方向に向いているのが僕はスゴいことだと思うんですね。
アナ それにチームとして取り組んでいるということですよね。
岩村 そうですね。アストロズというチームは今好調ですよね。チーム全員が同じ方向を向いてるからこそのチーム状況がいいんじゃないかなと言えますね。
以上です。