2017年にBS1で放送された『球辞苑』でストレートをテーマにしている回で大谷翔平の160キロを超えるストレートがなぜ当てられるのかを動作解析の専門家の筑波大学 体育系 准教授の川村卓先生が語っています。

 



これは大谷がメジャー挑戦前の2017年の前半に放送されたものです

 

―大谷はスリークォーター

川村 基本的に大谷投手はスリークォーターです。あとは私たちが調べたピッチャーの中で160キロ以上投げているピッチャーはほぼスリークォーター。もしくはサイドスローに近い選手が多い。腕を速く振ろうとすればするほど、高い位置、要するにオーバースローで投げようとすればするほど、肩の軸に対しての指先までの距離が大きくなってしまう。距離が大きくなるということは腕が速く振れなくなります。それが肩の軸に近いところ、要するにサイド気味で腕が回せれば速い回転のボールを投げられるんですけど、速いピッチャーの多くはオーバースローよりもスリークォーターの方が多い。そういうのが大谷選手にも言えるのかなと思います。

 

―スリークォーターはなぜ当てられやすいのか

川村 スリークォーターのピッチャーで、特に大柄なピッチャーになればなるほど、腕を回すときに早くバッターにボールが見えてしまうということがあります。これは何故かというと、オーバースローのピッチャーだと、ホーム側の肩でずっと出所を隠して上から投げるときにボールが出てくるんですが、スリークォーターのピッチャーは早く手が外を回ってくるので、バッターから見るとボールが早く見える。要するに球速を追及すればするほど腕の振りが見やすくなってしまう。その問題点は、ある意味しかたのないことなのかなと私は考えています。

 

―ボールの回転軸について

川村 通常ピッチャーというのは体が横回転しながらボールが出てくるので、どうしてもポールの回転の軸が傾いてしまう。これをホップして見えるピッチャーというのは水平面に近いところに軸があって、本当に真のバックスピンがかかるような投げ方になっていると言われています。例えば藤川球児投手なんかは非常に軸が水平面に近いと言われているんですけど、スリークォーターのピッチャーですとこれが横から出てきますので軸はかなり傾いた状況になってしまっている。

 

―速すぎるボールにも原因がある

川村 160キロ以上になるとホップの威力が出る前にキャッチャーミットに着いてしまって、ホップはしているんですけど、それをバッターが感じられずに終わってしまうと言われています。

 

川村先生によると最もボールがホップして見える球速は約130キロ程度でそれを大きく上回る大谷のストレートはホップする前にキャッチャーに到達する

 

 

―大谷のストレートが当てられないようにするには

川村 軸を水平にしていくためにはどちらかと言えばオーバースローで上からしっかりとボールに回転をかけるように変えていく。そうすることでホップする力が得られるので、そうすると当たりにくい球質になってくると言えると思います。しかし、ボールを見えにくくするフォームは球速を追及する投げ方とは違いますので、打ちにくくなることと、球速を高めることが相反してしまうという状況になる。このあたりをどうしていくのかがこれからの大谷投手の課題なのかなと思います。

 

 

以上です。

球速を上げることを取り組むと失われるものがある。

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