2019年3月24日にTBSで放送された『S☆1』で1995年にヤクルトの監督として戦った野村克也がオリックス・イチローとの戦いについて、引退するイチローについて語っています。
もくじ
イチロー引退について
野村 俺も45歳で引退したんだけど、まあ彼ならもう1年や2年できるんじゃないかという思いがするんだけど。思い出すのは日本シリーズ。オリックスとのね。
それは1995年に行われたオリックスとヤクルトによる日本シリーズ。当時21歳のイチローと60歳の野村克也が対戦した唯一の真剣勝負。この年、阪神淡路大震災から復興を目指すシンボル的存在だったイチロー。首位打者、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率の打者5冠に輝く活躍でチームを初のリーグ優勝に導いた。
イチローをマーク
野村 イチローはチームの中心だからね。打たせるとチームのムードも勢いも出てくるから、なんとかイチローを攻略するという。そういうことでミーティングを終始しましたね。
チームは連日連夜のミーティングでイチローを研究。更に野村監督はスコアラーへ徹底したデータ分析を命じる。
スコアラーへの指令
野村 スコアラーにイチローを分析してくれと頼んだの。そして返ってきた答えが「攻略法は見つかりません」「もう一回行って来い どんなバッターだって長所・短所あるんだから」と。スコアラーが再び帰ってきて答えは「分かりません 打たれるのを覚悟してやってください」って。ということは「俺に負けろっていうことか?」って言って。
野村のイチロー対策
野村 マスコミは必ず俺のところに取材に来て、絶対に「イチロー攻略法は見つかりましたか?」って聞くに決まってるから。
野村が考えたのはマスコミを利用することだった。テレビや新聞を使い心理的に揺さぶりをかける作戦を思いつく。野村は弱点がないイチローに対し内角を攻めると宣言した。
野村 外角中心で打たれるより、内角中心で打たれろという指示を出す。
迎えた本番、野村は捕手・古田に外角攻めを指示する。イチローは内角を意識したスイングで外角の球を打ち返せなかった。試合前は内角攻めを宣言しておぎながら実際は外角中心の配球。この作戦で第4戦まで16打数3安打、打率.187とイチロー封じに成功する。
野村 見逃し方を見ていると内角ばっかりマークしてる。実際は外角を攻めてる。でもそれがバレてね。(第5戦の)神宮でガーンとホームランを打たれた。こらアカンわ。
第5戦はホームランを含む2安打を放ち意地を見せたイチロー。しかし、試合は敗戦しヤクルトの4勝1敗で日本シリーズが終了する。
引退するイチローへ
野村 最高の選手ですよね。お疲れ様でしたということなんだけど、もったいないね。まだやれるでしょ。監督イチローを見てみたいね。どういう発想をするか。
以上です。
若い頃のイチローが老獪なノムさんにやられた日本シリーズ。