2021年2月6日にスカイAで放送された『猛虎キャンプリポート2021』で阪神のドラフト1位ルーキーの佐藤輝明について岡田彰布が朝日テレビアナウンサーの高野純一と共に語っています。
もくじ
まずは梅野にキレる
アナ 今日、岡田さんが始めてキャンプの現場に来られて第一声が「おーん 佐藤ええよ」と。
岡田 うん。しかし・・・他のチームのスコアラーとかが見に来るじゃないですか。今年の注目はやっぱり佐藤ですよね。
アナ そうですね。
岡田 そういう時に2月4日の紅白戦で(キャッチャーをしていた)梅野もいきなりインハイ構えたらアカンわね、おーん。佐藤の弱点のインハイを構えて速い球投げさせて、何で他のチームのスコアラーに教えんのかなと思ってね。
アナ はい。
岡田 阪神の正捕手がね。打たせたれよと思うんだよね(笑) おーん。そう思わん?
アナ なるほど。
岡田 だって相手チームが佐藤の弱点を探すのにインハイを構えるのは分かるよ。
アナ はい。
岡田 何でチームメイトがインハイ構えるんだろうね。それは敵のスコアラーからしたら「あっ、ちょっと試してくれてるわ」って。
アナ なるほど。
岡田 敵からしたらラッキーじゃないですか。そういう事が分かれへんのかなと思うね、おーん。
アナ ちなみにインハイは苦手そうなんですか?
岡田 今の打ち方だと一番打てないのはインハイでしょ。
アナ あぁ。何にしても他球団のスコアラーからしたら投げてほしいところなんですね。
岡田 そうそう。
佐藤の打撃能力について
アナ スイングの特徴についてはどうなんでしょうか?
岡田 まあ、190センチ近い身長があるよね。
アナ はい。
岡田 やっぱりずっとグリップをあんなに高く構えてたんかなあ。選手に指導する時はやっぱり「肩の位置から打て」と。グリップが肩の位置にある時が一番強くスイングできるんよね。
アナ へぇー。
岡田 強く振れる。だからボクシングで言うと右ストレートですよ。
アナ 肩の高さから前に突き出しますもんね。
岡田 うん。ボクシングでは頭の位置からパンチを出さないじゃないですか。
アナ はい。
岡田 おーん。まあ、身長があるからね。今の時代だと柳田とかも高く構えてるよね。高く構えるとインパクトまでの距離ができ過ぎてしまうからね。低めなんかは特にそうなるじゃないですか。
アナ ほぉー。
岡田 最初に高く構えてて、打てなくなってグリップをちょっと肩の位置まで落としたのが(元巨人、横浜の)駒田ですよ。駒田も190センチぐらいの身長があって一緒でしょ。
アナ はい。
岡田 駒田も最初はグリップがスゴく上やったんですよ。それで打てなくてね。まあ、最初の打席で満塁ホームランを打ってデビューしたんやけど。でも結局、打てるようになったのはグリップを落としたからなんですよね。
アナ そうなんですねぇ。
岡田 やっぱり高く構えてると打つ時にグリップが下がるでしょ。その下がる時にどうしても体が前に突っ込むんですよね。僕も突っ込む癖があったけど、高く構えると余計に前に突っ込む幅が大きくなるじゃないですか。そういうのがちょっとあるんですよね。
アナ ほぉー。
岡田 佐藤に「グリップを肩の位置にして構えろ」と言ったら佐藤なんかは物足りなく感じるとは思いますよ。
アナ あぁ。
岡田 ずっとその位置で構えてたやろうからね。
アナ はい。
佐藤の起用法
アナ 岡田さんだから聞くんですけど、2004年に岡田さんが監督になった時にその前年度にショートの藤本が3割を打って、そしてその年に鳥谷をドラフト1位で獲得しました。
岡田 うん。
アナ やっぱり育てるために1年目から使って、最終的にはそれなりの成績は残しましたよね。(※鳥谷の1年目は101試合、打率.251、本塁打3、打点17)
岡田 うん。
アナ 佐藤を1年目から使うべきなのか、オープン戦などの結果次第なのか。
岡田 4球団競合して、あれだけ取り合いになった選手は1年目から使わなアカンのと違うの。
アナ そうですよね。
岡田 佐藤を使う使わんというか、そういう問題じゃないと思うよね。
アナ はい。
岡田 もう獲りに行った時点でね。それは使うために獲りに行ったわけでね。そういう話をスカウトも(佐藤に)してないのかな。
アナ 大きな視点でね。
岡田 うん。だから鳥谷を獲得した時も夏以降に俺が1人で(交渉役で?)行って鳥谷と話し合ってたけど、当時の監督の星野さんに「1年目から80試合使うから、それを鳥谷に言うとけ」って言われたよ。(※岡田氏は早稲田OBなので交渉役を任されていたんだと思います)
アナ へぇー。80試合は使うからと。
岡田 おん。でも、その時にもう「自分は監督を辞める」って言うてたけど(笑)
アナ ハハハ(笑)
岡田 あれはおかしいなと思ってた(笑)
アナ おかしいなって(笑) でも結局は岡田さんが監督になってね。
岡田 おーん。だからスカウトもそういう話をしてね。まあ、あの時は自由枠だからね。
アナ そうですね。
岡田 でも、やっぱり佐藤はこれだけ競合するのを分かってて獲得しに行ってるわけだから使うために獲りに行ってると思うよ。入ってからのポジションの話とかは抜きにしてね、おーん。
アナ はい。そういう選手ですよね。
岡田 おーん。
アナ 将来、プロ野球を背負って立つようなね。
岡田 うん。俺なんかは(獲得合戦があったのに)新人の時に使ってもらわんかったら「何で獲ったんや」と余計に思うわ。
アナ そりゃそうですよね(笑) 使ってくれよと。
岡田 やっぱり1年目からあれぐらい打てるのはスゴい事なんよ。
アナ いやぁ、1年目からどれぐらい使うかという事ですよね。
ライトで起用するなら
岡田 佐藤は外野するにしても誰との天秤になるんかな?糸井?
アナ ロハスジュニアをレフトで使うんであれば、センター近本ですから残りの枠は1人だけですよね。
岡田 サンズをマルテとファーストで競わすんかな?
アナ それもまだノックをハッキリと見てないわけですからね。でも両翼のレフトとライトに外国人選手だと守備がちょっと心許ないですからファーストにサンズかマルテなんでしょうね。だからロハスが両翼のどちからで、糸井か佐藤がライトかレフトなんでしょうね。更に高山と陽川で競うと。
岡田 例えばライトのポジションを糸井と佐藤で迷ったらアカンわね。そんなもん論外やんか。
アナ はい・・・。(※シビアな話になってきてアナウンサーのテンションが下がり始めます)
岡田 佐藤を使わなアカンよ。もし糸井と佐藤でどっちを使おうっていうので迷ってるんやったら、それは絶対にアカン事やわね。それは絶対に佐藤を使うよ。
アナ 現状の力が同じぐらいだったら迷わず佐藤だよと。
岡田 おーん。だから相手に対する存在感とか威圧感とか、そんなん抜きやからね。今、自分のチームで1年間、糸井と佐藤を使ったらどっちが打つかなあと考えたら佐藤の方が打つと思うよ。
アナ ほぉ。
岡田 そんなん数字見たら分かるやんか。(※糸井の2020年の成績:86試合、打率.268、本塁打2、打点21)
アナ はい。
岡田 おーん。だって佐藤って30発打とうとしてるバッターでしょ。
アナ はい。本人はそのように言ってます。
岡田 なっ?そやろ?だって糸井は20本もホームラン打ったことないもん。そう考えて、全体的の事を考えて、そこで普通に考えたら佐藤を使うんちゃうん。そやろ?
アナ ・・・。
岡田 それで迷うことはないと思うよな、おーん。だから糸井なんかは別メニューで全体練習から離れて余裕で外国人と調整してるわな。それはライトは糸井ということでスタートするって決まっていたらいいけど。
アナ はい。
岡田 しかし・・・糸井なんかは若手中堅の外野手の練習グループに入って・・・。
アナ よっぽど打ち続けないとライトを勝ち取れないと。
岡田 おーん。俺はそう思うけどな。去年はそんなんやってて福留がアカンかったやんか。
アナ はい・・・。
岡田 そやろ?一昨年は鳥谷が若いグループに入ってキャンプ参加してたけどアカンかったやんか。アカンかったというか使われへんかったやんか。まあ、そういう事やんか。
アナ はい・・・。
岡田 それでどっちを買うかといったら別メニュー調整してるよりも、若手中堅と一緒のグループに入ってる方を買うやろ。
アナ はい。鳥谷選手は2年前に初日からシートノックに入ってましたもんね。
岡田 そうやろ。だからそういうのは見てる人は見てるんよ、おーん。
アナ まあ、あとは高山とか陽川がプロの先輩の意地をね。
岡田 だから俺は『佐藤と高山、どっちを使うかなあ』ぐらいやったら、これは本当に悩むよ。そうでしょ?俺はそう思う。
アナ はい。
岡田 でも、『佐藤と糸井のどっちを使う』で迷ったらアカンと思うね。
アナ はい。
監督の心情を語る
アナ ロハスが開幕に間に合わないとなって、開幕にファーストマルテでレフトサンズというのが想像しやすいですかね。
岡田 うん。こんなことをあんまり言っちゃアカンけど、誰を使うか迷ってる時は「上手いこと、ちょっと軽い怪我してくれへんかなぁ」とかな。
アナ それは言っちゃダメですね・・・(苦笑)
岡田 おーん。ほんま思う時あるんよ(苦笑) 納得して使えるという状況。
アナ そうですよね・・・(苦笑)
岡田 心の中でやで。
アナ はい。心の中で・・・。
岡田 選手起用で迷ってる時の一番の決断の後押しをしてくれるのは争ってる片方の怪我やで。試合に出られへんから『この選手を使う』ってなるからね。
アナ はい。
岡田 心の中では結構そういう時があるよ。『うわぁ 難しいなあ これどっちやろ』っていう時に片方の選手が「足痛いです」ってなったら『よっしゃあ!』ってなる時あるよ。
アナ (苦笑)
岡田 それは本当の心の叫びよ(笑)
アナ やっぱり外から見ててもプロ野球の歴史って、そうやってスタメンを勝ち取っていった若手選手がその後に5年10年とスタメンを張った人がたくさんいますもんね。
岡田 そうよ。
アナ チャンスを掴んでね。
岡田 うん。知り合いの結婚式とかな。
アナ はい(笑) 掛布雅之さんですね。
岡田 うん。だからチャンスは自分で掴めって言うけど、チャンスが転がって来る時もあるよな。それをモノにできるかどうかやな。