2018年9月28日にBS1で放送された「ワールドスポーツMLB」で7年ぶりにポストシーズンに進出するミルウォーキーブルワーズについてメジャーで活躍した小宮山悟がフリーアナウンサーの平原沖恵と共に語る。
アナ 小宮山さん、テーマをお願いします。
小宮山 はい。7年ぶりにポストシーズンに進出を決めたミルウォーキーブルワーズを取り上げます。
アナ はい。(9/28時点で)首位カブスとは僅か1ゲーム差のブルワーズ。こちらの戦力を見ていきましょう。
【2018年ブルワーズの分析】(順位はNLで9月28日時点)
先発防御率7位、リリーフ防御率2位、守備力2位
得点7位、打率7位、本塁打2位、盗塁2位
小宮山 はい。この6角形のグラフでは非常にバランスの取れた形なんですね。
アナ はい。去年と比べてみると。
【2017年ブルワーズの分析】(順位はNL)
先発防御率5位、リリーフ防御率5位、守備力12位
得点10位、打率11位、本塁打1位、盗塁1位
アナ 全然違いますね。
小宮山 2017年は酷いでしょ。
アナ はい(笑)
小宮山 2017年はアンバランスな感じで、2018年は非常にバランスの取れた形になりました。それで特に得点と守備力がいい塩梅になってくれたおかげで、素晴らしい形になっていると。それで新加入の2人が大きく貢献しました。
アナ はい。
【新加入選手】
イェリッチ 打率.321 NL首位打者。今季サイクル安打を2度達成。
L・ケイン 特徴は守備で外野手のキャッチ能力を表すOAAはメジャー4位
小宮山 2017年に弱点だった得点と守備力を見事に補強できているんですけど、イェリッチに関しては、もしブルワーズがリーグ優勝をするようなことがあったら間違いなくMVPという声が聞かれるぐらいの大活躍です。
アナ はい。そしてリリーフの防御率も2位となっていますけど、これはけっこうな武器ですよね。
小宮山 こちらもヘイダー(防御率2.28)という投手がまた素晴らしい活躍をしています。見た目は華奢な感じに見えますけども、サウスポーで速いボールを武器に右バッターでも関係なくバッタバッタと打ち取るということで、素晴らしいピッチングを繰り広げています。
アナ はい。
小宮山 それで若さがあるからかもしれないですけど、イニングをまたいでも全然へっちゃらという、オールスターにも選ばれていますからもう本当に大活躍です。(※53試合中34試合がイニングまたぎ)
アナ イニングまたぎは難しいですよね。そして去年と今年の戦力の6角形にグラフを改めて見ますと本当に別のチームになったような感じがしますね。
小宮山 それは今シーズンからこうなったんじゃなくて、実は長く低迷した時期からGMが3年前に代わりました。
アナ はい。
小宮山 そこからチームが生まれ変わるということで、チーム作りを始めました。
アナ では、こちらにGMを紹介したいと思います。
【スターンズGMの経歴】
スターンズ33歳 現役最年少のGM
ハーバード大学出身
2012年 インディアンス 野球運営ディレクター
2013~2015年 アストロズGM補佐
2016年から ブルワーズGM
アナ 現役最年少の33歳のスターンズGMです。ハーバード大学出身でプロの経験はありません。ブルワーズの前はアストロズのGM補佐として、あのルーノウGMの下で30歳のときから3年間働いていました。
小宮山 アストロズは最先端のデータを駆使してという野球ですから、それを間近で見て、自分なりに色んなことを考えながらブルワーズに移ってからチームで新しいことを始めようと。そしてスカウトも含めて、とにかくメジャーの名だたる選手を補強しながらチーム作りをしようと思っていたところを、1Aまで裾野を広げて原石を見つける作業から始めたということですよね。
アナ うーん。では、ここ2年の新戦力を見て頂きたいんですが赤字は移籍選手で青字がデビューの選手です。
2017年
野手 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 投手 | 試合 | 防御率 | |
ショー | .242 | 31 | 85 | ヘイダー | 53 | 2.28 | |
アギラール | .275 | 34 | 105 | ウィリアムズ | 55 | 4.10 |
2018年
野手 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 投手 | 防御率 | ||
イェリッチ | .321 | 33 | 104 | シャシーン | 15勝8敗 | 3.56 | |
ケイン | .310 | 10 | 37 | ジェフレス | 71試合 | 1.33 | |
ムスタカス | .249 | 28 | 93 | ゴンザレス | 9勝11敗 | 4.34 |
小宮山 これを見ると昨年の段階で今シーズン活躍している選手がもう既にチームに浸透しています。そして昨シーズンのオフにイェリッチとケインが加入。しかも、オールスターブレイクのときにムスタカスやゴンザレスを獲れたということで、本当にチーム力が上がった。
アナ はい。
小宮山 それは前もって選手たちを用意できたからというのがあるんですね。それで特にアギラール。この選手が注目なんですね。
【アギラールの成績】
所属チーム | 所属年度 | 成績 |
インディアンス | 2014~2016年 | 35試合0本塁打 |
ブルワーズ | 2017年 | 16本塁打 52打点 |
ブルワーズ | 2018年 | 34本塁打 105打点 |
アナ アギラール選手は2016年まではインディアンスに在籍していましたが、3年間で僅か35試合の出場、更にホームランは0本だったんです。
小宮山 はい。今年はそれこそ最多本塁打を争うぐらいの打撃を見せています。まあ、オールスターにも出ていますからね。
アナ 出ていましたね。
小宮山 そういう選手がマイナーで燻っているのを見つけてきて、上手いこと育てれば何とかなるんじゃないかというところで、獲得して、見事に成功しているということなんですよ。
アナ うん。
小宮山 チームにフィットするかということが大事なことであって、データを見せられても、その数字を上手くコーディネイトする人がいないとなかなか上手くいかないんですけども、成功例ということで言うと、このアギラールは活躍しているので、本当に強くなっているという感じなんですね。
アナ そうですね。では小宮山さん、今週の分析結果をお願いします。
小宮山 『新時代のチーム、第2のアストロズになるか』
アナ はい。
小宮山 今回はアストロズ絡みの色んなことが出てきているんですね。というのは、レッドソックスのコーラ監督もアストロズのベンチコーチをしていた。
アナ そうでした。
小宮山 そのベンチコーチをしていたおかげでレッドソックスでとんでもない数字を叩き出していますし、それこそボストンからシカゴカブスに移ったエプスタイン、このGMぐらいからこういう流れになってきていると思うんですよ。野球の経験がそれほどないんだけれども、色んなデータを駆使しながらチームにフィットするようなことでGMとしてこうしてああしてと色んなことを模索しながらチーム作りをするということで、こんな感じのチームがドンドン生まれてくるという、今はそんな時代です。
アナ GMって大事なんですね。
小宮山 本当に大事です。
アナ ブルワーズは優勝争いの真っただ中ですよ。
小宮山 そうです。本当に優勝したらイェリッチはMVPに間違いなくなると思いますし、残り3試合しかないですから、こんな最後の最後まで争ってくれるなんてめちゃくちゃ面白いシーズンを過ごしていますからね。
アナ ポストシーズンもどこまで勝ち上がるのか楽しみです。
以上です。
現代野球はデータを上手く処理して活用できるGMが必要とされています。